いにしえの旧道 白神山道(福島町松浦〜白神岳)を歩く    単独、06,5,25

江戸時代の松前町白神地区〜福島町松浦地区を結ぶ白神山道の一部を白神岳まで往復する

7:00 ふくしま道の駅
登山
地点
下山
7:40
8:45
9:15
松浦橋
旧山道合流地点
白神岳
10:25
9:50
9:30
[1:35]所要時間[0:50]

GPSトラックログ
 北海道最南端の白神岬は白神岳と天狗岳が急傾斜で落ち込んで急断崖を形成しているため、岬回りの道路ができたのは、昭和43年である。したがって、それ以前は松前側と福島側を結ぶ道はあちこちにあったようである。『道の歴史を訪ねて』(三浦宏著)に掲載されている地図でもたくさんのルートが記録されている(1)

 これらの中で「白神山道」と呼ばれているのは、福島町松浦から白神岳を経由して松前町側へ通じるルートで、山越えの距離が短いので、おもに江戸時代に歩かれた道らしい。これも多くのルートがあるようだ。ちなみに、旧国道228号線は現在も車での通行が可能で、この吉岡峠経由のルートは、昔は「吉岡山道」と呼ばれていたらしい。さらにその北側に、吉岡の不動滝の上を巻いて、松前の大沢に繋がる「松前街道」もある。ここも昔は車が通ったらしい。

 今回は、前日歩いた「殿様街道」同様に、千軒塾の浅野さんが中心となって探索・整備した松浦から白神岳間のルートを歩いてみようと考えた。ちなみに、これらの知識がまだなかった昨年の一日違いの5/26に天狗山と白神岳の間は稜線伝いに往復している。

 松浦の手前の吉野の漁港から白神岬と白神岳を望むが、ルートは頂上左にあるピークの北東尾根(写真の右尾根)を登るようである(2)松浦橋からその川沿いに道路と家が並ぶ中を登って行き、沢の左岸沿いの踏み跡を辿る(3)地図の点線の林道が手がかりであるが、まったくその痕跡はなく、やがて藪の中へ入っていく。踏み跡もなくなり、藪をこぐのが面倒なので、スパイク長靴の強みで沢の中を進む。
 
 笹刈りがされている痕跡も見つからず踏み跡も分からない。あちこち藪漕ぎをしながらうろうろしたが、どうやら、手前の枝沢に入り込んで前進したらしい。山道のある尾根は右側なので、そのままその尾根を目がけて藪を漕いで登っていく。ところが、標高100m付近の派生尾根の先端まで行くと、明らかに昔の人が歩き込んだ痕跡のある広い道状のところにぶつかる。しかし、笹刈りがされていないので、これは別ルートらしい。その痕跡を薄い藪を漕ぎながら忠実に登っていく(4)。途中になにかの境界を示すのであろうか・・・「北山」と書かれた新しい標石も設置されている(5)

 そのまま標高200m付近まで登っていくと、尾根の上に道らしいものが見えるので覗いてみたら、笹刈りがされ、赤いテープも付いたはっきりとした山道である。これが、初めからねらっていた道である。そのすぐ上で二つの道は合流していた。どうやら私が辿った道は、千軒塾の浅野さんが「尾根の道から左下を見るとすぐ下に別の道が見えますよ。」と話していた別ルートの道のようである。
 
 そこからは、安心して笹刈りのされた痕跡のある尾根道を辿る(6)やがて、尾根の右斜面をトラバースするようにシラネアオイが咲き、蕾を抱いたヤマツツジの木の目立つ道が続く(7)。その先を進むと、植林地の間を通って頂上下のコルに出る(8)

 頂上を南から巻くように続く舗装道路を登っていくと、反対側へのルートとなる白神川の谷地形とその先に白神の集落が見える。白神峠とはこの辺りなのであろうが、その辺りからその谷へ続く尾根は植林地で、道の痕跡は見えない。

 昨年に引き続き2回目の北海道最南端の一等三角点の設置された頂上へ到着する(9)

 頂上から来た方角を眺めると、辿ってきた松浦からの沢地形と登ってきた尾根が見える(10)。西側に天狗山とその間から反対側の白神側に下りるルートが続いているであろう尾根や谷が見える。白神川の谷地形の海の先には小島が、その右手に松前市街地が見える(11)。北側にはまだ白さの目立つ大千軒岳が見える。 それらの眺望を楽しんで、15分ほど休み、下山を開始する。




 帰りは、笹刈りのされているルートを下るので、どこで間違えたのか知る楽しみもある。240m付近で、尾根の北側に下りていくようなこれも旧道の雰囲気を残すところもある。どうやら、この尾根の両側には、いろいろな道ができていたようである。登りで合流した地点を過ぎて、どんどん下っていくと、地図上の点線の林道の末端までその尾根の上に道は続いていた。刈り払いの痕跡はここまでで、この後は、沢沿いの林道の痕跡を残す踏み跡を下っていく。しかし、それもやがてフキや夏草に覆われてはっきりとしなくなる。やがて、登りで間違えて入った沢の合流地点に出る。あとは、沢の中を漕ぎ、踏み跡を辿ってゴールイン。

 このルートは、下の沢の中の道をもう少し整備すれば、立派に白神岳への登山道として使えるコースとなる。登山会を兼ねた「いにしえの道・白神山道を歩き、白神岳へ登ろう」というイベントをやったらいかがであろうか・・・・?

 福島の道の駅で待機していた妻に電話して迎えに来て貰い、松前温泉に向かうが、営業時間が15:00からに変更になっていたので、着替えて松前公園の遅咲きの桜を楽しむ。その後、松前町原口と上ノ国町小砂子を繋いだ昔の小砂子山道探したが、よく分からず、上ノ国町の湯ノ岱温泉に入って、帰路につく。


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