ルベシベ山(1740m)  パンケヌーシ川五の沢本流ルート  単独 04,8,26

易しいパンケヌーシ川五の沢を源頭まで詰め、踏み跡を辿り、ほとんど藪漕ぎなしで、秋色漂い始めた北日高展望の頂上へ

3:30 音更発
5:20 五の沢林道入口
登り
地点
下り
5:45
6:40
7:40
8:05
車デポ地点(1010m)
1260二股
水涸れ地点(1550m)
頂 上(1740m)
10:30
9:25
8:40
8:30
[2:20]所要時間[2:00]
ペンケヌーシ岳登山口へ移動

 北日高には「るべしべやま」と読む山が2山あり、このルベシベ山(ペンケヌーシ岳途中から撮影(1))昨秋登っている留辺蘂山で、カタカナと漢字で区別して表現されている。留辺蘂山は1000mをわずか越えるだけの展望もほとんどない藪山であったが、この山は1740mもあり、360度の展望の広がる山である。さらに、ルートとなるパンケヌーシ五の沢本流は滝もなく、源頭からも藪漕ぎがほとんどないせいか、最近人気のある山だそうである。

 なお、ルベシベと読む地名や川の名前は全道各地に見られる。これらの語源はすべて「ル・ペシ・ペ〜道・下る・川(峠道の沢)」に由来するらしいが、生活に密着した地名だけにあちこちに存在するのであろう。しかし、この山の周りの地図上にはルベシベという沢は見当たらないが、この山のどこかの沢がそのように利用されたのであろうか?

 1年ぶりのパンケヌーシ林道に入る。昨夏の台風10号の爪痕や修復跡を眺めながら14.3km進むと五の沢林道入口である。さらに2.2km・1010m地点の林道の崩壊地点まで入ることができ、広い駐車スペースが用意されている。沢歩きスタイルに身を固め、五の沢の左岸の荒れた林道跡に続く踏み跡を辿る。結構多くの人が入っているようで、踏み跡が非常にはっきりし、赤いテープもあちこちにぶら下がっている。

 1050m二股までは主に左岸にはっきりとした踏み跡が続いている。その後は沢の中を歩いたり両岸の踏み跡を辿ることになる(2)。水に入ったらやけに冷たく感じるので、温度計を見たら8月だというのになんと5℃しかないのにはびっくりする。ネオプレーンの靴下と脚絆でないことを悔やむが、歩いているうちに温まるであろうし時間が経てば気温も上がるだろうと、なるべく沢靴を濡らさないように石を伝い歩くが、とうとう太陽の恵みを受ける源頭まで汗をかくことがなかった。

 6:00を過ぎると、ちょうど沢の表面に朝日が現れ、まぶしくて進む先のルートファンディングができないくらいである。
1150二股の右股は頂上への直登沢であるが、滝が3つほどあるとのことなので、そのまま本流を進む。1200mを過ぎると滑滝状態のところが時々現れて、沢幅も狭くなってくる。進む方向に日高と十勝の境界稜線の山が見えるようになる。

 左から合流する1230付近から進む方向がルベシベ山の東側を巻くように90度南へ変わり、斜度も増してくる。滝もなく順調に進み、2時間ほどで1500mに到達するが、表面に頂上稜線と源頭斜面が目に入ってくるが、すでに微かに紅葉が始まっているのにはびっくりする(3)。振り返ると、無名峰なのが惜しいくらい端正なピラミダルな形をした日高と十勝の境界稜線上の1726ピークが見えてくる(4)。

 1550m地点で水が涸れてくる。そこで、スパイクの付いたノンスリップ携帯靴を沢靴の下に付け、のんびりと休憩する。振り返ると、その端正さが気になる1726ピークの後ろに芽室岳が見えている。急な細い涸れ沢を詰めていくと、二股になり、頂上の方向の右股を進むと、草付き斜面の向こうに頂上が見えてくる(5)。 

 草付き斜面をよく見ると、頂上の方向に向かってトラバースするように微かな踏み跡が見えるので、それを忠実に辿っていく。その踏み跡は頂稜のコルのハイマツ帯へ向かっているが、その地点に赤いテープがぶら下がり、鉈で切り開かれていてまるで登山道のような状態である。少しの間、その濃いハイマツが切り開かれた踏み跡を辿り、コルで反対側の斜面へ乗っ越すと、膝丈くらいの浅いハイマツ帯で、ここもはっきりとした踏み跡が続いている。

 頂稜からは、それまで見えなかった北日高の山々が全部見えるようになる。とくに好きな日高山脈第3峰の1967峰がすっくと天を突く姿がいい。さらに右へ目を移すと、すでに紅葉が始まっている斜面の向こうにチロロ岳が見える(6)。足下のウラシマツツジの紅葉も美しい(7)。

 そんな展望に酔いながらわずか5分で、二等三角点の設置された360度の展望が広がる頂上へ到着する。北側には夕張山系が連なり、その手前にこの次に登る予定ペンケヌーシ岳が見える(8)。

 スタート時には5℃しかなかった気温もポカポカ陽気の20℃まで上がり、爽やかな秋空の下に広がる眺望を楽しみながらのんびりとくつろぐ。とくに、手前に伏美岳〜ピパイロ岳〜1967峰が連なり、その左奥に、十勝幌尻〜札内岳〜エサオマントッタベツ岳、その右側に10日ほど前に越えたカムイエクウチカウシ山までが頭を出している北日高のすっきりとした眺めが山並みがうれしい(9)。

 いつかは登ろうと思っている眼下の止別岳は、そこから北にだんだん高度を上げて連なる尾根上にある1726ピークが非常に立派な姿をしているだけに、低く貧弱な感じがし、さらに山肌に無数の作業道が走り、登行意欲を失いそうである。

  30分近く休憩し、下山を開始するが、明確な踏み跡が付けられ、ハイマツ帯に鉈目まで入れられて整備されているこの山は、沢も初心者レベルなこと、展望が優れていることなどから、かなり多く登られている山のようである。最近人気が出てきているという噂は本当のようで、凄く得をした感じの山である。

。源頭の草付き斜面でうっかり踏み跡を見失い、少しの間笹薮を漕ぐが、すぐに涸れ沢の踏み跡に合流する。危険なところのない沢は下りも緊張感がなく、登りでは冷たい水も気にならず、じゃぶじゃぶと漕ぎながら、どんどん下る。

 ちょうど2時間で車のデポ地点に到着する。靴も脱がず、そのまま五の沢林道を戻り、パンケヌーシ林道へ出て、さらに奥へ進む。ペンケヌーシ岳の登山道に繋がる六の沢と七の沢林道入口をそのまま通過し、先に止別岳へのアプローチとなる八の沢への分岐と林道の様子を確認して戻り、六の沢林道へ入る。


この後9年ぶりに再訪したペンケヌーシ岳へ

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