11日目 3/29 シャブルベンシから、バスに揺られてカトマンズへ 


シャブルベンシ発6:45〜8:20ドンチェ8:50〜12:00トリスリ(昼食)12:30〜カトマンズ(ラディソンホテル)着 ホテル泊

○深い谷の斜面を縫うような道を延々11時間もバスに揺られて

 久しぶりに酔いに任せてテントの中に潜り込んだお陰でぐっすり眠って目が覚めたらまだ0時過ぎだった。あとはなぜか眠ることができないまま朝を迎える。バスのトラブルが多いので早めに出発するということで、まだ暗い内の5時に紅茶とビスケットが配られ、洗面用のお湯が届けられる。荷造りがすんだテントからどんどん解体され、5:30には朝食が用意されている。

 朝食を食べ終わった頃には、バスに荷物が積み込まれていた。バスは我々とサーダーとシェルパ、コックとその荷物で1台、もう1台にはポーターやキッチンスタッフが乗り込んだが、そちらの方は全員乗り込めないので、数人は屋根の上である(1)この辺りの乗り合いバスも全部屋根の上にお客を乗せている。

 バスはどちらもTATAというインド製のバスで、中の造りはまさに町工場の手作業で作ったと思われるような粗末な造りで、スプリングもほとんど効いていない。おまけに椅子の間が狭く足の置き場に困るくらいである。さらに、道路は未舗装で、急な谷の斜面を縫うように走る林道状態なので、カーブも多く、もの凄い揺れ方である。屋根の上に乗っている人がよく落ちないものである。

 途中、1本道路にもかかわらず、あちこちで兵隊による検問所があって、そのたびに、なぜか現地人は全員バスから降ろされて、身体検査のようなことをされる。このような検問所が、カトマンズの町に入るまで6ヶ所ほどあった。それだけでも、1時間以上は余計に時間が掛かったようである。

 シャブルベンシから1時間半ほどで、500mほど登っていき、標高2000m付近のドンチェという町を通る。商店が並び、朝だというのに何をするわけでもない人で溢れかえっている通りである(2)。そこからは、ランタンリルンがこれまで谷中から見るのと趣を変え、独立峰のような凛とした7000m峰の風格を見せている(3)
 
 さらに、3時間近く揺られて、1500mほどもどんどん下って、標高500mのトリスリという町へ到着する(4)標高が低いので、気温も高く、北海道の真夏と同じような暑さである。この町の食堂で、地元のダルという数種類のカレーをごはんに混ぜて食べる料理の昼食を摂る(5)

 これまでシェルパと一緒に食事を摂ることはなかったので、気付かなかったが、そのカレー料理を素手で上手にかき混ぜて食べる姿を初めて眼にする。食べた後は、その手をどうするか見ていたら、当然であろうが、台所のようなところへ行って手をきれいに洗っていた。

 このトリスリからカトマンズ盆地へ出るには、もう一度標高2000mほどの高い尾根を越えなくてはならないらしい。見渡す限り、まさに、「耕して天に至る」感じそのものの段々畑の斜面を縫って登っていく(6)トリスリからは簡易舗装の道路となるが、道路の広さは車が1台通るだけで精一杯の広さである。すれ違うたびにバスが急な崖上の道路をバックするのには鳥肌が立つ思いである。そのうちに、とうとう、渋滞のところに出くわす。前を見に行くと、2台のバスがカーブで正面衝突しているのである。幸いけが人はないようである。

 すったもんだで1時間ほども停滞して、ようやく動き出した。両方向にバスが詰まっているので、どのようにお互い交差して通行するのかと思っていたら、どうやら登り優先らしく、下りの車は全部、交差できる広い地点までバックして待っていてくれた。それでも、運転手は急ぐ風もなく、のんびりと現地スタッフとお喋りしながら運転している。とうとうツアーリーダーのSaさんが痺れを切らして、「ヘイ!ドライバー、スピードアップ!スピードアップ!」と叫ぶ。

 そんな事情もあって、8時間の予定が11時間も掛かって、ようやく17:30に9日ぶりのラディソンホテルに到着する。なんと言ってもすることは一つ、9日ぶりのシャワーである。Koさんに先に入ってもらい、自分はダッフルバックの荷物を整理してスーツケースに移し変える。念入りにシャワーで頭や体を洗い、さっぱりとする。お土産や夕食用に1万円をホテルで両替したら6,060ルピーであった。
 
 19:15、ツアーリーダーのSaさんの案内で日本人の経営している鴨鍋料理の店へ送迎用の車で出掛け、最後の晩餐会となる。そこの主人は、若い頃探検家の故植村直巳さんと一緒にこちらの山を登ったりして、現地に住み着いた人らしい。ここの料理も最高の味であった。岩塩の砕いた物を買ったら、その塊をお土産にいただいた。

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