知西別岳(1317m)<斜里町/羅臼町> 
[ウトロスキー場〜北西尾根ルート] ツボ足&カンジキ 単独 2010,3,31
 
前日、山スキーで挑戦したが、時間切れで撤退し、翌日ツボ足とカンジキで再挑戦

5:40 ウトロ道の駅発
5:50 ウトロスキー場下
登山
地 点
下山
 6:00
 6:25
 7:40
 8:45
10:30
スキー場下
229ピーク
575ピーク
c800
頂上
13:55
13:40
12:20
11:40
10:45
[4:30]
所要時間
[3:10]
14:30 ウナキベツ温泉(入浴)
16:00 斜里道の駅(泊)

 知床峠から南西5.5kmの稜線上に位置し、遠音別岳とは稜線続きの山である。山腹には羅臼湖を抱えている。

 山名の由来は、知西別川の源流部に位置することに因るが、語源は、アイヌ語の「チニウシペッ」で、(枯れ木が・そこにいつもある・所の・川)の意である。
 
 昨年3月に、遠音別岳から隣のこの山を眺めたら、ぜひとも登りたくなった。5月になって知床峠横断道路が開くと、見返り坂から羅臼湖経由で簡単に登れる。しかし、今年のその時期は別の予定が入っている。標津山地の山を終えた後、単独でこちらに移動し、積雪期の日帰りコースであるウトロ側からの北西尾根ルートへの挑戦となった。

 前日、山スキーでトライしたが、スタート時刻が遅かったこともあるが、575ピークまでの尾根が、アップダウンの激しい痩せ尾根で、何度もスキーを着脱しながら歩かなくてはならず、思いの外時間を食ってしまった。575ピークから下って一の沢川の源頭部を横切る地点まで3時間も要し、時間切れで撤退した。そして、翌日、カンジキ持参のツボ足でリベンジを試みた。

 リベンジの朝、再びウトロ温泉街の上のスキー場へ向かう。昨日より良い天気で、温泉街の上の朝焼けの空の下に目指す頂上が見えている(1)。前日は頂上がずっと見えなかっただけに、期待が持てる。スキー場の斜面をツボ足で登る。上の方はもの凄い急斜面。登り切ったところが229ピークで、三等三角点(点名・影山)が設置されていて、サマッケヌプリと同じ標識が立っていた。振り返ると眼下にウトロ温泉街が見える(2)

 そこから前日のトレースを辿るが、ツボ足なので、スキーでジグを切った急な登りも直登できるので非常に効率がよい。トドマツに覆われた標高450ポコで、一の沢川の左岸尾根に合流し、右へ方向を変える(3)


 ここから575ピークまでが、アップダウンの激しい痩せ尾根が続く。おまけに、この尾根に入った途端、前日も目にしたクマの足跡がずっと続いている(4)途中に明らかに横になって寝転んだ痕跡まである。

 スキーを脱いだり着けたりと苦労した前日に比べて、サクサク歩けるのがうれしい。やがて、右手前方に、昨年登った懐かしい遠音別岳が見えてくる(5)振り返ると、オホーツク海の沖に流氷帯が2ヶ所見える。

  やがて、ハイマツに覆われた575ピークに到着。この高さでハイマツというのもさすがに知床の山である。ここまでで既に昨日より1時間も早い到着となる。

 目の前が開け、一度下らなければならない沢地形を挟んで、正面に前日は見えなかった頂上とそこまで続く北西尾根をはっきりと望むことができる(6) 

 ここでカンジキを着ける。575から続く尾根を下って行き、一の沢川源頭の沢に下り立つ。c510m地点で沢を越える。そこから頂上に続く北西尾根へ繋がる林の中の尾根に取り付く(7)。三等三角点(点名・分弁別)の設置されている770ピークを右手に見ながら登っていく。

 c600m付近で森林限界の上に出る。c750mまでの急な登りを、カンジキの爪を利かせて登り切ると、緩やかな幅広の北西尾根に合流する。目の前に、クラストした広大な雪面が続く。ここからはほぼ頂上までは真っ直ぐに進むことになる。しかし、目指す頂上は見えない。

 c800地点でようやくだだっ広い尾根の先に頂上が見えてくる。ここから先は、頂上以外目指す目標物がない(8)頂上が見えていて、GPSを持っているので、心配はないが、ホワイトアウトになったら迷いそうな怖い雪原である。これは、これまでに登った海別岳も遠音別岳も斜里側から登る尾根は全く同じ感じである。

 ズボズボ埋まるハイマツ帯はなるべく避けたいが、そうは問屋が卸してくれない。ハイマツ帯でない風で雪が飛ばされて氷化したところが一番サクサクと歩きやすい。足元の雪面にできている風紋が美しい(9)

 左手前方の羅臼岳から硫黄岳までの連なりを眺めながら、ただひたすら頂上を目指しての真っ直ぐ進む。徐々に右側からの風が強くなる。クロカン用のゴーグルを掛けて、フードを被り、強風に耐えて黙々と進む。変化のない単調な歩きに飽きてくるが、辛抱の歩き・・・・ただ、高度計の数字だけが励みである。

  950m付近から見える遠音別岳の鋭峰が素晴らしい。オーバーハングした感じで、昨年あの上に立ったとは信じられない迫力だ。(写真を撮ったが、ピンボケで残念)

 徐々に尾根が狭くなってきて、10:00、ようやく標高点1169に到着。目指す頂上がだいぶ近くなってくる・・・「あと30分!」元気が出る(10)。
 
やがて、ハイマツ帯から抜け出し、氷の世界に突入(11)。頂上に近づくに連れてデコボコもなくなり、ツルツルの斜面となるが、カンジキの爪がほどよく利き、サクサクと登れるのがうれしい。
 
 スタートして、4時間30分、強風の頂上に到着。三脚を出して、昨年登った遠音別岳をバックに、セルフタイマーで記念撮影(12)

 360度遮るもののない展望を楽しむ(13〜15)羅臼湖を見たくて、少し移動してみたが、白く平らなところがそうだろうくらいにしかはっきりとは確認できなかった。

 風を背に受けている分には寒くないので、羅臼岳の方を向いて座り、腹ごしらえをする。一人歩きに慣れているせいか、これだけ広大な厳しい自然の中でひとりぽっちなのにもかかわらず、不思議に寂しさなどは感じず、むしろ快い満足感や充実感に酔えるのが不思議だ。まあ、いつもそうなのだが・・・。

昨年登った稜線続きの遠音別岳の鋭峰を望む。

ウトロ沖のオホーツク海と流氷帯

手前の天頂山を挟んで聳える羅臼岳

 2日がかりの登頂だったが、天候にも恵まれ、最高のリベンジだった。下山するまでは安心できないが、新たな一山をゲットし、気持ちよく登りのトレースを辿って下山を続ける。それほど急な斜面ではないのに、下りはやはり速いし、疲れなど全く感じない。575ピークまでは、登りの半分の時間で戻ることができた。そこで、じっくり頂上を眺めながら、残りの昼食を食べる。

 下山後は、ウトロの道の駅に寄り、知床自然パネル展示を見る。その後、前日も入った65歳以上100円のウナキベツ温泉でゆっくりと疲れを癒す。翌日は雨予報なので、とりあえず、斜里の道の駅まで走り、そこで車中泊。



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