今回、HYML(北海道の山メーリングリスト)のニセコオフミに当日の朝から参加する。参加者は二手に分かれ、私はシャクナゲ岳グループの中に加えていただく。メンバーは何度も冬山でご一緒している
「サトシンの北海道の山スキー」のSiさん、
「北海道の山とスキー」のKoさん、ラーメン教祖Kuさんの3人に、私と同じスキー指導員の資格を持つ紅一点のTuさんと本州から来ているKoさんの友人の6名である。天候はあまり期待できないが、私とKoさんの友人以外は何度か冬に登っている人たちばかりであるのが心強い。展望は諦めて滑りの方に重点を置いて、登山口となるチセヌプリスキー場へ向かう。
駐車場へ到着すると、パトカーがそばに来て、「最近、連日、ニセコ週へのスキー場で車上ねらいが発生していて、手当たり次第何でも持って行くので気をつけてください。」と注意を喚起される。「気をつけてください!」と言われても、RV車のワンボックスカーなので、車の中に置いてあるものは全部丸見えだし・・・と思いながら、金目のものをリュックに入れて持ち、残りのものは別のヤッケで上から覆い隠すようにして出発する。
ま
ずは、リフトに乗って800m付近まで上がり、スタートしようとしたら、うれしいことに目指すシャクナゲ岳(2)やチセヌプリがその姿をうっすらと見えている(3)。勇んで出発する。まず驚いたのが、新しい板の軽いことである。しかもしっかりと堅くて非常に履き心地がいいことである。雪も軽く、スキーも軽い、諦めていた山の姿も見えている。当然心も軽くなる。初めはチセへ向かうトレースを辿り、途中から年長者のSiさんが膝下くらいのラッセルで先頭を行く。チセの西側の台地状のところをシャクナゲとのコルを目指し、源頭地形を巻いて、通称「ビーナスの丘」と呼ばれている平らなコルをシャクナゲの方へ進路を取る。一昨年まで出場していた「ニセコ連峰歩くスキー大会」のコースもこの辺りを通っていた。
北風が強くなり、目指す山はガスの中に隠れたり見えたりを繰り返している。一面真っ白な雪原に我々だけのトレースが続く。ビーナスの丘から帰りの滑りが楽しみな一段目の急斜面を直登する。目の前にはまず手前の尖ったピークが見えてきて、
平坦な緩斜面へ出ると、目指す端正なシャクナゲ岳がその姿を見せてくれる。見上げるとかなりの急斜面である(5)。初めは直登するが、上の方では大きなジグを切って登る。もうすぐというところで、クラストして、クトーを持ってくるのを忘れたのを後悔するが、それほど堅いわけでもなく、ここでまた新しい板の堅さが功を奏してうれしくなる。
リフトを降りてから割とあっけない1時間15分で、夏山に登って10年ぶりに
頂上標識の立つ頂上へ到着する(6)。地熱があるのかポッカリと穴が空いていて、中の雪が解けているところが数カ所ある。展望はチセの斜面くらいのもので、あとのニセコ連峰はガスの中である。どんな寒いところでもラーメンミサをするKuさんもさすが風の強い頂上ではミサを執り行うとは言わず、「下のピークの風のかわせるところで」と言う。みんなはホッとして、シールを剥がす。
いよいよ、このために登ってきた一枚バーンの大滑降である。Koさんが「どうぞ!」と言ってくれる。年長者のSiさんを差し置いてトップを切らせていただく。久しぶりのパフパフパウダー、膝下くらいの深さなので顔面シャワーとまでは行かないが、ゲレンデと同じ感覚でターンができるのがうれしい。急斜面では思いっきりジャンプターンを楽しむが、全然抵抗がないのがこれまたうれしい。
後ろを振り向くと,みんなが喜々として滑り降りてくる。それらをカメラに収める(7,8,9〜私の画像がないのが残念)。
あっという間に最初の大滑降を終え、
昼食場所の手前のピークの下へ到着。案の定北風をかわせる場所である。それぞれがラーメンミサの開始である。すると、目の前のチセヌプリが突然頂上に陽光が差してその姿を見せてくれる(10)。30分ほどで、再スタートである。下の急斜面の滑降を楽しみ、ビーナスの丘に下りる。源頭地形を巻き、登りより西側からスキー場の途中へ出るコースを取る。この辺りはダケカンバ林の斜面であるがその中を縫うように緩やかな斜面を下る。途中で、雪面をピョンピョン跳ねていく白いウサギを目にする。
やがて、スキー状の西側に伸びる細い尾根の上に出る。そこを越えるとスキー場である。最後はゲレンデを新しい板の切れ具合を確かめながら気分のいいターンを刻んでゴールする。今まで、軽い板は堅い斜面では安定性に不安があるのではないかと思っていたが、この堅いチタンの板はその思いを払拭してくれる。ややカービングが弱いので、その性能には欠けるが、山専用の板としては大満足である。
駐車場へ着いて、直ぐ車上ねらいの有無を確かめ、安心する。しかし、帰宅してメールチェックをしたら、同じニセコオフミに参加してモイワスキー場で深雪滑降の練習をしていたグループから「その中の1台が車上ねらいに遭い、3人の山道具一切が入ったリュック4個を持って行かれた。」というメールが入っていた。ビーコンやGPSのほか長年愛着を持って使ってきた山道具のほかに財布や免許証など、すっぽり持って行かれたという。駐車した場所が一番端の死角になっている場所だったそうで、ピッキングで開けられたそうである。車は私と同じホンダCR−Vであるだけに、余計胸が痛む。