燈明岳B(577.5m)〜奥丸山B(826.3m)〜知内岳B(854m)〜岩部岳C(794.2m)<縦走>
<大きな沢林道〜東莱出石林道> 4名 15,6,16
15,6,1の「燈明岳」
15,5,30の「岩部岳&知内岳〜奥丸山」
07,3,16の山スキーでの「燈明岳〜奥丸山〜知内岳〜知内丸山」
05,4,17の山スキーでの「岩部岳」
 偵察を重ね、国有林境界刈り分け道を利用した13ものピークを越えるタフなロングコースの縦走を決行
4:00 函館発
5:40 大きな沢林道終点付近
            (車デポ)
6:05 東莱出石林道ゲート前
登下山
地  点
 6:15
 7:50
 9:00
 9:35
11:25
13:40
15:05
林道ゲート
燈明岳
奥丸山
知内岳
610ピーク
岩部岳
車デポ地点
[8:50]所要時間

15:35 車回収
16:00 こもれび温泉(入浴)
18:00 帰宅
<岩部岳直下から越えて来たいくつものピークを振り返る>
○プロローグ
 知内山地は、天気の良い時には函館からも眺められるが、津軽海峡に突き出た形で連なる矢越岬から福島峠までの山塊である。その最高峰は山名も標高点も三角点もない854m峰だが、地元では知内岳と呼んでいる。 この山塊にはっきりとした登山道があるのは、一等三角点のある知内丸山のみである。したがって、最近までは、このほかの山は積雪期登山の対象とされてきた。
 
 ところが、昨年、岩部岳に作業道から稜線へ国有林境界刈り分け道ができて登頂が可能になった。岩部岳へ登ってみたら、知内岳方向の稜線上にやはり国有林境界刈り分け道が続いているのが判明。
 今年の5/30に、岩部岳から682ピークまで歩き、さらに、出石林道から680ピークと738ピークのコルまでの作業道を発見し、知内岳と奥丸山に登った。その刈り分け道が燈明岳への尾根に続いているらしいことを確認。さらに、6/1に東莱出石林道から作業道と北東尾根に続く国有林境界刈り分け道を繋ぐ燈明岳のルートを発見。これで、道南ではトップクラスのロング縦走コースとなる燈明岳〜岩部岳までの縦走(1)が可能と判断。

 当初は6/13(土)に計画したが、雨で中止。改めて、6/16(火)に設定。メンバーは、平日山行が可能な60歳以上の健脚メンバー・Toaさん、龍さん、三太郎さん、自分の4名。龍さんは、この知内山地に入れ込んでいて、冬には何度も登り、知内丸山の登山道開削にも関わっている。三太郎さんは、この山塊は初めてだが、2日前に八雲ハーフマラソンを走ったばかりなのに、疲れも見せずにペースメーカーのようにずっと先頭を歩いてくれた。

 朝4時に車2台で函館を出る。借りたゲートの鍵を利用し、車を1台を岩部岳の登山口となる大きな沢林道の終点付近にデポ。戻って東莱出石線林道ゲートからスタート。

○まずは、燈明岳へ

 6:15、まずは、6/1に見つけたばかりの道を辿って燈明岳へ。東莱の奥の林道を進み、東莱出石林道ゲート前を出発(2)
 林道を進み、5分ほどでぶつかる三差路は一番右の林道を進む。さらに5分ほど進み左の作業道へ入る(3)。 さらに、北東尾根に続く急な国有林境界刈り分け道を登った。


 7:10、スタートして1時間弱で、まず最初のピーク燈明岳(三等三角点名・神馬山)をゲット(4)展望は、残念ながら低いガスで見えなかった。

○二つのピークを越え、稜線上の奥丸山と知内岳を目指す

 15分ほど休んで、刈り分け道が無事繋がっていることを願って、稜線上の奥丸山を目指してスタート(5)。Taoさんと龍さんと自分の3名は冬には歩いているが夏は初めてである。


 ブナ林の尾根に続く幅の広い刈り分け帯だが、ときおり笹が上からかぶさっているところもある。しかし、足元はしっかりしているので、道を見失うことはない(6)
 ガスが取れて上空に青空が広がる一つ目の641ピークからは、稜線と目指す知内岳が見えた(7)
 641ピークと656ピークのコル付近には、右から上がってきている作業道分岐があった。地図を見ると、その下の方には林道がある。そこから続いているようだ。



 9:00、稜線上の奥丸山(三等三角点名)に到着。前回見つけておいた三角点は刈り分け道の20mほど奥の薮の中にあるので、龍さんが鉈できれいに刈り払ってくれた(10)
 15分ほど休み、さらに15分ほどで9:35、最高地点の知内岳に到着。ここの山頂標識は龍さんたちが冬山用に設置したものだが、まさか夏に対面できるとは思わなかったと喜んでくれた(11)
 ここまでで、約2時間20分なので、縦走はしなくても、この知内山地の最高峰まで往復することは誰でも可能だということが分かった。

○アップダウンの激しい稜線上の7つのピークを越えて、岩部岳を目指す。

  ここまではまだ序の口である。この知内岳から岩部岳までの稜線歩きが今回の核心部である。距離が長い上に、アップダウンの激しい7つものピークを越えなくてはならない。


 奥丸山から738ピークと680ピークの間のコルまでは、5/30にSHOさんと二人で歩いたところである。 738ピーク付近にも新しい作業道が下から上がってきていた。地図で確認すると、この下にもやはり林道が上がってきている。
 左手には、ガスで覆われているが、「道南の知床半島」と呼ばれる知内町の小谷石と福島町の岩部の間の海岸線を形成する山塊や津軽海峡の景観が広がる(12)
 738ピークと680ピークのコルの5/30に登って来た作業道を右に見て、さらに進む。607ピークと610ピークの間は、薮が濃いところが多かった。
 稜線部分のほぼ中間地点となる610ピークからは、次に越える平坦な710ピークの上に岩部岳が頭を見えた(13)


 ブナ林の中に続く快適な稜線歩きが続く(14)。樹木の専門家であるTaoさんに言わせると「今年のブナは10年に一度あるかないかの豊作でなはいか」と思われるほどたくさんの実がびっしりと付いていた(15)


 南北に尾根がクロスする710ピークは、平坦な地形でどこがピークか分からない。GPSトラックログをみたら、ここはピークを外して道が開かれていた。
 平坦な地形ゆえに、背丈をはるかに超える一面の笹薮の中に道が続く。足元に注意して刈り払い跡を探しながら前進する(16)
 710ピークからの下りに掛かる地点からは、目の前に岩部岳がぐんと近くに見えて元気が出る(17)
 5/30に戻った682ピークからの急斜面を下り、やはり急な最後の683ピークへ登り返すと、まもなく岩部岳への分岐となる。


 岩部岳の分岐にリュックを置いて、岩部岳へのピストンに備える。この登りが今回の一番の急登である。おまけに、昨年刈り払われたばかりで太いネマガリダケの切り口が邪魔で非常に歩きずらい。
 13:40、知内岳からだけでも4時間のアップダウンの激しい稜線歩きの末に、最後のピーク岩部岳へ到着(18)
 国土地理院の三角点以外に「御料地三角点」が設置されていた。奥丸山にも同じものが設置されていた。御料地とは国有地のことである(19)

○岩部岳からの下山


 あとは登り返しがないという安堵感がうれしい。
 頂上直下からずっと歩いてきた燈明岳から知内岳までの尾根と、そこから越えて来た多くのピークが見える(冒頭の画像)。それを眺めて「あんな遠くから良く歩いてきたもんだ」と全員満足感に酔う。
 さらに、眼下に秘境の限界集落である岩部集落が見える(20)20代の頃、職場の仲間とここの会館に泊ってアワビ三昧を楽しんだのが懐かしい。
 
 5/30に往復したばかりの道であるが、林道などないはずの左下の源頭部の方から伐採やブルの音が聞こえてくる。川のそばにぶつかる地点の尾根まで下りたら、真新しい開削されたばかりのブル道が川を横切って奥の方へ延びていた(21)
 しばらくそのブル道を進むが、登山道が寸断されていて分からなくなっていた。お互いの経験と記憶で、登山道を見つけて沢の方に下りたが、再び分からなくなった。最後はGPS頼みで正規の登山道へ出て車のデポ地点へ到着。新しいブル道は、その上から付けられていた。

 15:05、予想を超える8時間50分ものタフなロングコースの末のゴールだった。健脚ぞろいでもこの時間なので、誰にでも勧めれるコースではないが、多くの人に挑戦してもらいたいルートでもある。

 なお、岩部岳の登山道だが、8/31の林道開削工事と造材作業が終わるまでは入山しない方が賢明かも知れない。その後は、川にぶつかる地点までは、その林道を使って迷わず歩けそうだし、鍵を借りると車でも入れそうな感じだ。

 途中でも伐採作業g行われていたそばを通って、無事に国道へ出た。燈明岳へのゲート前に置いてある車を回収に向かう途中から、朝はガスで見えなかった燈明岳がくっきりと見えた(22)

 知内町のこもれび温泉で汗を流し、疲れを癒して帰路に就いた。

 昨年の秋から可能性を考え、偵察を繰り返したきた結果の念願達成だけに、今年に入って最も満足感の大きい山行となった。






「北海道山紀行・目次」へ     HOMEへ

inserted by FC2 system