砂蘭部岳(さらんべだけ)(984m)  北尾根ルート 2人  03,3,16

1000m弱の山であるが、八雲町の後ろに聳え、小鉾岳に登ると、すぐ北側に荒々しく聳える気になる山を、自分なりのルートで登ってきました。
  
 6:00 函館発 
登山地点下山
 8:35
11:00
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12:05
車デポ地点
961ピーク
(昼  食)
頂  上
13:57
13:00
12:42
12:20
[3:30]所要時間[1:19]

14:30 遊楽亭 (温泉・入浴)
15:30 ハーベスタ八雲(食事)
17:20 帰宅

GPSトラックログ(112kb)
 
 
八雲町市街地の後ろにゆったりと聳える1000m弱の山であるが(1)小鉾岳に登って南側から眺めると荒々しく聳え、存在感のある山である。バブルの頃は、スキー場と麓にゴルフ場の一大リゾート計画が持ち上がった山であり、夏道ができるのではないかとの期待もあったが、現在ではその話題も消え、山スキーでの初挑戦となった。 

 この山名は遊楽部川の南側の大支流・砂蘭部川の源流にあることに由来するのであろうが、永田方正の『北海道蝦夷語地名解』によると、「サラ・ウン・ペッ(尾・の・川)と記されているが、山田秀三によると、「サル・ウン・ペ(葭原・のある・もの(川)」だったのかも知れないとのことである。

 この山の登行記録は文書でもインターネットでも見つからず、地図とにらめっこして、砂蘭部川沿いの林道から頂上へ緩やかに伸びる北尾根をルートに設定し、GPSに入力して置いた。ちょうど兼用靴も買ったという、2週間前、目国内岳で山スキーデビューした元同僚のSaさんに付き合ってもらうことにする。

 はじめ、除雪されている砂蘭部川沿いの林道と除雪されていない大新からの林道との分岐の駐車スペースに車を置いて、そのちょっと奥の川の橋を渡ったところから取り付こうと思っていた。その分岐には、昨日のものと思われる下ってきたスキートレースが残っているが、登りのトレースは見当たらない、林道の奥の方へ靴の足跡だけが続いているのが気になる。

  はじめ、予定していた取り付き場所から試みてみたがは、余りの急斜面で諦め、30分ほど無駄な時間を過ごしたが、さらに奥の方へ車で進むことにする。簡単に尾根に取り付けるところを探しながら進むと、次の川の橋との中間辺りの沢地形から簡単に尾根にあがれそうなところを見つけ、そのすぐ奥に駐車スペースがあったので、そこに車をデポする。林道に続く気になる足跡は、その奥の方へ続いている。多分、次の川の手前の尾根から取り付いたのであろうか?

 小さな沢地形から左側の尾根に上がり、雑木林の緩やかな斜面をのんびり辿っていく(2)やがて、240m附近で林道を横切る。さらに進み、そのすぐ上のコンタ400附近のトドマツ林の手前で右側から登ってくる昨日のものと思われるトレースと合流する。また、古いながらもピンクのビニールテープもときどき目にするようになる。目の前のトドマツ林の西側の縁をしばらく辿ると、どうしてもその林の中へ入らなくてはならないところにぶつかり、そのトレース通りに林の中へ入っていき(3)そこを抜けると、東側の沢沿いに上にまっすぐ続いている林道跡に出る。

 前日の下りのトレースは、そこから、来たルートではなく、東側へ向かって続いている。それが、最初目にした下りだけのトレースへと続くのである。最初は、迷ったのかとも思ったが、このトレースの謎は、次の日に解明することになる。(私が前日の5日にこの山に登るという情報をつかんでいた八雲町のHYML仲間のBaさんが、一緒登ろうと思って来たのだが、自分の下山地点に車をデポして、私の車を探しながら林道の奥にスキーを担いで、テクテク歩いたが、その気配がないので、奥の方から自分一人で登り、車のデポ地点へ下りたとのことである。そんな事情を知らない私は、二日酔いで次の日に延期していたのである。申し訳ないことをしたが、おかげで私は大助かりであった。)

 しばらく林道がまっすぐ頂上方向へ伸び、その両側にところどころトドマツ林が続く(4)コンタ500m附近で密度の濃い暗いトドマツ林に入っていく。とても頂上方向へまっすぐ進むにはきつい密度だと思っていたら、直ぐに、トレースもピンクのテープもやや広めになっているトドマツの間を進路を西側へ変えて続いている。やがて、浅い沢地形の縁へ抜けてホッとする。そこからちょっと浅い沢地形の中をトドマツ林の縁を巻くように進み、再び尾根に乗って、後は雑木林の斜面を登り、728地点を通過する。その直ぐ上の急斜面へ取り付く地点でスキーを脱いで一息入れる。

 今回500m附近からシールに雪が付くという初体験をすることになる。重いし、滑らないし、団子にはなるし・・・シールが古くなったからなのか、雪質によるものなのか不明である。ただ、標高を上げていったら雪質が変わったせいなのか、まったく付かなくなった。いずれにしてもシールワックスというものもあるらしいので、これで対応するしかないようである。


 左側には横山のピークが見え、そこから961ピークへ繋がる稜線が覗く。そこから961ピークまでの斜面は、雪質も斜度も林の混み具合も帰りの滑降が楽しめそうなおいしい斜面である。斜度はジグを切るほどでもなく、最短距離を直登できる程度である。しかし、眺望はほとんどなく、ただ黙々と登るだけである(5)

 3時間ほどで、横山と961ピークを結ぶ稜線に出る。ようやく頂上との対面である。北側の緩やかな尾根とは対照的に急斜面で落ち込む眼下には桜野の広い牧場が覗き、その右側から伸びる小鉾岳が頂上の東側の急な雪崩斜面の左側に覗いている。北西側を振り返ると、薄く雲を被った遊楽山塊が、そこから西側に屏風のように連なる渡島と檜山の境界線上の800〜900mクラスの沖沢山や元小屋沢山などが連なって見える。一度コルまで下って登ることになる頂上の北尾根は雪庇を発達させ結構な急斜面に見えるが、あと30分くらいのものであろう(6)

 標高差50mほどのコルまで一端下り、その後はなるべく雪庇には近づかないようにその西側の林の急斜面をトラバースするように登っていく。どうやら頂上から伸びる西尾根を目指してトラバースし、その西尾根から巻くように頂上へ出るらしい。一度もジグを切ることもなく、西尾根に乗り、細いダケカンバが3本生えているだけの広い頂上斜面に飛び出すように到着である(7)。一番先に目に飛び込んできたのは、2度登って逆にこちらを眺めていた鋭い岩峰を屹立させている小鉾岳である。シンボルである岩峰は見下ろす形になるので、バックの雪景色の中に埋もれて、青空に鋭く天を突く夏山ほどその迫力が感じられないのが残念である。その右奥に微かに乙部岳の姿も見える(8)遊楽山塊はほとんど雲の中ですっきり見えないのが残念である。振り返ると八雲の広い平地と噴火湾の海が覗いている。

 15分ほど、写真を撮ったりしながら休憩し、風も強いので、昼食も撮らずに、961ピークの登り返しに備えてシールを剥がさずに下山を開始する。20分ほどで961ピークに到着。そこで、小さな雪庇の陰には入り、小鉾岳と乙部岳や眼下の桜野牧場の眺望を楽しみながらの昼食タイムとする。風がないと太陽が表面から照っているのでポカポカ暖かいが、時折後ろから雪庇を越えて吹き付ける突風が冷たく、あまりゆっくりもしていられない。20分弱で切り上げ、シールを外して、楽しみな滑降開始である。

 961ピークから750m付近までは、適当な斜度の広い北斜面の疎林帯だけに雪質もよく、気持ちよいターンが刻めるのがうれしい。登りの苦労を考えると一気に滑り降りるのがもったいない感じで何度も止まりながら上を振り返ったり、その後の木々の間を縫うコースの見当を付けたり・・・・それでも、あっという間に斜度の緩む728地点まで下ってしまう(9)その下の沢地形からトドマツ林に入る手前の斜面もターンを楽しめる斜度なのだが、サンクラストしていて無理ができないのが残念である。

しかし、途中から雲がとれ、頭を出した形で姿を見せてくれた雄鉾岳のが斬新な眺めである(10)その後は、斜度も緩く、ターンを楽しむことはできず、登りのトレースを辿って戻るだけである。昼食タイムの961ピークから1時間弱で車のデポ地点へ無事戻り、5時間30分弱の山旅はおわる。帰路に就くころにはすっかり晴れ渡り、頂上から見ることができなかった遊楽部山塊が途中からすっきりと見渡せるのがうれしい(11)

 恒例の下山後の楽しみ温泉は、八雲町浜松の国道5号線沿いに新装された遊楽亭(400円、シャンプー、石けん付き)にする。運転手付きなので、ビールも飲めるのがうれしい。露天風呂が温くて疲れた体にはずっと入っていられるのが気に入る。直ぐそばにあるケンタッキーフライドチキンで営業しているハーベスタ八雲に寄り、1600円のバイキングを腹一杯食べて一路函館に向かう。




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