多峰古峰山(たっぷこっぷやま)(661m)  山スキー(単独)  北斜面ルート  02,3,23 

徳舜瞥岳を下山し、1日2山を目指したが、予定のルートを見失い、沢地形を詰め、頂上の急な北斜面を大格闘状態で無理矢理ジグを切って登り詰める。
苔の洞門付近からの多峰古峰
登山  地点下山
13:00
14:40
林道入口
頂  上
15:30
14:52
[2:40]所要時間[0:40]
以前から、名前の響きとそれに対する漢字の表現の妙がとても気に入っていた支笏湖畔の山である。樽前山に苔の洞門から登り、後ろを振り返ると支笏湖畔にポコンと盛り上がっている山である。夏道はないので、登る対象とは考えていなかったが、今年の2月に自費出版で発行された「ガイドブックにない北海道の山50」(八谷和彦著)という雪山登山の本に、そのルートと2時間ほどで登っている記録があったので、それを参考に、徳舜瞥岳を午前中に下山したので、スキー登山では2年前のチトカニウシと白滝天狗岳以来の一日2山を目指す。

 支笏湖畔の苔の洞門まで行き、道路の正面に見える山の姿をカメラに収めて(1)、Uターンし、「苔の洞門の沢」の1本西のシシャモナイ沢の林道入り口に車を止めて準備する(2)。午前中に登って下山したと思われる2人のワカンのトレースがあるので、それを辿ればという心強い思いで出発する。しかし、それがあとでとんでもない苦労の原因となるのであるが・・・・・・。

 林道を10分ほど進むと、そのワカンのトレースは右側の林へと入って行く。方向的にはあっているのでそのトレースを辿る。ところが、そのトレースは八谷さんの本を頼りにして計画を立てた方向と反対側の頂上の東側の尾根の方へ向かっている。地図で確かめたらどうやらスキーでジグを切るには無理と思われる細い東側の尾根を登るようである。八谷さんの本では頂上の北西から北東に延びる尾根に取り付くように記されている。戻るのも癪なので、新ルート開発とばかり、そのトレースと別れ、頂上方向に向かっている沢地形の右岸を登っていく。源頭まで登り、そこから頂上へ続く稜線に乗るという甘い考えであった。振り返ると風不死岳とその右側の白い斜面の上に乗る樽前山の黒いドームが見える(3)。

 その沢の右側に延びる尾根が八谷さんの登った尾根のようであるが、そちらへ移動するには深い沢を越えなければならないので、そのまま進み、頂上の東側から北東に延びる尾根を巻いて、そこから上に見える稜線に乗ろうと思い、急な源頭斜面をジグを切りながら登ってゆく。午前中の疲れの影響で、途中で止めようかという思いとの戦いである。ところがその稜線へ乗ったら、スキーではとても登ることの不可能な細く急な尾根である。仕方がないので、頂上直下の広い源頭斜面を登ることにして、そちらへトラバースする。林の中なので、雪崩の心配はないようであるが、それでもところどころブロック雪崩の跡がある急斜面である。

 何度もジグを切りながら登っても登っても林の上に覗いている頂上稜線が近くならない(4)。午前中の疲れが影響してか、休み休みの登りである。そこへ、「明日だったら徳舜瞥岳に同行できるんだけど」というメールをいただいていたリンク仲間のサトシンさんから携帯に電話が入る。多峰古峰に登っているということを話した以上、途中で止めるわけにはいかない。気を取り直して、トラーバースとジグを続ける。

 源頭斜面に取り付いて1時間ほどの大格闘の末、ようやく頂上の東側に延びる頂上稜線の下まで登り詰める。雪庇の切れ目からその稜線に乗ると惑わされたワカンのトレースとの再会である。細い稜線なのでスキーをそこにデポして200mほど西側にある頂上を目指す(5)。上には立ち木に1本赤いテープが結ばれているだけである(6)。本来辿るはずだった尾根も頂上直下ではかなり急な細い尾根である。

 やはり黄砂の影響で見えるのは不風死岳と樽前山と南側の647峰の展望だけである。15分ほど休んでいると小雪が舞ってきたので、下山体制に入る。下りは急斜面の上、林の中でもあり、また、午後で気温が上がりグサグサの腐れ雪で、ターンを刻めるような状態ではない。疲れもピークに達しているので、ただ横滑りの繰り返しで安全第一で下る。それでも3回ほど転んだりして、スキー指導員としては哀れな下りのトレースである。

 それでも、自分なりの冒険ルートで、苦労の末一日2山やり遂げた満足感に酔いながら、宿泊先の北湯沢温泉の旅館「かわせみ」を目指す。一緒に泊まることになっている大滝在住のリンク仲間・好青年イトケンさん(7)はまだ来ていなかったので、先に風呂に入る。川沿いの露天風呂は全て手作り風の湯船であちこちから混じり気なしの天然温泉が注いである素朴な感じが結構気に入る。

 イトケンさんも到着し、風呂の中や食事、部屋に戻り4時間ほど山やメーリングリストの話題で盛り上がったが、こちらの疲れのせいで9時半には眠ってしまった。


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