[98] 三頭山(1009m)  [雨煙別コース] 98,7,12(日)
   
ガスの中をただ黙々と、ピークハンターのみの往復がちょっと残念
7/11 
 18:00 札幌       
 19:20 旭川       
 20:00 幌加内
7/12           
 4:00 幌加内      
 4:30 登山口(丸山分岐)  
登山地点下山 
4:40
5:20
5:55
登山口 
一息坂 
頂 上
6:50
6:25
6:00
[1:15]所要時間[0:50]

  天塩山地の第2峰である。最高峰のピッシリ山は一応敬意を表して、2年前、利尻山挑戦の前日に登ってはいたが、この山は、結果的に、この夏休み中の日高の1839峰を「北海道百名山・完全一人歩き制覇」のゴールにするための98山目の山として、登ることとなった。息子の北見への引っ越し付き添いのどさくさに、その挑戦の機会は訪れたが、まったく展望のないガスの中の往復が、単なるピークハンターの餌食にしか過ぎない山にしてしまったのが残念である。

 札幌を夕方立ち、高速道路を旭川まで、さらに。幌加内まで向かう。駅前で遅くまで開いていた「手打ちそばや」を見付け、「日本一のそば粉生産の町・幌加内」のそばを食べない手はない。さすがと思わせる天ざるそばと生ビール2杯に大満足で、駅前広場での車中泊を決める。
 登山道入口の入林届の入れ物
 朝、4時に目を覚ます。朝方まで雨が降っていたようであるが、初めから、雨でも決行の積もりで来ただけに、雨が上がっただけでもよしとしなければならない。もちろん目指す方向は濃い雲で覆われたままである。早速登山口のある雨煙別を目指して、国道 275号線を北上し、5分程で林道へ入る。
 
 まもなく、登山道入口にある手作りの入山届のポスト(1)で入山届けを済ませ、「夏山ガイド」に「4WDの車なら・・・」と記載されている林道を入れるところまで入ってみようと思い、わが愛車FFのスプリンターで取り付く。いきなり、大丈夫だろうかと思うほど急な道が目の前に現れる。轍の間に生える草が腹をするが、幸い雨裂はなさそうである。4か所程、FFだからギリギリ登れるであろうと思われる急な箇所がある。最後の砕石状態の急坂は、空回りをしながら、止まったらどうしようと不安になるような状態で進んで行く。これまで、ずいぶんといろいろな難しい林道を強引に入ってきたが、これ程、急な坂道が続く道は初めの経験である。この山の一番の印象はこの林道である。   そんな道をなんとか進み、丸山の頂上へ到着。そこが、政和コースと合流地点・丸山分岐の登山口である。そこには、車が10台以上も止められるようにブルで整地され、採石をきれいに敷き詰めた駐車場が作られている。
 ガスの中のダケカンバ林を行く
 ちょうどこの登山口の高さより上が、濃いガスで覆われていて、小雨がぱらついている。上は雨具をつけ、登山靴は止めにし、長靴を履いてスタートする。4mくらいの幅できれいに刈り払われた真ん中に踏み跡が続く快適な登山道である(2)。初めから展望は諦めているだけに、登山道と道端の植物の変化だけが楽しみである。登山口から、ずっとエゾシカの新しい足跡が続いている。これが途中消えることなく頂上まで続いていたのには驚いたが、頂上にはその姿はなかった。何の目的でずっと登ってきていたのだろう。
ミソガワソウ
 頂上まで繋がる尾根の上を進むらしいが、なんども小さなピークのアップダウンを繰り返す効率の悪いコースである。最初の標識が「馬の背」、両側から攻めてくる谷の中がガスの下にその姿を見せている。これが唯一の展望である。強い風の音と木々から風に飛ばされて落ちる滴の音だけが響くシラカバとトドマツの林の中を黙々と登る。直径1m位もあるシラカバの大木があちこちに目立つ。
 
 次の標識が「見晴台」、晴れていれば、頂上部の全容が見えるらしいが、今日は空しいだけの標識である。次の標識が「一息坂」、ここがおよそ中間地点らしい。名前からして、いよいよ急な登りに掛かるらしい。岩が露出して、高山らしい雰囲気が出てくる。道もジグを切って進むようになる。やがて、その急な道の途中に花の咲いている草付き斜面が現れる。ミソガワソウ(3)、ミヤマハナシノブ、アザミの仲間のむらさき系統の花が多い。この直ぐ上に「胸突き八丁」の標識がある。この前後がちょっとした花畑で、唯一のチャームポイントである。
 頂上の様子
 急登が終わって、チシマササとダケカンバだけの平坦な道になる。目の前にボヤッと丸いピークが見える。そこを巻くようにして進み、少ないながらもハイマツに覆われたピークを越える。そこから直ぐ前にまたピークがぼやっと見える。そこが、頂上であった。この三つのピークが三頭山の三頭なのであろうか。
 
 登山口からわずか1時間15分の黙々登山での末、ガスの吹雪き状態の中に現れた頂上は、広く刈り払われた草原状の中に数本の小さなダケカンバと立派な標識だけが立っていて、天候が良かったらのんびりと寝転びたいほど快適な環境である(4)。しかし、今は、横殴りの強風とガスに立っているのもやっとである。 その様子を2枚カメラに収めて、水も飲まずに、下山を開始する。

 あとは、やはりまったく展望のないガスの中を下るだけである。急な濡れた斜面で、2回も滑って転び、谷の方へ転げ落ち掛かっては笹に救われる。ズボンが泥だれけになる。 下りは50分でゴール。リュックに背負っていった水もパンも口にすることのないまさに「朝飯前のピークハンター」で終わってしまったのがちょっと空しい。
 突然開けたガスの下の幌加内盆地
 下りの車の中で、突然眼下に開けた平地の眺めがとても新鮮なものに見えたのが不思議でさえあった(5)。よく登ってこれたと思われるような急な坂道を、車の運転席から、スキーのときに滑り降りる斜面を上から眺める感じで、慎重に下る。途中、一人の男性が運転する一台の車と擦れ違う。入林届けを見ると、「登山」と記入されていた。こんな状態に登るのは私だけではないと思うと、ちょっと気が軽くなった。

  帰途、幌加内の方から車を止めて、山の方向を眺めたが、すっぽり白く厚い雲が山の上半分を隠すように覆ったままである。ついに、この山もピヤシリ山と同じで、その姿も形も分からないままである。あまり訪れることのないこの道北の山の姿を眼にするのはいつのことであろうか。                      
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