徳舜瞥岳(1309m) 山スキー登山(単独) 旧道コース往復 02,03,23
念願の山スキーでの再訪は、生憎20数年ぶりという黄砂に覆われた山で、滑りを楽しむというわけにはいかなかった。

93,9,11の徳舜瞥岳〜ホロホロ山」のページへ
登山地点下山
 8:45
11:15
旧道登山口
頂   上
12:00
11:30
[2:30]所要時間[0:30]


 夏に一度稜線続きのホロホロ山とセットで登っているが、いつも参加している「おおたき国際スキーマラソン」の滑走中に、天を突く感じでにスッキリ聳えると白き鋭鋒が気になり(1)、滑りもそこそこ楽しめそうな山でもあり、いつかは山スキー登山をねらっていた山である。

 しかし、この冬2回登山口まで行ってみたが、天候に恵まれずUターンしていた。天気予報から諦めて出かけた3度目の正直が、ようやく功を奏した登頂である。しかし、20数年ぶりという北海道中を覆い尽くした黄砂の影響で、せっかく晴れているらしいのだが、展望もあまり利かず、山肌も茶色い火山灰に覆われたような状態で、滑りを楽しむのは疎か、ブレーキが掛かって前のめりになるような残念な山であった。

 早朝5時、天気予報と黄砂の影響から半分以上諦めて家を出る。3時間半ほど走り、大滝村へ到着すると、空は黄砂に覆われてはいるが、太陽もボヤッと覗き、上空は晴れているようであり、今年2回振られた山の姿も霞ながらもその姿を見せてくれている。天候がよければ、当初、三階滝からまっすぐホロホロ山へ続く広い緩やかな長い尾根を登り、徳舜瞥岳へ縦走して旧道を下りる計画であったが、黄砂の影響で天候の読みができず、旧道往復に計画変更して、旧道の登山口をめざす。登山口まで除雪がされいて、駐車スペースが確保されている。大滝在住のリンク仲間・イトケンさんに携帯電話で登山口までの林道と登山口を確かめての到着である。ほかに車もなく、誰も入山した様子もない。

 8時45分、旧道の登山口標識を確認し(2)、古いトレースと時折現れる赤いテープを励みに歩き始める。初めは緩やかな広い疎林の尾根を進む。途中、どこからか飛んできた鯉のぼりが木にぶら下がっているのかと思うような奇妙なものが目に飛び込んでくる。そちらへ近づいてゆくと、なんのために設置されたのか分からない外側が色分けされた太い円柱状のものが、斜めに立っているのである。積雪でも計るものなのであろうか?(3)

 30分ほど進むと目の前に黄砂の影響でぼやけながらも目指す頂上までの端正な姿を見せてくれている。それを見ながら休んでいると、携帯が鳴り、「今、知床岳の頂上に到着した」というリンク仲間のKoさんKaさんである。励まされ、新たな気持ちで歩を進める。やがて、急な尾根を登ると、まわり一面太いトドマツ林へと入って行く。正面に端正なピラミダルな頂上が姿を見せてくれる(4)。だんだん、尾根が狭くなり、新道コースとの合流点を過ぎると、常に目の前に目指す頂上が見えるようになる。下から見上げると「あんな急な斜面を登れるだろうか?」と思うほどの鋭さである。

 樹林帯を抜けると、雪面の黄砂が一段とその濃さを増し、ダケカンバの樹氷も茶色である。薄暗い空の下に続くホロホロ山への尾根と頂上も薄茶色に染まっているような感じで、エビの尻尾も見事な茶色であるのが珍しいと言えばそうなのだが、汚い感じの方が先にたつ(5)。頂上からの下りで滑りを楽しむつもりの北斜面だけは風の陰になっているせいで、黄砂の影響が少なく、白い新雪斜面であるのが少しうれしい。それ以外の斜面はアイスバーンになっているので、その北斜面を登ろうと思ったが、アイスバーンの上に積もった新雪が表層雪崩を起こしそうなので、クトー(スキーアイゼン)を装着して、丈の低いダケカンバが雪の覆われてできたコブの間をジグを切って登って行く(6)。頂上から延びる北斜面との境の細い尾根はまるで火山灰に覆われた山のようである(7)。

 最後はやや西斜面の方へまわり、頂上へ到着である。展望は隣のホロホロ山(8)とオロフレ岳くらいのもので、天候がよく、雪質もよければ吊尾根をピストンしてみたいホロホロ山までの稜線も黄砂で覆われて汚れて見えることもあり、その意欲も失せる。15分ほど休み、菓子パンを一個食べて、下山体制に入る。

 下りは、旧道コースにこだわった北斜面の滑りが楽しみである。頂上からまっすぐ唯一新雪状態のその斜面へ入り、大半径の気持ちのよいターンを刻む(10)。あっという間に標高差300mほど下り、登ってきた尾根へのトラバース地点まで下ってしまう。そこからは黄砂で覆われた斜面で、本来であれば、結構滑りを楽しめそうな斜面が続くのだが、、全然滑らず、前のめりになって転びそうになりながら、シールを貼ったまま滑るよりまだひどい状態である。仕方がないので、ゆっくりとした直滑降で来たトレースを辿りながら下る。腿に負担が掛かり、かなり辛い滑降である。

 それでも、登りの1/5のわずか30分で登山口へ到着する。山スキーのメリットはこの下りの時間の短さであるが、滑りを楽しめればもっと楽しい山であったはずであるのが残念である。しかし、黄砂に覆われた山に登ったというのもまた珍しい経験であり、考えようによっては、それも良しということであろう。

下山しても、まだ12時で、時間的余裕があるので、2月に出版されたばかりの「ガイドブックにない北海道の山50」(八谷和彦著)を参考に、一応計画に入れてきた支笏湖畔の多峰古峰山へ一日2山を目指し、移動する。




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