◎2日目、幌尻岳〜戸蔦別岳を目指す。
北カールと幌尻岳 翌朝、4時30分ごろみんな起き始める。デポする荷物と持って行く荷物を整理し、簡単な食事をして、夜明け前の5時20分出立。(一番先かと思ったが、5時に出たという人と戸蔦別の頂上で出会う。)

  静かな早朝の針葉樹林の急斜面をジグを切りながらのんびりと登る。やがて、細い尾根に出ると視界が開け、額平川の深い沢を挟んで戸蔦別岳〜1881峰〜北戸蔦別岳〜ヌカビラ岳が連なる。その展望とナナカマドやミヤマカエデの紅葉を楽しみながらさらに細い急な尾根を登ると「命の水」の標識に出る。コースから外れて50m くらい踏み跡を辿ると岩の間から吹き出すように湧き出ている水である。ポリタンに汲み、喉を潤し半分ぐらい持つ。もとの道に戻った所で40才前後の夫婦連れが登ってくる。
幌尻山頂にて
  そこからは日高らしい露岩とハイマツ帯の急登となり、登り切った稜線の頭に出ると目の前に北カールとそれを抱いた幌尻岳の大きな山体が現れる。まさにポロシリ(大きな山の意)である。そして半円を描くようにその頂上へ続く稜線が展開する。思わず、そのスケールの大きさとカール底や斜面の紅葉に見とれてしまう(1)。風が結構強く寒い。頂上を見上げると、稜線越しに千切れた雲が舞い上がっている。フリースを着込み、足元の草紅葉や見渡す限りの北日高の山々の展望を楽しみながら、高度を上げ、北カールを巻くよう頂上を目指す。たくさんのケルンが積まれている頂上が表面に見える頃、右手に幌尻湖(奥新冠ダム)を抱いたイドンナップ岳の大きな山魂と初対面する。

 いよいよ、日高山脈最高峰に立つ(2)。誰もいないはずなのに人の声がする。見るとテントを張って夜を明かしたグループがいる。逆光に黒い山体とナイフリッジの稜線を際立たせる中日高、南日高の山々、憧れのカムエクや1839もはるか彼方に見える(トップページ)右隣にスックとその鋭い三角錘状の峰を見せる戸蔦別岳から続く北日高の山々は太陽の光を表面から受け、紅葉とハイマツの緑のツートンカラーの姿を輝かせている。その中でひときわ目を引く日高第3峰・1967m峰が登行意欲を掻き立てる。さらにその向こうに大雪連峰の山々が連なっている(3)。
幌尻山頂から北日高の山々を望む
 一休みをしているところへ、さっきの夫婦連れが到着する。南日高の山々に雲が懸かってくるのを見て、写真を撮っただけでスタートして行く。つい、連られてこっちも後を追うように出立。夏なら快適なお花畑であろうピークを一つ越え、まだそれ程紅葉が進んでいない東カールを眺め、通称「肩」と呼ばれる二つ目のピークに立つと眼下に憧れの七つ沼カールが見える。周りの紅葉は美事だが、沼の水が干上がり状態で青々とした様を期待していただけにちょっとがっかりする。夏なら賑やかなのであろうテントもひと張りもない。時期的に仕方無いものと諦める(4)
肩から覗く七つ沼
 「そこから戻る」という夫婦連れと別れ、七っ沼カール壁と額平川の源頭部に挟まれた細い稜線の最低コル目掛けて標高差200mの急斜面を下る。垂直に切り立っカール壁の細い鋸の歯のような小ピークを濃いハイマツを掻き分けながら恐る恐る通過。今度は見上げると首が痛くなるような戸蔦別の急斜面に取り付く。 草紅葉のお花畑と砂礫の急斜面をジグを切りながら休み休み登る。昨秋の伏美岳やビパイロ岳から眺めた鋭峰が印象的だった戸蔦別頂上に立つ。

 そこには、「5時に山荘を出て同じコースを先に進んできた」という若い男性が一人でいた。そこへ、反対側から登ってきた三人連れが到着。お喋りをしながら一休み。この夏2回も振られたチロロや天を突くように鋭く聳える日高第3峰の1967峰が目を引く。



つづく 「戸蔦別岳から山荘へ下り、再び川を漕ぎながら登山口へ」

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