延べ14日間の旅を振り返って

初めての海外旅行であったが、すべて他人任せの旅で緊張感のまったくない14日間であった。

日程的にも、行動的にも、常に余裕があり、急ぐという概念とはまったく縁がなく、
スケールの大きな景観の中で、のんびりとした時間が流れ、まさにビスタリーモードの14日間であった。

ここに、本文では深く触れることのできなかったいくつかのことをメモ的に述べておく。

○ツアー全体の印象

 函館から3名の経験者も入れて5名の顔なじみのグループ参加ということや、ネパール・ヒマラヤ方面のトレッキングでは最も歴史が古く実績の豊富なアルパインツアーサービスのツアーということで、出発前の手続きや現地での対応等も含めて、一切心配することのない楽しいツアーであった。

 ツアーリーダーのSaさんは英語や現地語も話せるし、函館組以外の5名も年齢が近く、海外トレッキングの経験豊富なメンバーばかりで、楽しく交流を深めることができた。また、全体で10名という人数も手頃な規模だったではなかろうか。さらに、総勢27名という現地スタッフの規模には驚いたが、日本のツアー客の扱いは慣れていて、サーダーやシェルパやコックは結構日本語も話せるし、こちらが英語を話せればもっといろいろな会話を楽しむことができるであろう。その上、なんと言っても感激したのは、よくあそこまでできたと思う日本人好みの食事の工夫である。

 日程的にも、交通機関の接続も余裕がある過ぎるほどであった。また、トレッキング開始後も、高所順応ということもあり、歩き方や幕営地での日程も、日常的にハードな山をやっている自分にとっては、正直なところやや物足りない感がないと言えば嘘になるほどビスタリーモードであった。

○毎日の行動パターン等

 ロッジ泊のツアーが多い中、今回は8日間のトレッキング中はすべてテント泊であった。ヘリコプターの利用で高くなる費用を調整するためでもあるらしい。基本は二人ひと組のテントで快適に過ごせた。今回は予想外の雪に見舞われたのと、ダイアモックスという利尿作用のある高山病対策の薬のせいで、回数が多くなりがちの夜のトイレに起きるのがちょっと面倒くさいくらいであった。

 朝は、シェルパがテントを一つずつ回って熱い紅茶とビスケットを差し入れながらのモーニングコールである。その後、洗面器とお湯を届けてくれるので、洗面と歯磨きをする。連泊以外は、朝食の前に荷物を整理して、テント解体に備える。食事は、キッチンスタッフが3食とも作ってくれて、移動中の昼食も途中のロッジで調理して用意してくれる。トレッキングが終了している3時ごろには、再び洗面や手洗い用のお湯が配られ、ロッジ内でのティータイムとなり、紅茶とミルクとビスケットやお菓子類が出される。夕食後、水枕を利用した湯たんぽが配られる。この湯たんぽは寒い夜には最高で、毎夜素足と薄着で寝ることができた。夜は、ロッジでお喋りをして過ごしてもいいが、毎日19:30頃にはテントへ入って横になっていた。

 なお、トイレは、用意するトイレテント(地面に穴を掘って、使用後は埋める)とロッジのトイレを利用する。ロッジのトイレは、どこでも便器は同じで、金隠しがなく後ろに穴が空いていて、ホースで引かれてバケツ等に溜められている水を使用後に流す方式であった。

○装備等
 
 必要な装備の一覧表は、ツアー会社のパンフレットに掲載されているので、それを参考にして準備した。トレッキング中は、最低必要なもの以外の荷物は、カトマンズで支給されたダッフルバックに詰めたものをポーターが運んでくれるので、行動は27gのリュックでも十分余裕があった。そのほとんどは、家を出る数日前に前もって、スーツケースに詰めてツアー会社から紹介されたスカイポーターで成田空港まで送っておいた。成田でそれを受け取り、成田から飛行機に乗る際に積み込むと、カトマンズまで一緒に運んでくれる。カトマンズのホテルでそれをダッフルバックに詰め替え、不必要なものはスーツケースごとホテルに預けておく。

 用意する服装は、標高差や日較差が大きいので、夏山登山装備の他に、フリースとダウン入りのジャケット、冬用のタイツ、毛糸の帽子などを持参した。トレッキング中の着替えは、個人で違うが、パンツ5枚、Tシャツ3枚、靴下3枚、ジャージーの下などを持った。
 靴は、重い登山靴は嫌なので、これまでの情報や経験者の話から、積雪を想定せずに、ローカットのオフロード用ウォーキングシューズで参加したが、結果的には、ゴアテックスの軽登山靴かハイカットのトレッキングシューズが望ましい。あと、テント生活に便利なサンダルを持ったが、これは利用価値大であった。

 そのほかに、紫外線が非常に強いので、サングラスと日焼け止めクリームとリップクリームは必需品である。今回は、2日目以降の積雪と強い太陽光線のせいで全員顔の皮がむけるほど焼けてしまった。

 カメラは、充電式デジカメは充電ができないので、必要な電池やスマートメディアを必要な分だけ用意する必要がある。自分は、今使っているデジカメとその前に使っていたデジカメと2台持ち、それぞれの手持ちのスマートメディアを余分に持っていった。

○高山病対策
 
 一番心配したのはこれである。寒さ対策とゆっくりとした行動には留意したが、ツアーリーダーから朝夕配られるダイアモックスという錠剤と血中酸素濃度と脈拍の測定のお陰で、また歩き方は、シェルパかツアリーダーが常に先を進むので、そのペースに合わせていると心配ないようである。また、いくら遅くなっても、最後尾にも必ずシェルパがついてくれる。お陰で、全員、無事に行動することができた。さらに、高度障害の一つに下痢が心配されたが、特に、自分は食欲が落ちることなど全くなく、つねに腹一杯食べ続けたためか、トレッキング中はずっと軟便であった。これは、たいていの人が同じ症状になったようである。

○費用

 ツアー会社へ納めた経費は、ツアー料金の36万円のほかに、保険や函館・成田間の交通・宿泊費等を含めて5万円ほどである。持参した日本円は5万円であったが、向こうと日本で使ったのは2万5千円ほどであった。


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