尖峰(せんぽう)(953m)<標津町> 
[川北温泉林道〜北東尾根ルート] 山スキー&ツボ足 3名 2010,3,27
09,3,18の天候悪化による途中撤退の記録へ
 
天候と雪の状態に助けられ、昨年の天候悪化による途中撤退のリベンジを果たして、展望のピークへ
 
7:00 Miさん宅発
7:45 金山橋手前(川北温泉林道入口)
登山
地 点
下山
 8:00
 8:35
 9:00
 9:25
10:10
11:00
11:30
11:40 
林道入口
林道分岐
林道終点
北東尾根取り付き
スキーデポ(560m)
前衛峰(790ピーク)
東 肩
頂 上
14:00
13:30
13:15
13:00
12:50
12:30
12:05
11:55
[3:40]
所要時間
[2:05]
14:30 標津町「鉄の湯」(入浴)
15:30 Miさん宅着
17:00 中標津公共駐車場(泊)


  武佐岳の真北に聳えるまさに名前の通りの鋭く天を突く端正な形をした標津町の山である。標津側から根北峠へ向かう国道244号線を北上すると、武佐岳の右側に見える山である(1)

 昨年の3月に挑戦したが、天候悪化(下山途中に雨)のために前衛峰(790ピーク)で撤退。どうしてもそのリベンジを果たしたくて再訪した。

 Miさんは20年振り2度目、Moさんは初挑戦、自分は昨年のリベンジ・・・と、それぞれの思いでこの山を眺めながら、国道244号線を北上。

 金山橋手前の川北温泉(露天風呂のみで除雪なし)への林道入口に車を置いてスタート。その前に金山橋からこの山を眺める・・・やはりいい山だ。否が応でも登高意欲を掻き立てられる・・・(2)

 イケショマナイ川沿いの川北温泉へ向かう林道は、自分たちの向かう2.5km地点の分岐から右の林道の途中まで、昨年同様に、除雪された痕跡がある。

最近降った新雪がスキーの歩きを快適なものにしてくれる。この新雪のお陰で、昨年カリンカリンで苦労した前衛峰(790ピーク)への急斜面も何とか突破できるかも知れないと希望が膨らむ。しかし、昨年のこともあるので、ロープまでは必要ないと思って持たなかったが、アイゼンとピッケルは用意した。

2.5kmの分岐で右の林道を進む。目の前に昨年同様目指す頂上も衝立のような前衛峰もその下の尾根も見えている(3)
 

 林道終点には、昨年と全く同じ1時間で到着。ここから右の沢沿いに進む。スノーブリッジを利用して3度ほど右岸左岸と渡りながら・・・。昨年より雪が柔らかくて歩きやすい(4)昨年は、北東尾根の手前の沢地形に取り付いたが、今年は少しその先へ進み、直接その尾根の末端に取り付いた。

 尾根を忠実に辿り、急で狭くなる560m付近にスキーをデポする。その先は、一番元気の良いMoさんが先頭になって、膝上ほどの深さの新雪をツボ足でラッセルしながら登っていく。さしずめ人間機関車の雰囲気・・・・(5)

 やがて、尾根のピークに到着。行く手を阻む衝立のように聳える前衛峰(790ピーク)と頂上が目の前に現れる(6)
 
 この前衛峰への登りは、尾根は岩尾根なので登ることはできない。稜線のコルを目がけて、斜面を登るしかない。しかも、この斜度は、その先の頂上への尾根より急である。ここを突破できれば、上の尾根は何とかなる・・・昨年は、この斜面がピッケルの爪しか掛からないアイスバーンで、ピッケル利用の四つん這いと滑落防止のロープまで使って苦労して、なんとか稜線のコルまで到着したが、目指すピークも見えなくなり、雨雲が押し寄せてきて、ここで撤退を決断したのだった。

今年も堅い斜面だったら、この斜面を右下から巻いて、前衛峰とのコルに直接上がることを考えてきたが、その心配はなさそうだ。

 ここは、キャリアの長いMiさんが先頭になってルート工作をしながら、ときには腿までもある深さのラッセルで登っていく。昨年は滑落が怖くてSHOさんにロープでフォローしてもらってビビりながら登ったのだが、この深い雪のお陰で、その恐怖心はまったく湧くことはなかった(7)しかし、上空が曇り出し、雪まで舞ってくる・・・今年もか・・・?と昨年の撤退が頭をよぎる。

 昨年の苦労を知っている自分は呆気なかったが、お二人は深いラッセルの急登が結構きつかったようだ。

 前衛峰の稜線まで登り切り、左手にこの後登る北東尾根を見ながら、そのピークまで登る。かなり曇ってきたが、目指すピークは右奧に見えている(8)

 ハイマツで覆われている前衛峰のピークから、コルへ下って、一定の斜度で東の肩まで続く南東尾根に取り付く。ここの斜度は、越えてきた前衛峰の斜度よりは少し緩い感じで、しかも、雪庇の右側はダケカンバ帯なので、恐怖心を抑えてくれそうだ。

 再び、人間機関車もどきのMoさんが先頭になってガンガン登っていく(9)一部キックステップが必要なところもあったが、一歩一歩確実に登っていくことができた。そのうちに青空は再び広がり始め、陽射しも戻ってきた。

 30分ほどで東肩まで登り切る。あとは、稜線の西端にある頂上を目指すだけだ。痩せ尾根ではあるが、風もほとんどなかったので怖くはなかったが、歩きながら展望を楽しむまでの余裕はなかった(10)

 スタートして、3時間40分、2年越しの念願の狭い頂上へ到着(11)

 記念撮影を終えて、ようやく落ち着いて、この山の一番の魅力である大展望を楽しむ・・・。知床方面は雲が低くく見えなかったが、それ以外はまあ満足できる状態である(12〜15)。
 

狭い頂上での記念撮影

根室海峡を挟んで見える国後島と羅臼山

 考えてみれば、この山は、自分も参加するはずだった、毎年秋に全道から集って実施される薮山仲間の「薮山オフミ」の2年前の山であった

 癌で入院したときに見舞いに駆け付けてくれた「地図がガイドの山歩き」チームのメンバーに「今秋の薮山オフミは、尖峰で坂口さんの全快祝いをするので、ぜひ参加してくださいよ。」と言われていたのだが、直近になって都合が付かずキャンセルして以来の念願の山である。

 彼等は、2日連続ソウキップカオマナイ川を遡行して、前日に北隣に屹立するペクンネウシヌプリ(一等三角点名・弁勲嶺)を登り、翌日、この山に登ったのだが、天候に恵まれず、この山の魅力でもある大展望を楽しむことはできなかったようだ・・・。 


南隣の武佐岳

東方面の俣落岳〜サマッケヌプリ方面へと続く稜線

すぐ北隣に屹立するペクンネウシヌプリ山
一等三角点の山(点名・弁勲嶺)

 昼食は、高度感のある頂上では尻が落ち着かないので、下の風の当たらないところで摂ることにして、「眺めて良し、登って良し」のまさに秘峰中の秘峰の一山をゲットできた満足感に酔いながら下山を開始。

 稜線の途中まで戻ったら先ほどまで雲に隠れていた斜里岳が頂上を見せてくれた(16)

 東肩からは、頂上部分がハイマツに覆われた前衛峰を眺めながら、登りのトレースを辿って南東尾根を下る。ダケカンバの木なければ、高度感に苛まされる斜度である。

 前衛峰に戻って、改めて辿った南東尾根と頂上を見上げる。二人とも満足感に満ちた表情で、自分たちの町・中標津方面の展望を眺めている(17)
 
 
  前衛峰の斜面を下りたところで、ダケカンバの巨木を発見・・・これほど太いダケカンバは初めてかも・・・?(18)。

 そこから少し登り返した展望の開ける尾根のピークで昼食を摂り、下山を続ける。スキーデポ地点からスキーを着けて、沢に出るまでの緩やかな斜面で少しではあるが、滑降を楽しんだ。

 下山後、標津町に新しくできたらしい「鉄の湯」という温泉で汗を流す。

 ○器用なMiさん
  実は、スタート時に、自分のストックのリングがないことに気付く。林道や沢沿いはそのまま気にしないで歩いていた。しかし、登りに掛かる尾根に取り付いたら、片方がスッポリ埋まって苦労した。その様子を見ていたMiさんが、トドマツの枝を使って器用に鋸とナイフで作ってくれたリングが上記の写真である(19)この様な資質のない自分には思いもつかないアイディアと器用さに感心・・・自宅のサンルームや家の前のコンクリートの敷石まで自分で作ってしまうMiさんならではのアイディアである。肝腎のリングは、自分の車の後に落ちていた・・・。
09,3,18の天候悪化による途中撤退の記録へ
  
 同行いただいたMoさんページへたくさんの大画像に、私がいっぱい写っています) 


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