知床・硫黄山 (1562m)A
<硫黄川コース>  3名 11,7,7
94,8,8の知床・硫黄山
 シレトコスミレ狙いで17年ぶりの再訪・・・最高の天候に恵まれ、念願が叶う

4:00 うとろ道の駅シリエトク発
4:40 カムイワッカの滝林道ゲート
登山
地点
下山
5:05
5:15
5:45
6:50
7:50
8:30
林道ゲート
登山口
硫黄採取場跡
硫黄川へ
稜 線
頂 上
12:10
12:00
11:45
10:45
 9:55
 9:30
[3:25]所要時間[2:40]
13:00 知床五湖入口(中標津組と解散) 
13:15 知床一湖まで高架木道をピストン
15:00 羅臼温泉・ホテル峰の湯(入浴)
16:00 羅臼道の駅(車中泊)
昔、硫黄が採れたことが山名の由来になっている硫黄山は、羅臼岳から東に連なる知床連山の東端に位置する鋭峰である(1)。

 今回は、長い間の念願だったシレトコスミレ狙いで、その時期に合わせての17年振りの再訪となった。実は、この計画は数年前から目論んでいたが、ずっと登山口のあるカムイワッカの滝までの自家用車が通行禁止になっていた。しかし、今年から6月末〜7月末までの限定で解禁になったのですかさず実行に移した次第。

 中標津の岳友MiさんもMoさんも5回ほど登っているが、シレトコスミレは見たことがないとのことで、同行してくれることになった。 前夜、うとろの道の駅で待ち合わせ、ジンギスカンやビールなどたくさんご馳走になった。

 最高の天候に恵まれ、3時起きで準備に掛かる。おにぎりまで作ってもらい、カムイワッカの滝のゲートを目指す。ゲートに到着したら(2)山岳ガイドがいて、「ここの駐車場は滝を見に来る車のためのものなので、登山者は300mほど手前の駐車帯に置くように」とのこと。しかたなく、車を置きに行って戻る。前もってメール添付で送っておいた「道路特別使用承認申請書」の写しをボストに投函してスタート。

○シレトコスミレとの対面を楽しみにスタート
 
 10分も掛からないで登山口に到着。登山口は以前より手前に移動していたようだ(3)最初はミズナラ林を進むが、直ぐにハイマツが出て来て、400m付近でハイマツ帯となる・・・さすが知床の山だ。

やがて、新火口の下に到着。そこには「旧硫黄採掘地」の標識が立っていて、その遺構が見られる。その先には目指す硫黄山の頂上が鋭く天を突いている(4)

 この火山は純度の高い融解硫黄を吹き出すことで知られ、安政年間(1858-60)には会津藩による採掘が試みられている。明治7年(1874)には開拓使お雇い外国人ライマンが現地踏査を敢行し、本格的な操業は明治時代と昭和前期の二度行なわれた。噴火当時は流れ出た硫黄でカムイワッカの河口部まで谷が埋まったとのこと。ここの硫黄採掘は昭和14年まで続いたらしい。
 
  その上の新火口一帯は、噴石や溶岩や硫黄の噴気孔などの荒涼とした中を登っていく。前回はもっとはっきりとしていたペンキ跡も薄くなっているし、踏み跡がはっきりしなくなっている(5)
 
 やがて、ハイマツのトンネルへと入っていき、長い尾根歩きとなる(6)このハイマツ帯の尾根がやたらと長く感じる。二人も同じことを感じていて、「もっと早く沢へ下りたような気がする」と話していたが・・・。

 標高950付近でようやく沢へ下ることができた。汗だくの尾根歩きから解放されて、一気に涼しくなった。初めは伏流している涸れ沢だったが、やがて、雪解け水の水流が現れる(7↓)


 沢の中のところどころに、エゾコザクラが咲いていた(8)。やがて、1050付近で雪渓が出現し、それが1350付近まで続いていた。斜度も緩く、滑落の心配はなかった。自分は得意のスパイク長靴とピッケル持参だったが、二人はダブルストックと登山靴だけだった。軽アイゼンが必要なほどではなかった(9)この雪渓の中段までで7名の先行者を全部追い越し、先頭になった。

念願のシレトコスミレとの対面
 
 雪渓を抜けてまもなく、源頭が近くなり、ザレ場となってくる。それそろシレトコスミレがあるはずと、足元を気にしながら登っていく。

 1360付近でまずひと株を見つける。ひと株見つけると、次々と目に飛び込んでくる。その一帯でちょうど見頃の10株ほどを見ることができた。

 写真では何度も見ていたが、やはり本物との対面は感激が違う。花はもっと大きいと思っていたが、他のスミレの花と同じくらいの大きさだった。しかし、花心部は黄色く、その下の花弁に紫色の筋模様が入っている。葉は、厚く光沢があり色も濃い(10〜13)

 このほかに、源頭から稜線に出たところにも5株ほどあったが、日当たりが良いせいか、既に終わりかけていた。この花との対面が目的だったので、十分なのだが、前回は展望に恵まれなかったので、次は展望狙いで17年振りの頂上を目指す(14↓)

 ロッククライミングもどきの急な岩場登りの末に辿り着いた頂上には先に着いているはずの早足のMoさんはいなかった・・・当初、私が「できれば南岳まで足を延ばしたいので、硫黄山のピークにはこだわらない」と言っていたので、Moさんは、頂上へ向かわないで、先に稜線上の縦走路から知円別岳方向へ向かったらしい。我々が頂上へ登っているのを見て、戻ってきて後から登ってきた。Miさんと南岳を見て、「あそこまで足を延ばすのは大変だね。もうここで大満足」と話していることろへ到着・・・申し訳なかった。

○頂上からの大展望を楽しむ

 頂上には一等三角点が設置されているが、計っては見なかったが、18cm角のはずの他の一等三角点より絶対大きな感じがした(15)


羅臼岳方面をバックに記念写真・・・羅臼岳の先のこれまでに登った知西別岳、遠音別岳、海別岳、斜里岳までくっきりと見えていた(16)

頂上から知床岳を望む・・・9年前に一泊で登ったのが懐かしい(17)

頂上に咲いていたコケモモの花(18)



国後島の最高峰爺々岳も見えた(19)

荒々しい様相の先の知円別岳(左の尖り)と南岳(右端)を望む(20)


ウトロから斜里方面の海岸線を俯瞰する(21)

頂上を彩っていたメアカンキンバイ(22)

○熊との遭遇が待っていた下山

 大展望とポカポカ陽気の中、1時間ものんびりして下山開始する。

 無我夢中で登ってきた岩場の下りは怖い。しかもルートがはっきりしない。先頭になって慎重に下る(23)(Moさん提供)。

 岩場の下で緊張から解き放たれたところへ、山岳ガイドにロープで繋がれた一行が正規ルートの雪渓の上を登ってくる(24)我々は、怖いので雪渓の縁の踏み跡を上り下りした。

 多分見納めになるであろうシレトコスミレをじっくりと眺めながら下山。雪渓の中段辺りまで下りたところで、一人の男性が手を振って何か叫んでいる。登りで最後に追い越したシレトコスミレ狙いの人だった。近づいていくと、「下に熊がいる」とのこと。


 もっと近づいて下を見ると、確かに熊が身体を雪渓に擦りつけながら回転している(25)声を掛けても知らんぷり。近づいて笛を吹き、声を掛けたら、漸く動いたが、雪渓の岸に上がっただけで、こちらは全く無視で草を食み始める。先に下りていた男性は、知床財団の熊担当のレンジャーの方だった。手に熊よけスプレーも持っている。その方の指示に従ってこちらも動く。向こうの動きを見ていると、かなり人馴れしているようで、襲っては来ないだろうと判断し、12m程の幅の雪渓の端を静かに通過。その間ずっとこちらを見詰めていたが、これまで近くで見た熊の中で最大だった。こちらを向いている顔がでかかった。一人だったらびびっていなくなるまで通過はできなかっただろう(26)。 その後、順調に下山し、ゲート前の詰所の方に熊のことを話したら、「最近、人馴れした熊がときどき現れるという情報がある」とのことだった。

 知床五湖の入口で中標津の二人と別れ、高架木道で整備された一湖までピストン。二湖〜五湖を巡るガイドツアーは一人5000円という非常識な?料金なので、文句を付けただけで止めた。2時間も掛からないガイドに一人5000円は高い。せめて3000円程度なら我慢して廻ってみたいが・・・。しかし、この有料のガイドツアーは熊の活動期の今月末までで、来月からは自由に廻れるらしい。

 その後、知床峠を越えて、羅臼温泉のホテル峰の湯で入浴し、羅臼の道の駅に落ち着いた。翌日の予定は天気次第だったが、長期予報が1週間も雨か曇りの日ばかりだったので、700kmの道のりを14時間掛けて、一気に帰ってきた。

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