6日目 3/24  タルチョピーク登山 (キャンジンゴンパ滞在) 


テン場発8:30<3840m>〜10:45タルチョピーク<4340m>11:00〜12:10テン場   テント泊

○周りの展望のない中、タルチョピークを目指す

 7:00、今日はテントや物資・装備等の移動がないので、いつもより遅い時刻であるが、各テントへ紅茶とビスケットが配られ、その後、洗面用のお湯が配られる。8:00、朝食。おじや、シチュー、餅の磯辺巻き、ゆで卵、野菜サラダなどが出される。こんなところでの餅は非常にうれしい。この磯辺巻きが美味しくて3個も食べてしまう。

 今日は、当初から高所順応のために、直ぐ後ろに聳える標高差500mのタルチョピーク登山の日である。すべてスケールの大きなヒマラヤ山脈の中で過ごしているせいか、下から見ても標高差が500mもあるような気がせず、直ぐにでも登れてしまいそうな錯覚に陥ってしまう(1)。

 タルチョとはお経が印刷された旗や5色の旗をロープに結んだもので、人が登れそうなあちこちのピークに立てられている。ここのピークは、展望がよく、ここに滞在する人には高所順応も兼ねて、必ずといってもよいほど登られているところらしい。しかし、今日は曇りで今にも雪が降り出しそうな気配で、昨日まで見えていた周りの山々は全然見えない状況が残念である。

 本来は右側の尾根の陰に緩やかな登山道があるらしいが、そちらは雪が深いとのことで、テン場の上に見える急な斜面を登るらしい。下から見ると、その登山道のような痕跡は見られないが、歩いていくと雪に埋もれているが、ジグを切りながら登るルートがあるらしい。シェルパが先頭になり、しっかりと安全を確認して足場を造りながら登ってくれる。下を見ると、同じロッジに泊まっている欧米人の一行が登ってくるのが見える(2)。

 途中でルートを外したらしく、岩と雪の中を二人のシェルパがルートファンディングしながら登ることになる。やがて、頂上ピークの岩場が近くなり、雪の少なくなったところで、再びジグを切るルートに合流する。下から見ると、直ぐにでも登れてしまいそうな感じであったが、実際登ってみると、標高差500mは十分に感じられる距離と急な登りである。

 やがて岩場の手前から東尾根に乗り、2時間15分で、タルチョの立つ岩場のピークへ到着する(3)。うっかりして、雪に埋もれたお経が印刷された旗を踏んだら、シェルパに注意されてしまった。彼等にとっては神聖なものなのであろう。

 残念ながら、周りの山々はまったく見えない状況である。北側の下に微かに細長いカール地形が覗き、東側には日高山脈のそれを思い出させるナイフリッジの細い急な尾根が延び、その先にやはりタルチョの見えるピークが見える(4)。そのピークか、その奥のピークが4773mのキャンジン・リなのかも知れない。元気のある人はそのピークまで行くらしいが、雪に覆われ、天候もよくないので、今回は無理をしないことにする。

 頂上では、シェルパが持ってきてくれたオレンジを一個ずついただき、15分ほど休憩して下山を開始する。東側の眼下に、ランタン川が蛇行して流れる広い河川敷のような平坦な地形が見える。シェルパの話では、そこに、かつて小型の飛行機が発着した小さな飛行場があったらしい(5)。

 下りは、雪も溶けだして、急斜面をトラバースするようにジグを切って下るので非常に滑りやすい。滑落事故の危険性が高い状況で、慎重に下らざるを得ない。3人の女性の内2人はシェルパにしっかりエスコートしてもらって下るが、そのシェルパの靴は二人ともスニーカーである。途中でKoさんが滑って転倒し、尻餅をついて少し滑り落ちたと思ったら、後ろの方を歩いていた若いシェルパの一人が飛ぶようにして、Koさんの下に入った。その俊敏さと案内人としての自覚やプライドの高さを垣間見た瞬間であった。

 下る途中の岩場の下辺りから、ランタンリルンの南側に聳える5314ピークの迫力ある鋭鋒がガスの中から姿を現す(6)。その後もゆっくりゆっくり慎重に下りながら、登りに要した半分ほどの1時間10分でテン場に到着する。

○雪が降り出した午後はロッジでのんびりと 

 テン場に着いたら、キッチンスタッフの手ですでに昼食が用意されていた。インスタントラーメン、チベッティアンロティ(パンの仲間)、カレー味のジャガイモ、チーズ、野菜サラダ等であった。午後からまた雪が降り出してきたので、ストーブで濡れた物を乾かしながら、ロッジの中でのんびりと過ごすことになる。

 明日は、さらに奥のランシサカルカ<4,125m>まで行って1泊する予定だったが、さらに高度が上がるので雪が深くてテン場の確保が難しいとのことで、明日の移動はしないで、日帰りで行けるところまで行くことに予定変更となる。1日空いた明後日はリルン氷河とキムシュン氷河の様子がよく見える展望台のようなところまで行くことになる。

 夕食は、ダルカレー、ごはん、ピザ、ネパールスープ、芋と野菜の煮物、野菜サラダ、デザート等であった。毎食のようにトマトが出され、野菜サラダには、カブのような大根や白いキュウリ、人参が必ずといっていいほど出てくる。

 ランタン谷へ入って4日目であるが、晴天の日と雪の日が交互に続いているので、明日は晴れの日であろうと期待しながら、テントの中へ入るが、夜半から案の定みごとな月明かりとなった。

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