稜線のコルから頂上を望む
 やがて、傾斜が緩み、尾根も広くなり、頭を越す笹藪の中に広く刈り払われたばかりの笹の切り口で地に足のつかない新しい道が続く。分岐に出たので、1111.9ピークへの道かと思ったが、あとで上から見たら違っていた。トラース気味に道は続き、1111.9ピークと頂上の間のコルで稜線に出る。そこからは頂上までくっきりとした幅広の道が続いている(1)。頂上から南に延びる1232ピークとのV字のコルの間にやたら尖った1839峰が覗いてうれしくなる(2)。
1232ピークとのコルから覗く鋭い1839峰
 日高の山並みとの対面を楽しみに1111.9ピークをバックに、頂上へと急ぐ(3)。やがて「里平の自然に親しむ会」が建てた頂上標識の建つ本峰の100m手前の西峰みんなが到着する。歓声を挙げながらの山座同定が続く。期待通りのチロロ岳〜ピパイロ〜1967〜北戸蔦〜戸蔦別〜幌尻〜エサオマン〜ナメワッカ〜イドンナップ〜カムエク南西稜(カムエクはイドンナップの陰で見えない)〜コイカク〜1839峰辺りまでが青空の下にくっきりと見える。それより南の方は霞んでよく見えない。特に、幌尻岳の大きさとイドンナップの長い稜線、1839峰の尖り具合が印象的な眺めである。その北の方には夕張岳と芦別岳が、さらには大雪の山並みも覗いている。
1111.9ピークをバックに頂上へ
 まずは、記念撮影をして(4)、さらに、遮るもののない展望をということで、笹藪を漕ぎ、本峰まで行ってみると、眼下にエメラルドグリーンに輝く新冠ダムが覗き、遮るもののないスケールのでかい日高の山並みが目の前にどーんと広がる(5)。
頂上で
 さて、「里平の自然に親しむ会」が建てた頂上標識が本峰の100m程手前の西峰に建っている理由を自分なりに推測してみる。この西峰は門別と平取の町境線上のピークである。本峰の位置は地図で確かめると、平取と新冠の町境線上のピークで、門別に位置しないことが分かる。門別の最高峰として町内の「里平の自然に親しむ会」が登山道を開削し、頂上標識を建てるにはここしかないというわけであろうか?(関係者のご意見を伺いたい)

 西峰へ戻り、昼食となる。女性の同行者が多いといろいろな食べ物が回ってくるのがうれしい。しかし、今回の極めつけは男性のMaさんの茶筅で点てる抹茶のお披露目である。茶碗はプラスチックではあるが立派にそれ用の物である。和菓子まで配られ、全員初体験に驚きながらのお茶会が始まる。みんな図々しくお替わりのご所望である。無風でTシャツのままでも寒くないポカポカ陽気とすばらしい眺望に時間の経つのも忘れ、1時間半ほどもくつろいでしまう。まだのんびりしたい誘惑を打ち切って下山しようとしているところに10名ほどの地元グループが到着する。まだ地元以外の人には知られていないはずの登山口に、函館と長岡ナンバーの車が2台止まっていたので、びっくりしたらしい。

 

 里平大滝の上に覗く頂上下りの核心部はなんと言っても登りで苦労した痩せ尾根の下りである。たまには後ろ向きになり、一歩一歩三点確保で下る。こちらの高所恐怖症を知っている上から「坂口さ〜ん、登りより遅いよ!」という冷やかしの檄が飛ぶ。足をかけた石が落ちそうになって、それを抱いたまま動けなくなった人がいたり、慎重な中にも楽しい下山である。最後の難関である大高巻きの岩場では、ロープを離さなかったから一瞬宙づり状態で助かったものの、足をかけた岩が急な谷底へ落ちていった人がいたり、ハプニングも無事に過ぎれば楽しい思い出である。周りの紅葉や登ったから分かった頂上が里平大滝の落ち口のV字谷の中にすっぽり収まって見える様子をカメラに収めたりしながら(6)登山口まで無事到着。

 あのような難しい地形や背丈を超える笹藪を刈り払って登山道を造った「里平の自然に親しむ会」に感謝しながら、登山道より来春の荒れた林道の管理の方を心配しながら、林道を後にする。途中から頂上を眺めたり、ちょっと三和まで回り道して道路の表面に聳えるリビラ山をカメラに収めて、とねっこの湯へ戻る。そこで汗を流し、みんなと別れて帰路に就く。

まだ、つづく(紅葉写真と同行したFuさんの楽しい紀行文)

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