三毛別山(445.9m)&下古丹別山(388.5m) <苫前町>
3名 14、6,28
苫前町の『羆嵐』の舞台となった三毛別熊襲撃事件現場の奥からの三毛別山と、移動して下古丹別山の2山ゲット

○三毛別山<登り 南面直登沢、下り 南西尾根>
 
6:20 苫前町の道の駅
6:55 『羆嵐』の現場
登山
地 点
下山
 7:30
 7:35
 8:15
10:10
車デポ地点
入渓
大滝
頂上
12:05
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10:25
[2:40]
所要時間
[1:45]

下古丹別山へ


 三毛別というと、映画化もされた吉村昭の著書『羆嵐』を思い出す。1915年(大正4年)12月9日〜 12月14日にかけて、当時の苫前村三毛別六線沢で発生した日本史上最大規模の獣害事件である。羆が数度にわたり民家を襲い、開拓民7名が死亡、3名が重傷を負った事件である。
 ちなみに三毛別の名だが、川べりに立っていた看板には「サン・ケ・ペツ(san-ke-pet 山から浜へ出る・処・川)の意味で、冬の間 川の上流に部落を作って狩をし、夏になって海辺の部落へ出るとき、この川沿いを通路としたことから名付けられた」とあった。
 
 今回の三毛別山は、一度登っている「地図がガイドの山歩き」のsaijyoさんから「坂口さんにぜひ登ってほしい」と言われていた山である。当初は札幌のIKKOさんと二人で登るはずだったが、saijyoさんも同行してくれることになった。前夜の内に苫前の道の駅で集合し、景気づけをして朝を迎えた。

 国道から三毛別川沿いの道を進み、羆事件の現場へ到着(1)。10年ほど前に妻と観光ついでに現場を訪れたことがある。そのときは、まさか、この現場の奥から山に登るなどとは夢に思わなかった。
 さらに、その奥のウエンナイ川沿いの林道を進む。崩壊して実質的な林道手前に車をデポして、スパイク長靴でスタート。5分ほどで入渓(2)
 沢の中を800mほど進むと170二股となる。その左の顕著な沢が頂上への直登沢である。


 まもなくF1が現れる。なんなく突破すると、その先のc200付近で2段になったF2が現れる。昨年登ったsaijyoさんとKo玉さんは、この滝の突破を諦めて左の尾根に取り付いて、そのまま頂上まで薮漕ぎで登ったという。最初は右から巻こうと試みたが、泥壁で不安になり諦めた。saijyoさんが滝の右端の倒木を利用してなんとか突破することができた。IKKOさんが下からロープを投げ上げて、それで引っ張り上げてもらった(3)
 さらに2段目の上の滝は、自分が左から先に登ったが、最後の一歩の足場がない。立ち往生していると、saijyoさんが直登して、シュリンゲンて引き上げてくれた(4)


 その後のF3を越えると、滝はなくなり、変哲のない狭い沢が続く。やがて、水流がなくなり、急な薮へ突入(5)
 沢型もはっきりしなくなり、稜線までの薄い薮斜面を登る(6)


 振り返ると、登ってきた沢地形が見える(7)。頂上は登り切った稜線上の右手のピークだった(8)


 稜線の笹藪をかき分けながら進むと微かに薮の薄いところがあり、その下に三等三角点(点名・三毛別)があった。三角点を囲んで記念撮影(9)
 頂上からは展望が得られないが、5mほど奥から南側の展望が広がる。しかし、低山が連なっているだけで、まったくもって山座同定は不可能だった(10)

 下山は、GPS頼りで、車のデポ地点へと連なっている、昨年saijyoさんとKo玉さんが下った南西尾根を下ることにした。濃い薮でも下りは楽である。ときおり尾根を外すことがあるが、GPSで修正が利く。実に頼もしい相棒である。「地図がガイドの山歩き」も、最近は「GPSがガイドの山歩き」になったと冗談も出る。

 途中にミズナラの巨木が尾根を塞いでいた。IKKOさんが腕をまわしても1/3周にも届かなかった(11)

 やがて、林道へ出たら、狙い通りにすぐ先に車が見えた。

 この後、国道へ出て、下古丹別山へ向かった。

 saijyoさんの昨年の記録へ




○下古丹別山 <南東直登沢>

12:05 三毛別山下山
国道239号線から古丹別山林道へ
登山
地 点
下山
13:35
15:15
小沢出会い
頂上
16:25
15:30
[1:40]
所要時間
0:55]

下川町五味温泉へ移動


 三毛別山を下山後、二人はすでに林道偵察を済ませてある下古丹別山へ向かうという。古丹別山、上古丹別山と、既に登り終えている二人にとってはおり、この山を登らなければ納まりがつかないというのがその主な理由のようである。こちらとしても、函館から出かけて登るほどのこともない地味な薮山ではあるが、貴重な新ピーク狙いでお付き合いすることにした。

 三毛別山は予定に入れて来たので、地図で確認済みだが、この山はどこにあるのか分からない。すぐに近くの山だろうと思って後ろを付いて車で走る。日本海側の国道へ出て、さらに内陸へ向かう国道239号線を30km以上も走り続けるので驚いた。古丹別山林道のゲートからその奥へと進む(1)やがて彼らは迷うことなく小沢出会いの林道跡の入口へ車を停める。

 蕗で覆われた廃道となって久しい感じの作業道跡を進んで入渓。穏やかな明るく、砂地の中の細い流れといった感じである(2)


 快適な沢歩きで、距離的にも、標高差もわずか150mほどなので、この調子なら楽勝だと思っていた。しかし、そう簡単には問屋は卸さない・・・・沢はさらに細くなり、何とも心もとない感じで薮が被ってくる。c280m付近の地形図上にはない二股で水量のある左股へと入るが、その後すぐに沢形は消えてしまい、緩い斜面の藪漕ぎとなる。そこからが地獄の薮漕ぎだった。笹に絡みついた山ブドウとコクワの蔓が邪魔して、まったく捗らない(3)。やがて、笹藪のない斜面の先に稜線が見えてくるので、急斜面だがそちらへ向かった(4)

 稜線だと思ったら、それは尾根だった。そこで大休止。頂上までの距離が160m・・・交代で先頭を切っていた二人はかなりバテ気味で、「撤退しようか?」などと冗談を言っているが、その時は本気だったらしい。 その先の笹藪も強烈で、ここも蔓が絡まって前進に苦労させられた。
 
 やがて、一番高いところの背丈を越す笹藪の中に三等三角点(点名・下古丹別)はあった(5)

 展望などは望むすべもない。二人とも唯一の証拠となる三角点だけをカメラに収める(6)

 下山は、頂上からかなりの急斜面だが、滑るように真っ直ぐ沢地形を目指す。蔓の絡まった笹は上からだとまとめて踏めるので、意外と簡単に下ることができた。

  函館からははるか遠く離れた薮山で、しかも登った山さえ平地からは見ることができない奥深い低山ではあるが、新ピークゲットには変わりはない。自分の山数を増やすには、もう薮山しか残っていないだけにこれらも貴重な山である。
 
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