三段山(1748m)及びその周辺(十勝連峰)
                            00,02,11〜13
    北海道の山ML仲間のおかげで、冬山山行初体験を楽しむ。
 
 めったにないこの時期の3連休は、昨年暮れに発足した北海道の山メーリングリストの山仲間のお陰で初体験づくしの充実した一人歩きでは味わえない冬山を楽しむことができた。舞台は、十勝岳の麓・吹上温泉の白銀荘を根城とした山スキーのメッカ・三段山を中心とした山域である。 
 
第1日目 <車リフト利用?の十勝岳温泉の駐車場上からバーデン富良野までの林間滑走の巻>
○2月10日(木)
  17:00 函館発
  22:15 札幌着
○2月11日(金)[曇りときどき雪]
  7:30 札幌出発
     (Kaさん、Koさん、Siさん、私の4名)
  11:00 白銀荘着
  12:00 林間滑走3本
     十勝岳温泉駐車場から
     バーデン富良野まで
     (移動は車利用)
  15:15 白銀荘着
     (Kuさん, Saさん合流)
   ※温泉と懇親会三昧
     (Taさんご夫妻駆付け)
深雪の滑り(Kaさん撮影)
 前夜のうちに札幌に入り、妻の実家に泊り、近くの中学校の前でKa,Ko,Siさんの3名と合流。初対面のSiさんの車に同乗させていただき、3日間の根城となる上富良野町の吹上温泉・白銀荘を目指す。

 到着後の半日の予定は、車をリフト代わりにした十勝岳温泉駐車場上からバーデン富良野までの林間滑走である。白銀荘にチェックインして昼食をとり、車2台でバーデン富良野まで移動し、そこから1台に同乗し十勝岳温泉駐車場へ。天気は曇りでガスもその下辺りからは晴れている状況である。

 スキーをつけて駐車場の上へ膝上ほどのラッセルして登る。まだ誰も滑っていないパフパフ深雪の斜面が用意されている。私以外は何度も滑り降りているコースらしい。まず、 160cmのエキスリームタイプのスキーを履いたSiさんが物凄いスピードで気持ち良さそうに雪煙りを立てて滑り降りて行く。その後をテレマーカーの2人とアルペンスキーの私が続く。物凄く軽い雪で膝ほどの深雪であるが、まったくのゲレンデと同じ感覚で滑ることができる(0)。これまで最高だと思っていたニセコの粉雪より軽い雪である。

 やがて、角度45°を越えると思われる急な源頭状の上に出る。ビビっているとSiさんが「ここがいちばんおいしいところですよ」と、飛び込んで行き、涼しい顔で谷底に立っている。あとの3人は悪戦苦闘をしながら滑り降り、あとは温泉があちこちに湧わき出ている緩斜面を下り、バーデン富良野の駐車場へ。標高差200mくらいのコースであろうが、念願のパフパフ深雪滑走を味わうには結構なコースである。上に置いてある車を取りに行き、合計3本の滑降を楽しむ。
合計8名の懇親
 3時間近くで、3本目を終えて、Koさんと二人でバーデン富良野の駐車場で待っていると、そこの宿泊客らしい女性が出てきて車の雪を払っている。「似た人もいるもんだ」とその人を思い出しながらぼけっとその様子を眺めていた。その女性がホテルに戻り、入れ代わりにその方のご主人が出てきて「どこを滑られたんですか?」との会話をしているうちに「ひょっとしたら、北海道の山MLの方々ではないですか?私、同じMLの富良野のTaという・・・」と言い終わらないうちに、「そうだTaさんだ!坂口です・・・」とサングラスを外す・・・奥さん共々昨春一緒に芦別岳ユーフレ本谷コースを案内していただき、夏に恵山に登りにきたとにお会いし、しょっちゅうメールでやりとりしているのに、顔を見て直ぐに分からなかったのが悔しい・・・!。こちらもサングラスを掛けていたので向こうも気付かなかったらしい。そこへ車で戻ってきた2人が合流し、私以外は初対面の挨拶を済ます。「富良野ワインと富良野の漬物を届けてあります。」との言葉に、宿に戻って聞くと、6本ものワインと4種類の漬物が待っていた。

 白銀荘に戻ると、一人で三段山の直ぐ下まで行ってきたというSaさんと札幌から着いたばかりのKuさんが合流。今晩のメンバーが全員揃ったので、ビールで乾杯し、温泉へ。宿は、山スキーのメッカの新装2年目の快適な温泉である。食堂やあちこちの部屋では満館の登山愛好者で賑わっている。

 夕食は、「シェフKaさん」の手の込んだ、しかも下拵えまでしてきているビビンバ丼とレタスの添えられた焼肉である。それぞれに持ち込んだおかずや飲み物で盛り上がっているところへバーデン富良野に宿泊しているTaご夫妻も駆け付け、楽しい交流の輪が広がり(1)、22:00 過ぎにはベッドへ潜り込む。                           

第2日目 <ガスと吹雪きを突いての三段山スキー登山>
○2月12日(土)[雪]

  9:00 白銀荘発 
  11:25 三段山着  
  11:35 三段山到発
  12:30 白銀荘着 
   ※温泉と昼寝と懇親会三昧
  (午後、Siさん帰札、18:30 Adさん合流)
三段山へ出発(白銀荘前)
 朝、起きると空は曇り、目指す三段山も見えず、しかし、風もなく・・・。野菜の豊富なベーコンエッグとパンの朝食をとり、元気に三段山を目指して6名で出発(2)。私はセキュラフィックス使用の重いスキーであるが、先行グループのトレースを辿るラッセルの必要のないシールでのスキー登山である。

 すでにいくつかのグループが三段山斜面目指してスタートしている(3)。1段目のおいしそうなまだ荒れていない斜面を横目に見ながらジグを切って登り、林を抜けると2段目の斜面で、その上は森林限界で、ガスも濃くなり結構風当たりも強くなってくる。この辺りになると、途中から滑り降りてくる人達が目立つ。上の方に行くにつれて両側の尾根に挟まれた谷地形になっているので吹き溜まりが深く、風でしまっているせいか重くなってくる。滑り降りてくる人達も結構手こずっているようである。休んでいるうちにバランスを崩して転んでしまうが起き上がるのに大変である。
白銀荘前から三段山への向かう
  だんだん先行グループが途中で引き返すのでトレースが分からなくなり、高度計を頼りに見えない頂上を目指し、年長者のSaさんとKuさんが主に先頭を切ってジグを切りながら登って行く。雪がクラストして堅くなった急な斜面を詰めると、そこからて安政火口となって切れ落ちる崖になっている稜線上に出る。左手には頂上の下のような感じの岩が見える。そこを目指して詰めると頂上標識が見え、まもなく夏にもまだ踏んでいなかった三段山に到着する(4)。

 仲間のお陰でこの真冬に新しいピークをひとつ増やすことができ、足元の安政火口が一部覗く以外(夫婦岩が見えたような気がするが)は展望のない状態であるが、夏に再訪する楽しみも増え大満足のひとときである。不思議なことに風もなく、シールを外したり下る準備をするにも快適な頂上である。写真を撮ったりしながら10分後、後はそのために登ってきた楽しみな大滑降のスタートである。
 三段山頂上にて
 早速どこでもぶっ飛んで行くSiさんがトップを切ってスタート。上の斜面は吹き溜まりとしまって重い雪のために思うようなターンを刻むことができない。あっという間に標高差100mくらいのところで休んでいたKaさんのところまで降りて合流する。その下も2段目の斜面の上まではかなり手こずる深雪で、かなり急斜面でも止まってしまったり、転んだら起き上がるのに大変である。

 2段目の斜面からはようやく軽い深雪となる。すでに途中から滑り降りたたくさんのシュプールに荒らされた後なのが残念であるが、豪快なパフパフ状態の深雪を満喫するには十分である。その下の風の当たらない林の中に入って一休みして、最後の1段目の斜面を下る。ここも、かなり荒らされたあとで、なるべくいいところを選んで最後の深雪滑降を楽しんでゴールイン。

 まだ時間的に早かったが天候も良くないし、頂上まで行けた満足感からスキーを乾燥室へしまい込み、ビールと昼食と温泉と昼寝の憩いモードに入る。明日用事のいあるSiさんが帰り、2時間程の昼寝をして目が覚めたら、シェフKaさんが腕を振るい、飲むためのおかずを意識したという食品数豊富で具たくさんのとん汁が仕込み終わっていた。

 早速、懇親会第2夜である。ビールのほかにいろいろなワインを飲み競べながらの楽しい宴が盛り上がっている18時半頃、22時以降到着予定だった楽しいまさに山男のAdさんが到着し、さらに楽しい話題で盛り上がり、あっという間に消灯時刻の22時となりベッドイン・・・。

必見!
SaさんのGPSとカシミールを使って作成した「三段山山行の3Dトレース図」
      (2日目のトレースが赤色、3日目のトレースが青色)
 
第3日目 <結果的になってしまった冬山深雪ラッセルトレッキング>

○2月13日(日)[曇りのち雪]
  
  8:45 白銀荘発(車)
  9:15 十勝岳温泉駐車場
  10:15 崖尾根上
  11:50 白銀荘着
  13:15 白銀荘発
  17:00 札幌着(解散)
  23:00 函館着
 朝起きて、露天風呂に直行、なんと富良野盆地の上空は晴れて上がり、十勝連峰は手前の稜線が見えている。しかし、その主稜線は姿を隠したままである。心はやりながら、昨夜の残りの御飯ととん汁にうどんを入れた味噌汁の朝食をとっているところに、Adさんに電話が入り、加入している山岳会の仲間がニセカウの斜面で雪崩に巻き込まれて行方不明とのこと・・・。「これから北見峠に向かいます。」と残念そうな表情も見せず、颯爽と爽やかな山男の雰囲気を残して去っていった。
深雪ラッセルの様子
 後の5名のメンバーは、今日の予定である十勝岳温泉から崖尾根を越えて白銀荘へ下るコースを目指し、2台の車で十勝岳温泉駐車場へ向かう。途中、芦別岳が朝日にその雄姿を輝かせている。しかし、目指す十勝連峰は富良野岳の山肌と崖尾根だけが姿を見せているだけである。

 十勝岳温泉駐車場から1日目滑り降りた斜面を左手に見ながら崖尾根が見えるところまで登って行く。物凄い深雪である。次々とラッセルを交替しながら進んで行く(5)。人一倍重く長いアルペン用のスキーにセキュラフィックスの自分は、そのスキーを振り上げて踏み下ろさなくてはならないだけにかなりのハンディではあるが、何度かトップを切らせてもらう。体が疲れる前にスキーを振り上げる腿が上らなくなってしまう。

 ようやく小さな尾根に登ると1522m ピークまで繋がる荒々しい崖尾根の全容が目の前に飛び込んでくる。ちょっと下り、スタートして30分程で、最大の難関、越えなくてはならない崖尾根下に到着。真上から雪庇が覆い被さって見え、雪崩の心配も頭をよぎる。トップを交替しながらジグを切り、高度を上げて行く。下を見ると、単独行の男性が私たちのトレースを辿り、途中から崖尾根の下をずっと登って行く。どこを目指しているのであろうか?

 上の方へ近づくにつれて、傾斜が増す上にクラストしてステップが切りづらくなり、無理すると雪崩が起きそうな心配がある。私がトップに立ち、もう少しで越えられそうと思った地点で立ち往生してしまい、つぼ足で試みるが無駄である。後ろの方からジグを切り直し、なんとか崖尾根の上に出る(6)。いつのまにか青空もなくなり低い雲に覆われている。限られた展望ではあるが、下に広がる森林や崖尾根の1522ピークなどを眺めながらひと休みである。
ようやく崖尾根の上に立つ
 崖尾根から少し下り、トラバース気味に三段山斜面を目指す。ここからもまったく一歩一歩スキーを振り上げながらのラッセル状態の深雪で下りなのに登りモードなのが辛い歩きである。トップを交替しながらようやくここから滑り降りようというおいしそうな広い尾根斜面の上に出る。少しでも長く滑ろうとちょっと登ってシールを外す。いざ大滑降・・・と思ったら、深くて重たくて全然進まない・・・思いっき切り後傾姿勢での直滑降でも止まってしまう。スキーが抜けてこない、もがいているうちに転んでしまい、起き上がるのに一苦労である。おいしい斜面もただラッセル下りで終わる。

 森林限界から林の中に入っても深いところに入ると全然滑らないので、他人のトレース跡を辿りながらのボブスレー感覚の滑降で、一段目の斜面の横に出る。残りわずかな下りを楽しんでゴールイン・・・・本来はもっと豪快な滑降が楽しめるはずのコースなのであろうが、結果的に深雪ラッセルスキートレッキングになってしまったのが、ちょっと残念であるが、冬山の醍醐味を十分味わったという点では満足な半日である。

 みんなが車を取りにいっている間に先に温泉に入らせてもらい、充実した初めての本格的な冬山山行を反芻しながら疲れを癒す。今度ここを再訪するときは、夏山ルートを十勝岳温泉から三段山に登り、できれば上ホロまで往復し、白銀荘へ下るコースを歩いてみたいものである。

 Kaさんの車に乗せていただき、中富良野で旭川ラーメン(ちょっとがっかり味、旭川ラーメンが好きだというKoさんは怒っていた)を食べ、そこでSaさん、Kuさんと別れ、札幌を目指す。札幌で妻を拾い函館へ向かいさらに5時間余、長万部から南は全然雪が降っておらず、まったくの夏道状態に、わずか数時間前の深雪との戦いが夢のような感じで車を走らせる。

一緒に行ったKoさんの「三段山のページ」(北海道の山とスキー)へ
一緒に行ったKaさんの「三段山のページ」(Kamiiのtrekkingpage)へ


「スキーあれこれ」目次へ   HOMEへ

inserted by FC2 system