ピシカチナイ山(三角点1308m、尖峰ピーク1320m)  ピシカチナイ沢コース
 グループ(6人)  03,7,6

聞いたこともないマニアックな山への同行の誘いを受けて、簡単な沢を遡行し、藪を漕ぎ、とんでもない尖峰の上に立つことができました。

7/5
18:00 ピシカチナイ沢林班118林道終点
(車中泊)
7/6
登山地点下山
6:03
6:25
7:30
8:25
8:50
車デポ地点(920m)
沢へ下りる(953m)
水流が消える(1100m)
三角点頂上(1307m)
尖峰頂上(1320m)
11:48
11:18
10:30
10:05
 9:42
[2:47]所要時間[2:06]

13:30 清水フロイデ温泉(入浴)
20:30 帰 宅

 『ガイドブックにない北海道の山50』の著者・八谷和彦氏より聞いたことのないピチカシナイ山(1)へのお誘いを受ける。氏との初対面の楽しみもあり、感激して参加することにする。初め日高の山かと思い探したが見当たらず、国土地理院のweb上の地図で検索したら、鹿追町と新得町の境界線上に聳える東大雪の山である。

 この山の特徴は、十勝平野の北部にゆったりと聳える山で、地図上では三角点ピークがピシカチナイ山頂上との記載があるが、その南西に鋭く聳える尖峰の方が標高が高いらしく、そこが真の頂上らしいということである。今回はその上まで登ってそれを確かめることも計画のひとつらしい。

 同行者は札幌の八谷ご夫妻と、昨年末から3度山スキー登山へのお誘いをいただき同行している『地図がガイドの山歩き』のやはり札幌の西條さんと久野女史、そして、この山の情報を収集提供してくださった六華山の会の芽室町の助田氏の6人である。この山は6人とも初めての山である。そんな仲間に加えていただいたのがうれしい。

 前日、午前中に丸山噴泉塔を見て、丸山から途中下山して時間潰しをした糠平温泉から、夕方、集合場所の林道終点へ向かう。その林道は地図上にも記載されているが、菅野温泉へ向かう然別川の支流・シイシカリベツ川沿いの然別峡線の対岸への橋を渡った地点から左側へ続く林道である。その林道を進むとやがて分岐にぶつかる。林班118林道の標識のある方へ右折してさらに奥へ進み。ピシカチナイ沢側にぶつかった地点がその終点である。

 まだ誰も到着していなかったが、18時前に明日の朝合流するはずの助田氏が奥様同伴で現れる。なんと心づくしの夕食宴会(鮭のちゃんちゃん焼きと飲み物)の用意をしてきたのである。準備をしているところへ八谷ご夫妻が到着し、お互い初対面の楽しいひとときを過ごす。19:30には助田ご夫妻は引き上げ、西條さんと久野さんが到着するまで、車の中で眠って待つことにする。22:30に彼等は到着するが、挨拶しただけでそのまま朝まで眠る。

 次の朝、助田氏が合流し、沢歩きスタイルで6時過ぎに出発する(2)。1kmほどその先に続く林道跡を進み、林道が沢から離れる地点(953m地点)でピシカチナイ沢川へ下りる。周りはトドマツやアカエゾマツが主体の比較的明るい沢で、水量もそれほど多くなく、岩の上も苔や柔らかい緑色の草に覆われている(3)。ただ、やたらと自然倒木が多く、それを跨いだり、潜ったり、かわしたり、渡ったりと忙しい。岩場や滝も全くない沢を淡々と進むだけである。

 1050m付近で右からは水流のない二股にぶつかるが、水流のある左側の沢を進む。やがて、1100m付近で伏流して、その後は苔や草に覆われた涸れ沢を進む。1150m付近でそのまま三角点頂上へ突き上げる沢地形とその北側のコルへ突き上げる沢地形との二股にぶつかる。ここからは三角点頂上へ直接向かう沢地形の方を選ぶ。沢地形の中は藪が濃いのではないかと考えて、その左側の斜面の薄い藪の中に突入する(4)。三角点頂上まで標高差160m弱の藪漕ぎである。だんだん斜度がきつくなり、藪も濃くなってくるが、笹や周りの木々の枝に掴まりながら登っていく。稜線近くになると、シャクナゲの樹が多くなり、ちょうどピンク色の花を付けている(5)。

 やがて、三角点頂上の東側に伸びている藪に覆われた細い稜線の上に乗り、その稜線の藪を漕ぎわけながら狭い三角点頂上へ到着する(6)。そこに立って、初めて次に目指す三角点地点より高い真の頂上ではないかと思われる鋭く天を突く尖峰との対面である。右側に岩場が露出する断崖絶壁の上の尖ったピークである。ただし、幸いなことに木々で覆われているので高所恐怖症の自分にも登れそうである(7)。

 三角点頂上から細い稜線上に行く手を遮るような岩峰がいくつかあるが、そこからは細い稜線の上にはっきりとした踏み跡が、その岩峰を越えたり、根元を巻いたりして続いている。
 
 やがて一番低いコルから標高差50mほどの見上げるような急斜面に取り付く。うれしいことにその急斜面にも踏み跡がはっきりと付いており、周りの木の枝に掴まりながら慎重に登っていく。 足下にはコケモモの小さな実やゴゼンタチバナの花や終わりかけのイソツツジとシャクナゲの花が目立つ。

 とうとう細い稜線の向こうに空しか見えない尖った頂上である。北側の絶壁側にハイマツが生えていて眼下の眺めを遮ってくれるからなんとか歩ける尖鋒の上の人となる。6人が一列になってようやく腰を下ろせるくらいの狭い頂上で、尻がむずむずして落ち着かない(8)。道内500山以上も制覇している八谷さんでさえ、「こんなに高度感のある頂上は珍しい」とのことである。こちらの標高はGPSで確かめると間違いなく三角点頂上より13mほど高いことが分かる。

 慣れてくると、少し余裕が出てきて、遮るもののない360度のすばらしい眺望に目が移る。まず、一番近い東側に然別湖付近の山々(9)、この一つ一つのピークを全部登って山座同定が出来る八谷さんと地元人の助田さんが凄い。その遥か向こうに雌阿寒岳と阿寒富士、さらに北側にはウぺぺサンケ山、東丸山、昨日途中撤退した丸山、その奥にニペソツの尖峰と石狩連峰の山々(10)その左側にはまだ多くの雪渓を抱いた表大雪の山々と十勝連峰(11)。さらに西側には夕張山系の山々、南側には十勝平野とその向こうに日高山脈・・・・・。そんな贅沢な眺望を楽しむが、眼下の眺めはみんな怖い物見たさの恐る恐る覗きで、誰しもが嬌声を上げる。そんな楽しい雰囲気を楽しみながら、早めの昼食を摂りながら50分ほど休憩する。

 いよいよ、名残惜しいが下山開始である。登りは目の前が斜面なので怖くないが、下りは目の前に何もなく怖い。木の枝に助けられながら慎重に下り、三角点頂上へ戻る。下りは頂上からまっすぐの沢地形を下ることにする。藪は結果的に登りより薄い感じだったが、渓流シューズでの急斜面の下りは滑って仕方がない。笹や木の枝に掴まりながらの下降で結構汗が噴き出る。ようやく斜度が緩む一番上の沢地形の分岐へ下り、あとは登りと同じ沢を下るだけである。

 登りは目的や緊張感があり、あっという間に登った感じだが、下りは緊張場面もない沢で疲れもあり、意外と長く感じるものである。ようやく林道へ登る地点へ到着。大きなフキを採りながら車のデポ地点へ向かう。下山してもまだ12時前のうれしい余裕である。そこで、解散して、私と西條グループは途中、清水フロイデ温泉に入り、帰路に就く。



同行したsaijoさんのページ


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