[86]羅臼岳(1660m )[岩尾別コース] 96,9,15 (日)

28年ぶりの展望も、登山者のあまりの多さに色褪せる。

1:30 十勝川温泉
6:15 登山口
登山地点下山
6:30
7:35
9:05

9:45
登山口
弥三吉水
(着)羅臼平(発)
     〃 (着)
頂 上
14:20
12:50
11:30
10:45
10:00
( 3:15)所要時間 ( 3:15)
14:30 斜里農村研修センター?
(温泉入浴)
18:30足寄駅前(車中泊)
前日、憧憬の山・日高のカムイエクウチカウシ山を日帰り登山できたので、残り2日ある休日を利用し、ちょっときついが、こちらにいるいるうちにと思い、2年前の道東山行で、一度登っているので抜いてしまった羅臼岳を28年振りに再訪することに決める。
朝焼けの知床連山
 夜中に目が覚めた十勝川温泉かんぽの宿の駐車場から、そのまま岩尾別登山口を目指して5時間北上し、朝焼けの知床連山を眺めながらオホーツク海沿いの道をひた走る(1)登山口になるホテル前の駐車場は車が満杯で、少し戻った道の脇に駐車をする。すっかり新しいログハウスに生まれ変わっていた木下小屋の前の登山届けに記入し、28年前に歩いた道を微かな記憶をたよりにスタートするが、かなりの人がすでに出発した後である。
羅臼平へ続く大沢を登る
 最初からいきなり急な登りであるが、人気の山だけに踏み慣らされた道である。樹林の中をジグを切りながら高度を稼ぐ。昨日のカムエク登山で疲れた足と右膝外側の痛みを庇いながら、ゆっくりペースで登るも、右膝外側の痛みは登りでは苦にならず、だんだん調子が出てきて普通のペースになる。いつの間にかかなりの人数を追い抜いている。ようやく傾斜が緩くなって来たところでオホーツク海と知床五湖の展望が広がる。

 さらにダケカンバ林へと入り、樹間から2年前に登った知床硫黄山と、そこから繋がる知床連山の稜線と紅葉の山肌が覗く。沢の音が近くなり、待望の弥三吉水に到着。休憩している人が5人程。喉を潤し、水を汲む。この弥三吉水も木下小屋も、こよなくこの山を愛し、登山道を開いた木下弥三吉という人の名に由来するらしい。

 さらに、ダケカンバの中の道を進むと前の記憶にはない水場がある。調べると銀冷水というらしい。今は樋が設置されているが、前はただの小川だったのかも知れない。やがて、尾根道から広く開けたザレ場の沢地形に出る。標識には「大沢」とあり、はるか羅臼平まで真っ直ぐ続いているようである(2)草紅葉ここも、不思議なことに、28年前の夏にはいろいろな花が咲いていたであろうに、まったく記憶がないのである。 エゾツツジやチングルマの草紅葉(3)と白いタカネトウチソウや薄紫色のやけに花弁が反り返ったイワギキョウの花が目立つ。良く見ると足元にエゾヒメクワガタも咲いている(草紅葉と遅い花々)。そんな遅い花を楽しみながら、賑やかな多くの登山者の間を縫って、羅臼平までその沢地形の急な道を登る。
羅臼平にて(羅臼岳頂上をバックに)
 それにしても、28年前と同じ山かと思うはどの凄い人である。天気も良く、3連休の中日でもあるし、最近の登山ブームで深田久弥氏の『日本百名山』に選ばれている山は、本州の人も多く、どこもこうなのであろう。昨日のカムエクでは帰りの八の沢カールで10名程に出会った以外は、まったくの一人っきりだったのとは対称的な登山である。とくにおばちゃんグループはどこでもテンションが高く、賑やかである。

 やがて、大沢を詰め、ハイマツに覆われた中にテントサイトの広がる羅臼平に到着。三ツ峰の双峰が懐かしい。もちろん反対側の羅臼岳頂上の岩塔ともうれしい対面である(4)。そこにも沢山の人が休んでいる。下りてきて、ここで昼食をとることにし、リュックを置いて頂上を目指す。 途中から、東京からきたという青年と一緒になり、帰り羅臼平で昼食をとるまでずっと同行することになる。次々と下りてくる多くの人たちと擦れ違いながら、ハイマツ帯から岩場に変わる頂上への道を辿る。その境目辺りで、これも記憶にない苔むした大きな岩壁から何筋も糸状に流れ落ちる湧き水に出会う。思いっり飲むというような量ではないが、ほかの人につられ、借りたコップに溜めて喉を潤す。

 その後は、大きな岩がゴロゴロ積み重なった岩場を赤いペンキに導かれて、さらに頂上岩塔を目指す。途中で振り返ると、28年前に4人で縦走した三ツ峰〜サシルイ〜オッカパケ〜南岳〜知円別岳〜知床硫黄山の重なりが、残雪ではと思われる知円別岳の不気味な白い火山灰の斜面とともに懐かしい展望である(5)。
頂上から望む知床連山
 やがて、大きな岩の重なり合っている頂上岩塔に到着するが、人が次から次と登って来て、座って休むような空間もなく、トコロテン式に下山せざるを得ない状況である。オホーツク海側は快晴だが、羅臼側は雲海に覆われている。その雲海の彼方に国後の爺々岳ともう一つの山が頭を見せている。またその雲に半分覆われた遠音別岳〜海別岳〜斜里岳の重なりも懐かしい眺めである。眼下にはウトロの町や知床五湖も見える。そんな展望をちょっと楽しんで、カメラに収め、落ち着かないので東京の青年と一緒に下山する。

 下りでは、やはり右膝の外側が痛む。それでも大した気にもせず羅臼平まで下りる。ガスでお湯を沸かし、コーヒーを彼にご馳走しようとしたら、コーヒーは苦手だそうで、ポタージュスープをあげたら、おいしいと言って喜んでくれる。コーヒーを飲み、カレーうどんとサンマの缶詰の昼食を摂る。 その頃から時折、羅臼側からガスが流れてきては頂上を隠したりする。そんな眺めを楽しみながら、明日は斜里岳に登ると言う彼に「とくに登りは変化があっておもしろいですよ。旧道コースを登り、次々と現れる滝を楽しんで、下りは新道コースを下りると龍神の池も見られますよ。」と教えてあげる。

 十分休んだので、「下りは膝が痛くなるので、ゆっくり下りますから、お先にどうぞ。」と彼を先に下りさせ、5分程後にこちらもスタートする。やはり、だんだんその痛みが強くなる。とくに急なところが辛い。昨日のカムエクの日帰り登山はやはりきつかったのであろう。だましだまし、休み休みゆっくり下る。登りとはまったく反対にどんどん追い越されながら、なんとか登山口に到着。

 登山口には有名な露天風呂もあるが、頭を洗いたので、途中どこかの温泉にでも入ろうと思い、走っていると、温泉付きの農村研修センターの看板を目にしたので寄ってみる。200 円といううれしい料金にびっくりするも、気持ちよく汗を流し、疲れた体を癒す。 次の日、膝が痛くなかったら、摩周湖のカムイヌプリとも思っていたが、諦めて足寄まで走り、駅前で夜を明かし、次の日、仮眠をとったり、温泉に入ったりしながら、さらに12時間かけてのんびりと帰宅する。


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