暑寒別岳(1491m)  箸別コース   単独   02.07,14

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9年振りの山に、ガスと強風の中、7合目からの花畑が売りの箸別コースから9年振りに訪れたが、足下の花以外に楽しみのない山行となったが十分満足の山であった。
2合目付近
7/13(土)
 12:30 函館発
 20:00 増毛着
      海の展望台駐車場 
      (車中泊)
7/14(日)
登山
地点
下山
5:35
6:30
7:15
7:45
8:40
登山口
2合目
5合目
7合目花畑
頂 上
11:30
10:35
10:00
9:30
8:50
[3:05]所要時間[2:40]

 12:30 岩尾温泉・町営夕陽荘
     (入浴)
 17:50 寿都町営・ゆべつの湯
     (入浴)
 20:50 函館着
 雨竜沼湿原経由のロングコースから暑寒別岳に登ってからすでに9年の年月が経っていた。いつか、楽チンで7合目からの花畑がみごとな箸別コースから再訪してみたいと思っていながら、機会がないまま延び延びになっていた。たまたま1週間前に同じコースを歩いた方のメールで背中を押されて向かうことにする。

 今春まで函館にいた「北海道の山ML」の札幌のKoさんほか3名の仲間も同じ計画で、同行の誘いを受けていたが、帰りの運転のことを考えると7時登山開始では辛い。お断りして、途中で逢えることを楽しみに単独で行動することにする。

 前日、午前中にお盆(函館は7月)を済ませ、天気予報は「曇り時々雨」であったが、家にいても退屈なので、ダメモトでドライブがてら午後に自宅を出る。小樽経由で北上し、7時間で増毛町に入る。その日の内に登山口まで入ろうと思い、夜道の林道を走ってみるが、途中の左手尾根へ上がる分岐の標識を見落としてそのまま進んでしまったらしいので、Uターンして、市街地まで戻る。国道沿いの暑寒別川の橋の南側の小高いところにある「海の展望台駐車場」で夜を明かす。
7合目付近の花畑
 夜中にかなり強烈な雨が降っていたので諦めながら眠り、目が覚めたら4時半であった。雨も上がり、ガス空の上は青空らしく太陽が覗いている。山の方はガスで覆われ、好天は無理であろうが花だけを楽しみの山行でも良しとして、登山口へ向かう。
岩石帯に咲くエゾシオガマ
 昨夜、見落とした分岐の標識に従い、広い尾根に続く立派な舗装道路を走る。両側にこれから利用されるのであろうか、林が伐採されたような広大な草原が広がる。やがて、林道状になり、終点が登山口であった。まだ車は1台もなく先行者はいない。箸別避難小屋のトイレで用を済ませ、Koさん一行への伝言を車に挟んでスタートする。靴は雨上がりなので登山靴を止めてスパイク長靴にする。

 ガス空に薄日の差す中、快適に整備された緩やかな登山道を進む。歩き出して、すぐに虫除けスプレーも効き目なしで、3カ所ほど蚊に刺され、すぐに薬を塗る。その後、何ヶ所か刺されたが、直ちに薬を塗るを繰り返しながら進む。30分進んでもほとんど標高差のない平らな登山道である。1時間ほど同じような調子の歩きでようやく2合目である。目指す山頂や山肌はガスの中である(1)。ダケカンバとミズナラの大木がやたらと目に付く。ようやく少し勾配や起伏がきつい登りになって、わずか15分で3合目の標識が現れたのにはびっくりする。その後の合目標識は計ったように15分間隔で現れる。最初の1時間も掛かっての2合目はなんだったのだろう。
8合目付近の急登9合目付近
 周りの展望がまったくないまま高度を上げて行くと、ガスがますます濃くなり、風も強くなり、ダケカンバの枝の水滴が雨のようにバラバラと落ちてくる。ただ、気温が高いせいか、ガスと汗でずぶ濡れ状態のTシャツでも全然寒くないのがうれしい。5合目を越えると少し傾斜がきつくなるが、周りは笹藪とダケカンバの林である。登山道は小さな川のようになってくる。

 やがて樹林限界を抜け、笹藪だけになり、ハイマツが出てくるようになる。道端にシナノキンバイが出現したと思ったら、突然ガスの中に花畑が広がる。上を見ると7合目の標識が立っている。ここが楽しみにしてきた花畑の始まりらしい。視界は10mくらいのものであるので見渡す全てが花畑である。ガスの中に主人公を主張するシナノキンバイの黄色が映える(2)。そのほかにハクサンボウフウ、イワイチョウ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、チシマフウロなどが咲いている。ただ、風が非常に強く、写真を撮るにも花が揺れていて思うような写真が撮れないのが残念である。そこから両側が花畑の急な登りとなるが、高度を上げると、トウゲブキ、チシマキキョウ、ミヤマアズマギク、マシケゲンゲ、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ(3)、サマニヨモギ、ミヤマリンドウ、ムカゴトラノオ、ハクサンボウフなどが現れ、岩場にはコケモモや強風で花びらのむしれたエゾツツジなども現れてくる。ガスに濡れたデジカメで写真を撮りなら進む。
9合目の上の花畑
 7合目の上の急登を登り(4)、ハイマツ帯の道になる8合目の上で、パンツ以外の濡れた上下は全部脱ぎ、下はレインウエアのズボンに履き替え、上も乾いたシャツの上にレインウエアの上を着て進む。その後も強風にガスが流れる広い岩混じりの稜線のハイマツ帯や花畑が広がる中を進む(5)。9合目を過ぎても、あちこちに花畑が出現す(6,7)。暑寒コースとの合流点からの頂上台地はどころどころに岩場が出現する花畑となる(8)。新しくエゾウササギギクやウメバチソウも目に付くようになる。ぬかるみには暑寒コースから私より先に登って下りたらしい人の足跡がついている。
9合目半付近の花畑
 岩場と花畑とハイマツを縫うように進んで9年振りの頂上へ到着。9年前は賑やかで、眺望も広がっていたが、今日は視界10mほどのガス中の独りぼっちの静かな山頂である(9)。できたら、雨竜沼湿原やその後に登った群別岳や浜益岳、黄金山などを目にしたいという思いは強いが、そんな可能性はゼロである。

 それほどの疲れもなく、眺望の無いところで長々と休む気もなく、菓子パンとバナナ2本を口にして、10分ほどで下山を開始する。下りは少し風も弱まり、心持ち視界が広がった感じがないわけでもないが、新しい展望は目に入って来ない。見える範囲の花を楽しんだり、登りで撮り損なった花の写真を撮りながら
下る。
頂上台地の岩場
 7合目の下で、下から4人連れが登ってくる。全員それぞれにお会いし、メールをやりとりしているリンク仲間のKoさんCoさんKu女史の3名とKo嬢である。しばらくお喋りを交わして別れる。その後、3人、4人、2人、一人と出会う。そのころには風も止んで、2合目下辺りから振り返ると山頂がガスに見え隠れしている。
ガスの中の頂上
  登山口で入林届けに下山時刻を記入していると、山頂のメンバーから携帯に電話が入る。「風もないので、焼き肉をしてます。ときどき群別岳が見え隠れしてますよ!また登ってきませんか?」とのこと。悔しいとは思っても、これだけはどうにもならない。

 増毛町営の「岩尾温泉・夕陽荘」で汗を流して出ると雨が振ってきた。途中、大きな岩が積み重なった斜面に鉄の階段が続く「雄冬岬展望台」に登り、ドライブインで昼食の浜定食を食し、ひたすら南下する。寿都町営の「ゆべつの湯」で休憩がてら運転の疲れをとるのに、温泉の梯子をして再び帰路に就く。

7合目から頂上までに咲いていた花たち


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