庄司山(570m)  桔梗高台ルート 00,04,02
    
箱館歴史秘話検証のために雪解けを待てずに強行したツボ足登山
 庄司山
5:30 自宅発
6:00 中の沢側から取り付くが
    途中撤退。蒜沢川コース
    へ車移動
登山地点下山
6:45
7:15
8:00
8:20
農道終点
斜面取付き
手前ピーク
頂上
8:30
8:43
9:01
9:25
[1:35]所要時間[0:55]
 9:45 しんわの湯(入浴)
10:30 帰宅
 庄司山(昔は障子山とも書いた)(1)・・・函館近郊に住む者にとっては、山名は分からずとも横津連峰の麓の函館寄りの海岸段丘面に広がる畑地の向こうに飛び出た奇異な形で聳える山と言えば誰しも分かる山である。 
 短時間でいつでも登れると思っていて、数年前に、一度中の沢側に登山道跡らしきところを見つけ、そこからアクセスし、タケノコ採り状態の笹藪に撤退したままであった。

 このたび、ひょんなことから興味を引かれる箱館歴史秘話『雪の峯の追跡』という論文の載った函館出身で横浜在住のH氏のHPを見つける。山好き人間としては、その題名に引かれ思わずじっくり読んでしまう。
 
『ペリー日本遠征記』の挿し絵「雪の峯からの箱館遠景」

 それは、『ペリー日本遠征記』の石版画の挿絵「雪の峯からの箱館遠景」(2)の雪の峯の特定に関する論文である。それは、箱館遠景の様子からその峯を庄司山との仮説に立ち、当時のあらゆる文献を調べ、その立証を展開している論文である。実際にその遠景からすると方角的には頷けるものであるが、その絵の前景に描かれている様子が山の形からすると、余りにもかけ離れたものであることから、そのことを指摘したメールを差し上げたのが、彼とのお付き合いの始まりである。
 
 今回の登山は、前景については同じ疑問を持っていることから、まだ登っていないH氏に代わって、函館遠景が絵と同じように見えるかということも併せて検証するために雪解けを待てずに強行したものである。
 手前ピークから頂上への稜線
 今春は、異常に雪解けが遅く、初めは以前撤退した中の沢側のコースに取り付いてみたが、笹藪は雪で寝ていて突破できたが、10分ほど登った腰まで雪に埋まる地点でコースを見失い、またもや退却する。
 
 その足で、車を蒜沢川コ−スの方へ回し、雪でそれ以上進まれない農道の終点に車を置き、登山口に繋っていると思われる林道に取り付く。装備といっても、長靴に雨具の下を着けて雪の侵入を防ぐだけの物である。林道はスノーモービルで踏み固められていて、その上に昨夜降った新雪が3〜5cm積もった上を快調に歩いて行く。その林道が登山道に続くという保障のない歩きであるが、木の枝に「山楽クラブ」「庄司山」と書いたピンクの新しいビニールを見つけ、嬉しくなり、その後、そのテープを頼りに足跡のない道を進むことになる。
 
 30分ほどで斜面の取付きにぶつかり、林道は山肌に大きくジグを切って刻まれた伐採道のようなルートへの取り付きに到着する。どうもその伐採道のように見える道が頂上へと繋がる登山道のようである。ところが、そこからは、予想以上の50cm〜1mもの雪に足を捕られ、ズッポズッポと時には腰まで埋まる辛い登りである。こんなにルートがはっきりしているのだったら、山スキーとシールで来れば良かったと後悔するも、後戻りはできず、春の陽射しに励まされ、ひたすら前進あるのみである。
 
 45分ほどで頂上へ続く稜線の手前のピークに乗る。眼下に広がる函館平野を眺めながらひと息入れる。そこから頂上までは雪庇の続く急な稜線を忠実に辿るらしい(3)。そこからは、雪も堅く締まっていてそれほど埋まらずに・・・と思って油断するとたまに腰までズボッと埋まってしまうこともある。
 頂上からの函館遠景
 さらに20分で、雪の上に太いビニール管で作られた鳥居だけが立つ頂上に到着する。函館山や函館港の眺望は、確かに「雪の峯から」の絵に描かれている様子とは似ている(4)。しかし、予想した通り、前景に描かれている岩場もなく、頂上も極めて狭い稜線上にある。カメラにそれらを収めて、春の陽射しを周りの景観を楽しむ。後ろに聳える袴腰岳や烏帽子岳は昨夜の新雪でまさに真冬の趣を呈して朝日に輝いている。

 春の陽光と新雪に眩しい周りの眺望を楽しみながら、ふと、ぺリーに随行し、その石版画を描いたハイネ一行は本当にこの頂上に立ったのだろうか、ひょっとしたらもっと低い地点からの描写でなかったのだろうか、この頂上までは絶対馬では登れないよな、それにしても、あの絵に描かれているような岩場や広い場所がほかにないのだろうか、旧暦の4月下旬(新暦5月末)に雪の峯が存在したのだろうか・・・などという単純な疑問を抱きながら、パンとスポドリの朝食をとって休憩する。
 
 雪庇の厚さからすると1m50cmほどの積雪の頂上をウロウロしながら鳥居を潜るとふと足元が滑るものに当たる。足で雪をよけてみると、青いトタン板でできた祠か社の屋根のようである(5)。その上に立っていたのである。罰が当ったら大変と、思わず柏手を打つ。     
 
10分ほどで頂上を後にする。下りは埋まりながらも速く軽い足取りである。泳ぐようにして、時々前のめりに転んだりしながらも登りの半分の時間で林道へ出る。あとはのんびり林道歩きの末、車を置いてある地点に到着する。
 
 その後、庄司山の特色がはっきり望める桔梗方面から大野町に抜ける途中で写真に収め、大野町の新しい温泉・しんわの湯で汗を流し、帰路に就く。帰宅して早速、H氏に第1報のメールを入れたのはいうまでもない。

さて、あとは、H氏を現地へ案内するだけである・・・・。


H氏を案内した再訪登山へ


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