○いくつもの滝を越えて大雪渓へ
 この沢の核心部のゴルジュと30m大滝を越えても、まだまだ滝は続く。920m付近で林道が横切っている。この林道は夏道の宝来小屋まで続いているので、エスケープルートとしても利用できるらしい。その上の10mほどの滝は、左側の階段状の流れの中をシャワークライミングしながら登らざるを得ないが、これもまた楽しい(1)

 この滝を越えると、しばらくは穏やかな沢相が続き、緊張感から解放される(2)周りに現れる食べごろのギョウジャニンニクに掴まって、遡行ペースが落ちる。

 1020二股は、左股が本流より水量が多いので、読図と偵察を重ねて慎重に検討して右股ヘ進む。そこを越えると、再び、沢相は狭く荒々しくなり、沢を雪渓が覆い始める(3)しかも、その先にもいくつもの滝が現れる。1080二股は両方から5mほどの滝となって合流している。ここは、登りやすい幅広の右股の滝を登り、本流の左股の滝の上へ乗っ越す。

 滝は数え切れなかったが、10個以上はあったであろう。最後の5mほどの滝の右岸を登ると(4)1150二股だ。ここは左股が目指すコースなのだが、びっしりと雪渓で覆われているので、ここで、頂上冷麦用の水を汲む。そこへ、若者二人が上がってきた。

 沢形を埋め尽くす雪渓を登っていくと(5)、やがて、大雪渓の上に出る。ゴール地点の無意根山をバックに再びバンザイ(6)。

 振り返ると、札幌岳からオロフレ山まで続く山並みが見えてくる。ここまでで、7時間半を要している。

○藪漕ぎ

 大雪渓から沢形を辿り、いよいよ藪漕ぎ開始(7)笹藪とハイマツを漕ぎながら、稜線上にあるはずの古い縦走路を目指す。ここは経験のあるganさん頼みである。Kaさんと二人のルートファンディングで、明らかに昔から人の歩いた痕跡のある踏み跡に出る。ここは、HYMLの有志で6年前に笹刈りをしたところなのだが、すっかり笹が被っているので、泳ぐようにして掻き分けながら進まざるを得ない。

 その縦走路跡を1時間ほど辿って、ようやく頂上へ到着。スタートしてから9時間は要しているが、予定よりは速かったようだ。頂上には、二人連れの女性と同じコースの先行の若者二人、単独の男性がのんびりと展望を楽しんでいた。

○最高の薬味のそうめんと冷やしうどん

 そうめんと冷やしうどんが茹で上がるのを待つのももどかしく、途中で採ってきたギョウジャニンニクと私の持参した醤油漬けを薬味に夢中になって食らいつく(8)汲んできた水で冷やしてもなかなか冷えるものではない、温かいまま、全部で2kgほどの麺が空きっ腹に収まった。

  腹が一杯になって初めて360度の展望を楽しむ余裕ができた。隣の中岳の西側に広がる羊蹄山を中心とした展望も新鮮な眺めだ(9)札幌の街並み、札幌近郊の山々や支笏湖・洞爺湖周辺の山々、さらには、積丹半島の山並みや狩場山塊まで見えている。
 


○下山

 無風でポカポカ陽気の中、1時間ほど休み、集合写真を撮って(10)、いよいよ下山開始。食べ過ぎて、ゲップが出ると、ギョウジャニンニクの味が上がってくるのには参った。

 夏道のテラス状の稜線から源頭部に下りる急斜面の北壁は、雪崩れ跡なのか、崩壊が進んで荒れた上に雪渓が残っていて、泥んこ状態で設置ロープがなければ下れないほどであった。1時間ほどで無意根尻小屋に到着。10分ほど休憩し、30分で宝来小屋登山口到着。デポしておいたTuさんの車に乗り込み、薄別口へ。12時間の長い行動に終止符を打つ。さらに、Hiさんの車を回収してきて、そこで解散。

 当初は、明日もどこか登って帰ろうと思っていたが、これだけ中味の濃い山行をしてしまうと、おいそれとは次の山が思いつかない。それほど疲れていなかったので、途中、200円の留寿都温泉に入って、そのまま帰路に就き、22:20に帰宅した。疲れすぎて熟睡できず、翌朝は、全身がゴキゴキ状態であった。

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