[59] 手稲山(1024m)  [平和の滝コース]  95、6、7  天候 晴れときどきガス

柔らかな新緑、苔むした岩、岩礫の道とムラサキヤシオツツジが都会の山を忘れさせる。
 
登山 地 点下山
12:30
13:15
13:40
14:20
登山口
布敷の滝
岩轢の斜面
手稲山
16:30
15:40
15:25
14:45
[1:50]所要時間[1:45]
新緑の中の布敷の滝
 山頂はアンテナ群に占拠され、車道もついていて本来は対象から外したい山であったが、「北港道の登山のメッカ的存在の山である」ということに魅かれ、また、山頂近くまで車道などが目に入らない自然度の高い琴似発寒川沿いの平和の滝コースがあるlことが分かり、そこから挑戦することにした。

 前日、札幌出張で午後からの会議に間に合うよう早朝登ろうと思い、登山口まで行ったが、天候が悪くて断念。次の日、会議が予定より早く終わったので、山頂はガスでは見えないが、平野部は時れているので、登山口へ再び向かう。午後からの登山は尻別岳以来2回目。
 
 駐車場へ釆てみて、平日にもかかわらず10数台もの車があるのにびっくり。全部登山者のものか半信半疑で登り始めたが、次々と下山してくる人々にまたびっくり。さすが都会の山だけあると妙に感心してしまった。また、それだけ登山の醍醐味を十分味わわせてくれるコースでもあり、なるほどと納得した。
 ムラサキヤシオツツジ
 登山口にある平和の滝を見て、ハルゼミの大合唱に迎えられて出発。初めは、柔らかな新緑のカラマツの大木の林の中の気持ちの良い広い道を進むが、初夏の陽射しに汗が滴り落ちる。砂防ダムの中の立ち枯れの木々を左に見るあたりから、沢ぞいの山道に取り付く。広葉樹林の新緑が爽やかで心和む。その沢が滑滝状の布敷ノ滝(1)となって落ちる地点で小休止。
 
 やがて、沢から離れ、トドマツやエゾマツの林の中に入るも、苔むした岩の多い急な登りが続く。足元の岩の下から伏流水の音が涼し気に聞こえるのが珍しい。その音を楽しみながら、一歩一歩岩の上を踏みしめて進む。 道のあちこちにピンクのムラサキヤシオツツジ(2)の花びらが落ちている。この後高度を上げていくにつれ、満開になり、曹になりと変化しながら、明るい林の中のあちこちでひときわ艶やかさを展開してくれる様が印象的であった。
岩礫の道と目指す頂上
 やがて、樹林が切れてロックガーデン風の広大な岩礫の斜面が現れる。赤いペンキの矢印に従って慎重に登る(3)。再び明るい林に入るが足元はずっと大きな岩礫と根張りの急な登りが続く。大きな岩礫の登りは一歩一歩が意識的な選択と決定の上になされるだけに適度な緊張が伴い、登山の醍醐味があって大好きな場面である。高山的な環境に思わずうれしくなり、「これだけのコースを選んで設定した先人は偉いものだ」と感心し、次から次から下山してくる人の多い訳を実感した。
 
 そんなうれしい急な登りがしばらく続くと、やがて、チシマザサとダケカンバの緩い台地に出る。チシマザサはちょっと高山的な感じがしなくて目障りだが、ダケカンバの白い幹と新禄の葉のコントラストが爽やかである。途中で、満開のチシマザクラ(タカネザクラ?)(4)を見つけ、遅い花見を楽しむ。

 少し進むと、ガスの中の向こうにリフトの支柱や関係の建物が目に入ってきて、分かってはいたが、それまでのコースが予想を遥かに越えたものだっただけにやはりがっかりさせられる。小高い丘にエーデルワイスのレリーフがはめ込まれた大きなケルンが立っているが、スキー場のフェンスに押しやられているような気がして気の毒である。
 
 ちょっとして車道に出、アンテナ群の建物の林立する中に入っていく、ガスで展望が利かないだけにビル街の中を進んでいるような錯覚にとらわれ、果たして頂上といったところがあるのか心配になり、下りてくる人に聞いたら、もう少し先だと言う。 やがて、ガスの中から狛犬と立派な鳥居を伴ったケルン風の手稲神社と頂上標識が見えてくる。
満開のタカネザクラ
「九月の北尾根コース 葉ずれ」
浅地氏画  99.9.18

 ガスで展望の利かない頂上に着くと、ちょうど最後の人が下山して行き、いつもの一番乗りとは逆の一人ぽっち状態になる。思わぬ孤独感を楽しみながら簡単な昼食を摂り、休憩する。徐々に上空が明るくなり青空が覗き、暖かい。一瞬であるが、限下にテイネハイランド?の遊園地と西区や手稲区方面の景観が見えたがそれ以外の展望はなし。これまで登った近くの山々も見えず。
 
 諦めて下山開始。ちょっと下のロープウェイ駅の横から下を見ると、広大な札幌の町並みが広がっている。満足して、再びうれしい登山路に入る。途中岩礫の斜面から振り返ると、登りでは見えなかった頂上が見える。表側はスキー場などですっかり開発されている山ではあるが、こんな静かな自然や野生味が残されているコースがあったとは、期待していなかっただけにものすごい得をした感じで、帰路に就く。帰りは珍しく温泉にも入らずに真っ直ぐ帰る。


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