7日目 3/25  ジャタンカルカまで日帰りトレック (キャンジンゴンパ滞在) 


キャンジンゴンパ<3840m>発8:00〜11:00ジャタンカルカ<3,950m>(折り返し地点)
11:30〜途中12:15(昼食)〜キャンジンゴンパ着14:15   テント泊

○快晴の下、周りの山々を眺めながらランタン谷のさらに奥へ

 夜半からの快晴で、放射冷却のせいでこれまでで最も寒い朝を迎える。マイナス10℃はあったであろう。周りの高い峰々から順に朝日が当たり輝いてくる。ランタンリルンの鋭鋒も輝き始め、まだ陽の当たらない隣の5314ピークのうっすらと雪化粧をした黒い岩崖とのコントラストが美しい(1)。

 今日は、本来であれば、ランシサカルカまで行って泊まる予定だったが、雪が深くてテン場の確保が難しいとのことで、日帰りで行けるところまで行くという計画に変更となった。昼食はキッチンスタッフも着いてきて、途中で用意するとのことである。

 8:00、出発。まもなく、川を渡るが、水量が多く、シェルパが全員で大きな石を川中へ運んで、我々のために足場を確保してくれ、さらに途中で我々をサポートしてくれる。しばらく歩いて振り返ると、ランタンリルンと、その左奥に、ここへ来て初めて眼にするランタンU(6581m)がその姿を現しているのがうれしい(2)。歩いている内に、どんどん気温が上がってきて、着ているものを雨具、フリースの順に脱いでいく。

 向かう谷の左側にはツェルゴリ(4984m)、対岸には、もっとも奥にガンチェンポ(6387m)、右側にポンゲンドブク(5930m)、さらに深田久弥も通ったというカトマンズからこの谷へのクラシックルートだったというガンジャ・ラ峠(5132m)、その右側にナヤカンガ(5846m)の峰々が続く広い谷の中を進んでいく(3)。

 2時間ほど歩いたところで、ツアーリーダーが若いシェルパに「キッチンスタッフがどうして来ないの?」と聞くと、「昼はロッジで食べると聞いている。」とのことである。話が違うとのことで、そのシェルパが走って、テン場までキッチンスタッフを呼びに戻ることとなった。

 ツェルゴリの南端を巻くように進んでいくと、ガンチェンポの左奥の谷の表面に、上の方に青氷を被ったランシサ・リ(6145m)が見えてくる。その左側に微かに覗いているのはペンタンカルボ・リ(6890m)だそうである(4)。

 左側のオーバーハング気味の岩崖からはアイスフォールが溶けて、それが落ちる音が辺り一面に響く。3時間ほど歩いた地点が、ほぼランシサ・カルカまでの中間地点で、ジャタン・カルカというところである。カルカとは夏の間放牧に来たときの拠点となるところで、仮住まいとなる石積みの家が数軒固まって建っている。

  帰りの時間を考えると、ここが戻る地点だそうである。まだ物足りない感じで、もっと先へ進み、もっと新しい山も見てみたい欲求に駆られるが、わがままを言うわけには行かない。ランシサ・リの左奥に半分だけ姿を現しているペンタンカルボ・リの姿をもっと見たいので、雪を漕ぎながら一人で川岸の方へ下ってみたら、少しだけであるが、その北側の稜線まで眼にすることができた。

 30分ほどそこで休憩して、みんなで記念撮影をして(5)戻ることにする。さらに近くなったガンチェンポは、そのみごとなヒマラヤ襞がよりはっきりと美しく見える。Yaさんに言わせると、「エベレスト街道の山でもこれほどみごとなヒマラヤ襞は見られない」とのことである(6)。

 復路は、気温が上がり、歩いてきたところは雪が溶けて地面が出てきている。45分ほど戻ったところで、キッチンスタッフがやってきて、昼食タイムである。ちょうど川縁の高台状のところで、陽当たりもよく、休憩するにはもってこいの場所である(7)。

 まず、温かいレモネードが振る舞われ、きしめんと温かいスープ、ホットケーキ、コロッケ、ウインナー、デザートにパインの缶詰まで用意されていたのにはびっくりである。

 どんどん雪解けが進む中を、ランタンリルンやランタンUを眺めながら、氷河の堆積物で扇状地のように盛り上がった地形を越えて、キャンジンゴンパへ戻っていく。

 14:20、テン場へ到着する。帰りに追い越して先に着いていたキッチンスタッフが、今度はティタイムの用意をしてくれていた。ロッジでくつろいでいると、別のロッジに泊まっているという信州大学の学生が一人でロッジを訪問してきた。一人で来て、カトマンズでシェルパを一人雇ってここまで来たとのことである。その若さと行動力がうらやましい。何日も日本語で会話していなかったとのことで、我々と会話できるのが非常にうれしいらしい。

 夕食は、ちらし寿司やオクラを細かく刻んで粘々状にしたものや、豆腐とゆで卵の入った野菜スープなどに感激する。豆腐は悪くならないように茹でてから持ってきたとのことである。そのほかに春雨サラダやピーマンの炒め物も出てきた。食欲は一向に衰えることもなく、毎食腹一杯食べることができた。

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