15分ほど休んでいるうちにここで満足していたはずなのに、ほかのメンバーに煽られて余別岳へ(1)向かうことにする。シール剥がしたのが幸いして、最低コルまで自分だけ一気に滑り降りることができ、もの凄く得した気分になり、急に元気が出る。
 
 後のツボ足のメンバーはかなり後ろになる。そこで待ってもいいが、申し訳ないが、シールを貼り直して、そのまま自分のペースで、自分のルート採りで最短距離を狙いながら、途中のいくつかのピークをなるべく巻くようにして黙々登り続ける。

 頂上へは、右側は急斜面なので、左側のハイマツの出ている向こう側の緩い斜面から狙う(2)。コルまで滑り降りた分やツボ足より歩くのも一歩一歩が大きいこともあり、ほかのメンバーよりかなり早く余別岳の頂上に一人で立つ。ポンネアンチシから見たときは1時間と思ったが、わずか40分であった。

 あとから登ってくるメンバー(3)を待ちながら、写真を撮っている内にテレマークのTaさんが到着。最後は15分ほど遅れでの到着である。

 快晴の空の下に広がる一等三角点の頂上からの眺望はみごとの一言である。積丹半島全体が全部見える感じである。隣の積丹岳の向こうに遠く日本海を挟んだ暑寒別山塊はもち論(4)、その北に天塩山脈の山々、東側には夕張山系、さらに日高の山々まで、南は札幌近郊のからニセコ連峰、さらには狩場山塊の山々まで。西側には昨年登った珊内岳とその南側にガニマナコの二つのコブ(5)。

 ただ、ちょっとがっかりしたのが、下から見たらあれほどの鋭鋒だったポンネアンチシはこちらから見ると、ただ単に稜線上の一ピークに過ぎない山容であることである。それがポンネアンチシと気付くまであちこち探したくらいである。でも、その後ろに羊蹄山からニセコ連峰の山々が続いている(6)。

 全員の到着を待って、積丹岳をバックに、一等三角点と書かれた杭を前に記念撮影とする(7)。風はどれほど強くないのに、かなり気温は低いようで、ゆっくり休むこともできず、直ぐに下山開始である。

 ツボ足部隊が先に下りて、5分ほどあとにスタートしたが、スキーはやはり速い。あっという間に追いついてしまう。コル付近まで一緒に下りる。ポンネアンチシの頂上にはEIZIさんとNa嬢はもういないようで、探したら、1000付近の稜線を下っているところであった。

 コルの上から、スキー部隊の二人は、ポンネアンチシの下に広がる大斜面を横切り、二人の下っている1000m付近の稜線を目指しての大滑降を繰り広げる。この長いルートの中でもっとも楽しい滑りができたところである。990mの最初スキーをデポしたピークで二人に追いつき、ツボ足部隊を待つ。

 途中であちこちにデポしてあるスキーを回収し、940m付近の最後のスキーデポ地点でゆっくり休み、全員でのスキー滑降である。

 まだまだ、樹の生えていない長い主稜線から尾根へとかなり滑りを楽しめる斜面が続く。雪の溶け具合がちょうど滑りやすい堅さであるのが、それぞれの持つ技術で思い思いのターンを刻みながら十分楽しめるのがうれしい。自分もこれほど長い距離と思うようなターンを刻めた滑降も初体験である、6時間以上も登った甲斐があるというものである(8)。最後の痩せ尾根も一人だけ意地でスキー脱がず突破し、最後の急斜面は横滑りで尾根取り付きまで下りてしまう。

 あとは林道をゴール地点目指して惰性で下りるだけである。上の方は猛スピードで下ってきただけに、なかなかゴール地点に届かずイライラする。それでも登りの半分の時間で、9時間強に及ぶ山行の大満足のゴールインである。

 車を移動する際に、スキーを引っかけてしまい、後輪で踏んづけて折ってしまう。定価6万ほどの板であるが、その痛みもこの積丹半島1000m峰5山完全踏破の山行の満足感の大きさには敵わなかった。Hiさんの作ってくれたラーメンに舌鼓を打って、林道を抜けて別方向へ向かう自分はそこでみんなと別れ、前日に入った泊村の国民宿舎の温泉で汗を流し、ひたすら函館を目指す。

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