北戸蔦別岳(1912m)〜戸蔦別岳(1959m)〜幌尻岳(2052m) 
<千露呂川・二岐沢コース>  単独  08,6.10〜11

95,9,15〜16の「幌尻岳〜戸蔦別岳<額平川コース>
97,7.20〜21の「北戸蔦別岳〜1967〜七ツ沼」
05,6,19〜20の「伏美岳〜ピパイロ岳〜1967峰〜北戸蔦別岳

癌の術後の念願叶ったカムイコザクラとの再対面と別コースからの幌尻再訪

8:00 日高町
登山 地点下山
 9:50
10:30
11:35
12:30
13:50
14:30
15:15
取水ゲート
二の沢出会い
滝下(尾根取付)
トッタの泉
岩 場
ヌカビラ岳
北戸蔦別岳
15:10
14:30
13:25
12:35
11:55
11:25
11:00
[5:25]所要時間[4:10]
4:40
5:15
5:45
6:10
7:45
北戸蔦別岳
1881六の沢下り口
戸蔦別岳
七つ沼北下り口
幌尻岳
10:45
10:05
 9:35
 9:10
 7:50
[3:05]所要時間[2:55]
[8:30]総所要時間[7:05]
16:00 沙流川温泉ひだか高原荘
               (入浴)
17:00 日高道の駅(泊)
 癌を宣告されたときには、もう縦走装備で山を歩けないのではないだろうかと心配していた。しかし、退院3ヶ月を経過し、最近の山行で自信を深め、試すなら、このコースと決めていた。狙いはカムイコザクラとの再対面と別コースからの幌尻岳再訪である。

  北戸蔦岳は、これで3回目となるが、すべて縦走装備での挑戦である。きついコースではあるが、熟知しているのが強みである。

 早朝のうちに、穂別の宿弗山(しゅったやま)に登って、日高町に入る。関係者から整備前の登山道偵察の命を受けて、取水ダムまで入れるゲートの鍵を借りる。日高町千栄から千露呂川沿いの車道に入る。やがて、林道を二岐沢出会いまで進み、さらに、取水ダムまで入る。

○辛い登りを今日の目的地・北戸蔦別岳へ

 前回こちらから登ったときは、1日目で北戸蔦別から1967峰をピストンして七つ沼に泊まるために、二岐沢出会いから5時間で登ったが、今回は北戸蔦別岳までなので、のんびりと疲れを残さないように取水ダムから5時間の予定で登ることにする。

 二の沢出会いまでの登山道の整備の必要な箇所をカメラに収めながら進む。縦走装備のリュックは重いが、体力的には昨年と遜色ない感じなのがうれしい。

 二の沢に入ると、正面にヌカビラ岳が見えてくる(1)濡れた石で足を滑らせて後ろ向きに転倒するが、リュックに助けられてズボンを濡らしただけで済んだ。

  尾根に取り付く滝の手前で、雪渓が沢を埋め、岸にはエゾノリュウキンカの群落がまだ早春の様相を呈していた(2)。そこを通過すると大きな数段に分かれて落下する滝にぶつかる(3)

  滝の手前から尾根に取り付くが、ここは、新しいコースが整備されてロープがたくさん設置されていた。関係者の話では、歩きづらいとのことであったが、すでに歩き込まれていて、そのような心配はなかった。

 いよいよここからがこのコース最大の難関である。とにかく尖った大きな岩場のある1600m付近までは緩むことのない標高差550mの急登が続く。急ぐ必要がないので、休み休みゆっくり登る。トッタの泉の手前で3人の若者が下りてくる。七つ沼に泊まって幌尻までピストンしたとのこと。残雪の状態を聞くと、アイゼンは全く必要がなく、雪を溶かして水を作ろうと思っていた北戸蔦別付近にも残雪はまったくないとのこと。

 やがて、時間的におよそ中間地点となる1250m付近のトッタの泉に到着(4)テン場付近の残雪は期待できないので、水を2.5g汲み、12本爪のアイゼンは重いので近くの藪にデポする。ピッケルだけステッキ替わりに使うことにする。ここで、昼食を摂り、元気を取り戻す。振り返ってはだんだん下まで見えてくるチロロ岳や二岐岳などを眺めて休む。

  忍の一字で登り続け、ようやく特異な茶褐色の橄欖岩のヌカビラ岳の岩場が近くなり、斜度が緩んで来る(5)3年前の伏美岳からの縦走時は今日より10日も遅かったのに、この辺りより上は全て雪に覆われていた。道を見失って、地図に間違って記載されている登山道の印にしたがって下りてもの凄い苦労をしたものだ。

  林立する橄欖岩の岩場まで来ると、今回の一つの目的であったカムイコザクラとの再対面が待っていた。岩の割れ目や間にたくさんの花が咲いている。ちょうど見頃で、蕾は3割程度か・・・?いっぺんにこれまでの辛さが癒やされる(6,7,8)。 

  大きく尖った大きな岩が3つほどあり、その間を縫うように登山道は続いている。ロッククライミングもどきのようなことをしては、次々とカメラに収める。その間30分以上は要したかも知れない。
 
 カムイコザクラを十分堪能した後、よじ登るような感じで稜線に出て、見慣れた四角い岩が積み重なった地点に到着。その向こうに明日ピストン予定の北カールを抱えた幌尻岳と戸蔦別岳の大展望が広がる(9)

 さらにハイマツの中を登り詰めると、三等三角点(点名・糠平岳)が設置された、地図には名前が載っていないヌカビラ岳に到着。ここまで来ると、ゴールは近い。これから先は、夏に来ると、いろいろな花が咲き乱れるまさに花の稜線なのだが、今は、蕾がほとんどのキバナシャクナゲが目に付くくらいである。下のカムイコザクラはピッタリの時期だったが、ほかの花は例年並み言ったところか・・・(10)

 いよいよ目指すゴールが見えてくる(11)で予定の5時間を迎える。カムイコザクラに掴まってしまったこともあり、予定を15分ほどオーバーした15:15、3年前にはなかった洒落た頂上標識に迎えられて3度目の頂上に到着(12)

 頂上の東側には3年前まではテン場が一つしかなかったが、きちんと整地されたテン場がもう一つできていた。誰もいないので、広い方へゆったりとテントを張る。

  テントを張り終わり、石を積み上げてカメラを置き、セルフタイマーで癌摘出によるリセット人生縦走登山第1号記念の写真に収まる(13)


  落ち着いたところで、再び展望を楽しむ。北側には3年前に縦走してきたピパイロ岳〜1967峰などの主稜線上の山々が連なる(14)。東側には、戸蔦別AカールとBカールの向こうに昨春登った神威岳へと連なる稜線とその先のエサオマントッタベツ岳〜札内岳〜十勝幌尻岳などが見える(15)

 テントに入って、まずは温い缶ビールでひとり乾杯。さらに、携帯からHYMLへの報告メールやブログの更新などで時間を潰す。ところが、夕食の準備に取りかかったところで、ガスのライターがないことに気付く。熱いインスタントそばを食べようと思ったが、それも叶わず。仕方ないので、アルファ米の赤飯に水を入れて待つこと1時間15分ほど・・・ようやく食べられるようになる。それに、やはり水で戻した玉子スープにいわしの蒲焼きの缶詰・・・それでも、大満足な夕食であった。

 ラジオの天気予報では、今晩から雨が降るようなことを言っていた。早めに降って早めに回復してくれることを願って就寝態勢に入る。

翌日の幌尻岳ピストン〜下山へ<つづく>


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