狩勝峠駐車場(車中泊)
登山 | 地点 | 下山 |
6:45
7:50
8:33 |
登山口
桜山(950.5m)
頂 上 |
10:25
9:30
9:00 |
[1:48] | 所要時間 | [1:25] |
オダッシュ山登山口へ
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この山は日高山脈の北端に位置し、東斜面はサホロスキー場を初めその山麓一帯はサホロリゾートとして開発されている山である。登山道はスキー場の中を辿るコースと国道38号線の狩勝峠(昔の石狩国と十勝国を分ける峠)からひたすら国境稜線上を辿るコースの2本がある。
スキー場の中を歩くのは嫌なので、迷わず後者のコースを選ぶ。前日、会議が終わった札幌を夕方にスタートし、直接登山口となっている狩勝峠の駐車場へ向かい、濃いガスに包まれたまま車中泊で夜を明かす。
この「海の日」がらみの3連休は、後半の2日間は登山道のない北日高の山(春別岳と留辺蘂山)を誘われているので、単独行動の1日目は登山道があるのにまだ登り残していたこの山と同じ新得町のオダッシュ山の1日2山の計画である。
朝を迎えても濃いガスに包まれたまま視界50mほどである。天気予報は悪くないので晴れることを期待してスタートする。
登山口は狩勝峠の売店の南脇の国道横の急斜面に付けられている(1)。登山道はここ2〜3日中に刈り払いされたばかりのようですっきりと歩けるのがうれしい(2)。ただ、濃いガスの中なので、展望は全くなく、目の前に現れる道をひたすら黙々と歩くだけである。途中、地図上では3つのピークを越えなくてはならないようである。
30分ほどで最初のピークである838ポコを越える。
この登山道の周りにやたらとタカネザクラ(ミネザクラ)の木が目に付く。ちょうど実を付けているので、余計目立つようである(3)。本来であれば、このあたりから右手に十勝平野の展望が広がるはずである。この登山道は概ね西側は樹木が生い茂り、東側は雪崩斜面のような感じで樹木が少ないようである。
838ポコから一度下り、コルからは桜山(950.5m)への急登が続く。ガスの中なので、目の前の植生の変化だけが楽しみである。ときどき現れる若いダケカンバの純林の白と緑のコントラストが美しい。
1時間少々で新しい標識のたった桜山に到着する(4)。桜山という名称はやたらと目に付くタカネザクラに由来するものであろう。6月上旬頃であろうか、この花の時期に登ったら、まさに花見登山を楽しめそうである。ガスがなければ、ここから頂上が見えるはずであるが、残念な限りである。五分ほど休憩し、再び出発。地図では覚悟してはいたが、帰路の登り返しが気になるかなり急な下りである。
標高差80m近く下り最低コルまで下ると普通は標高が下がると植生も背丈が高くなるのに、ここは風が通るからなのであろうか、背丈も低く、チシマフウロの花やイワツツジ、実を付けたシラタマノキやコケモモなどが目に付き、高山の雰囲気になる。足下のそれらを眺めながら、二つの小さなコブを越えると、再び急な登りになり、あとは頂上を目指すだけである。
急な登山道に岩が露出するようになり、矮生化したアカエゾマツや小さなハイマツが点在するようになり、高山植物が目立つようになるとやがて平坦になり、頂上が近いことを感じさせる。
突然左手に全面を緑色のトタンで覆われたがっしりとした佐幌山荘が出現し驚く。おまけに四角い石の門柱まで立っている(5)。その前を通ると岩場が見え、頂上標識が見えてくる。
とうとうなんの展望もないまま頂上到着である。
頂上には立派な頂上標識と一等三角点の標識と標石がある(6)。また、大きな花崗岩ぽい白い岩が積み重なるように露出していて、頂上らしい雰囲気を醸し出している(7)。本来であれば、位置的にも十勝平野をはじめ360度の展望が楽しめるはずである。
設置されている真ん中に新得町の町章が刻まれた円形の方位板には十勝連峰、東大雪、夕張山系、北日高などの山々の位置を表すプレートが示されているが、全く用をなさない状況である(8)。
それでも、上空は時折晴れ間を覗かせたりして期待を持たせてくれるがとうとうガスは晴れてくれなかった。30分ほど休んで下山を開始する。桜山手前の登り返しは予想通りこのコース一番のきついものであった。やがて、人の声がして、60代と思われる二人の男性が登ってくるのと出会う。こちらは函館からはるばる出掛けたので無理してガスの中を登り、単なるピークハンターで終わったような重い気分であったが、自分以外にも登ってくる人がいるのだと知って、何となく気持ちが軽くなった。とうとう登った山の形さえも目にすることなく、登山口をあとにして、次のオダッシュ山の登山口を目指す。
この山行を終えて帰宅してから、このたび改訂出版された『北海道百名山』(山と渓谷社)には、この山が新しく入れ替えされていることが判明する。