礼文岳 (490m)
[内路コース] 単独  天候・小雨   98,6,27(土)

小雨の花の島の花のない山を駆け足登山し、その後花の道をこれまた駆け足散策

6/26 12:00 函館発(車)
   22:00 稚内着(車中泊)
6/27 6:20  稚内発(フェリー)
   8:15  香深着
       (バス移動)
   10:09 内路着
登山地点下山
10:10
10:45
11:20
登山口
分 岐
頂 上
12:35
12:05
11:40
[1:10]所要時間[0:55]
        (バス移動)
13:30 高山植物園
       (バス移動・乗継ぎ)
[花の道散策(急歩)]
15:15 桃岩展望台
16:20 レブンウスユキソウ群生地

17:15 香深着
17:25 香深発(フェリー)
19:20 稚内着
22:15 名寄着(車中泊)
  フェリーからの礼文岳2年前に利尻山へ登ったころには、梅沢俊氏の『北海道百名山』完登など頭になく、低山でもあり、花もない山ということで、登山対象外としていたために、寄りもしないで帰った山である。

  今年の目標のひとつに、あと6山残っていた『北海道百名山』の完登を決めたが、遠い道北の山が多く残っている。しかし、残りの山をただ潰すだけの単なるピークハンターで終わらないためにも、礼文島を訪れるには、花のピークである今しかないとの連休利用の強行である。午後から稚内を目指す。黒松内から日本海側に抜け、ひたすら 600kmもの距離を10時間掛けて走行し、稚内で夜を明かす。

  この山行は、山だけであれば、わずか往復2時間半程度でもあり、山を下りてからの花散策に備えて、重い登山靴を止めて、運動靴にする。雨の予報であるが、青空が覗く朝を迎え、一番のフェリーで礼文島へ渡る。フェリーから見える利尻富士は上半分が雲で覆われているが、目指す礼文岳ははっきり見える(1)。

 バスの時刻まで、登山と合わせて「花の島・礼文」を垣間見るための時間の使い方について、バスの時刻表と観光案内所を利用して作戦を練る。 まず、バスに乗り、登山口の内路で下車。4人下りるが、直ぐに登山口に取り付いたのは、私と札幌からの同年代の男性の2人だけである。
雲間に姿を現わす利尻山
 この男性も歩くのが速い。たいてい一緒にスタートしても、どんどん間があいてしまうのがこれまでのパターンであったが、この男性、同じペースで後をついて来るので、自然に同行者となり、このあとずっと高山植物園まで一緒に行動することになる。

 バスを下りて、人家の裏からまず海岸段丘の急な斜面をジグを切って登る。段丘面に乗ってしまうと、一面笹で覆われた台地状の標高差のない道をまさにたんたんと進む。はるか先には目指す頂上が見える。この辺から早く登った人達が下山して来るのと擦れ違う。やがて、シラカバと大きなトドマツ林の中を進み、35分で起登臼コースとの分岐に出る。

 やがて、雲はまだ高いのに、雨がぱらついてくる。タイミングを逃さないうちに雨具をつける。この辺から、やや変化のある道となり、樹高も低くなってくる。 反対側が覗ける稜線に出ると、上半分が雲に覆われた雨空の下にぼやけた利尻富士が見えるようになる。その利尻富士を左に見ながら稜線上の道を進む(2)。標高350mを越えた辺りからハイマツ帯に入って行く。こんな標高でハイマツの出現に、さすが北端の山と感心してしまう。頂上の様子

 大きなピークの上に出るとコル越しに、頂上とそこから下ってくる大勢の姿が見える。その人達と擦れ違いながら、最後のハイマツ帯の礫地の急な登りを詰める。本州からのツアー客のようで、かなりの人数にびっくりする。 われわれが到着したときには、小雨がそぼ降る誰もいない静かな頂上であった。露出した岩が頂上の雰囲気を醸し出す外には(3)、二人で、あちこち歩きながら探せども、花がまったく見当たらない。
「霧の中のケルン」
浅地氏画 99.7.22
 
 やがて、雲はまだ高いのに、雨がぱらついてくる。タイミングを逃さない
 雨でもあり、島全体をガスが覆い初め、利尻富士も霞んでくる。展望も
  花のない山だとは知っていたが、みごとに花のない山である。登山道も含めて、「花の島・礼文の例外地」の感さえする。バス路線沿いでさえ、レブンシオガマ、イワベンケイ、チシマフウロ、エゾカンゾウ、矮性のハマナスなどが目を楽しませてくれているのに、登山道の途中一か所わずかにエゾカンゾウが、道ぞいは地味なゴゼンタチバナとアカバナが少々、頂上近くにコケモモとキジムジロが申し訳程度だけである。
なく、花もなく、ゆっくりする気分にもなれず、10分程で下山することにする。あとは、二人でいろいろおしゃべりをしながら、雨足の強くなって来る中、登山口を目指す。


[花の島の駆け足花散策]
 バスの時刻よりかなり早く着いたので、登山口付近で着替えをし、簡単な腹拵えをする。その札幌の男性を誘い、バスに乗り、高山植物園で行くことにする。 海岸段丘の上にある高山植物園にもレブンアツモリソウとレブンコザクラはもうすでに終わっていて、写真でしか目にすることはできなかった。それでも、この礼文島の固有種の花をいくつか目にすることができた。

 雨足の強くなる中を、バス停まで下り、バスに乗る。この島のバス停は標識がどこにもないのである。それもその筈、自由乗降であり、お客さんが頼んだところで下り、立って待っていると止まって乗せてくれるシステムである。札幌の男性は、1泊して、明日、花散策をするということで、予約しておいた民宿の前でバスを降りる。こちらは、予定通り、フェリーターミナルまで行って、バスを下りる。
桃岩展望台コースの花畑
 最終フェリーまでの2時間ほどが勝負である。リュックをコインロッカーに詰め込み、7分後に出るバスに乗って、桃岩展望台の登山口まで行く。今が一番の花の見頃である桃岩展望台コースとレブンウスユキソウの群生地である林道コースの歩きであるが、ゆっくり歩いて入られない。

  桃岩展望台コース一帯は北海道天然記念物に指定されている屈指の花畑であり、大きなレブンシオガマとチシマフウロが目立ち、その中に、エゾカンゾウ、リシリゲンゲ、レブンソウ、レブンキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ヤマブキショウマ、イブキトラノオ、エゾノシシウド?などがまさに今を盛りと咲き乱れている。これが利尻富士が見え、桃岩が見えたら、最高のロケーションなのであろうが・・・・残念(5)。

 直ぐに折り返し、今度は林道コースを目指す。この辺りから雨が上がり、腰に雨具とジャージーを巻き付け、Tシャツ姿で急ぐ。道端に咲く花々を眺めながらのんびり歩きたいのだが、フェリーの時刻が気になる。一目散にレブンウスユキソウの群生地を目指す。かなりのツアー客や下りてくるのと擦れ違う。
林道コースの付近の斜面
 林道入り口から25分程して、両側をロープで固定された桃岩展望台コースと同じような花畑の斜面に(6)、オオヒラウスユキソウよりかなり小振りなために初め見落していたレブンウスユキソウの白い花を見付ける。よく見るとあちこちに群生しているのが分かる。帰り道、ネムロシオガマを目にする。これも初めて目にする花である。あとは、目的を果たし、フェリーターミナルまでの道を下るだけである。 ただ、心残りなのが、これらの花畑、周りの展望がまったくないことであり、また、ゆっくり見て回れる時間がないことである。今度この島を訪れるときには、のんびり花の島めぐりをしたいものである。

 フェリーに乗るが、靴が濡れていて、替えの靴下がない。横になりたいが、やむなく椅子席に陣取る。 稚内からは、明日のピヤシリ山に備えて、名寄まで雨の中の 170kmの道を南下する。初めて走る国道40号線ではあるが、夜のしかも雨の中の走行が恨めしい。名寄駅前の駐車場に車を置いて居酒屋を探す。満足に朝も昼も食べないで夢中になって歩き回ったためか、生ビール2杯とたこ刺し、野菜炒め、焼きそばが瞬く間になくなった。後は車に戻り、2日間の疲れから、4時までぐっすり眠る。

「花の島・礼文島特有の花々」の写真へ


「北海道百名山紀行」目次へ    「ピヤシリ山」  HOMEへ

inserted by FC2 system