ピロロ岳(1269.3m)
<西広尾川〜南東面直登沢> 7名 11,6、26

沢と強烈な薮漕ぎで、南日高の楽古岳と広尾岳の間に聳える稜線上の鋭峰へ・・・・

5:00 広尾防災ステーション駐車場発
登山地 点
下山
 5:55
 7:20
 8:20
 8:55
----
10:45
林道終点
560三股上
700二股
900二股
下降地点
頂 上
15:30
14:25
13:35
----
12:00
11:35
[4:50]所要時間[3:55]

16:00 広尾町公共浴場(入浴)
18:30 三石道の駅(泊)

 広尾町の国道336号線から日高山脈を眺めると、もっとも鋭く尖って目に付く楽古岳の南側に連なる鋭峰がこの通称・ピロロ岳である。さらに南の鋭峰は、主稜線から少し離れている広尾岳である(1)
 
 野鳥の鳴き声を思わせる美しい響きの山名だが、地図上には掲載されていない。しかし、三角点名は「広尾岳」であり、肝心の広尾岳には三角点はない。山名の由来については、この様なことに詳しいあまいものこさんによると、その由来等は下記の通りだ。

 三角点の名前は「広尾岳」で、地元の山岳会ではピロロ岳と呼んでいる。三角点の名は1231mの広尾岳と同じ名前なので明治25年の「北海道実測切図」にある広尾岳の古名、「ピロロヌプリ」を引き継いで「ピロロ岳」と呼んだのだろうかと考えてみたりする。この古い地図では「ピロロヌプリ」が日高主稜線上の山として描かれているので・・・。

 一夜を明かした広尾防災ステーション駐車場を出発し、広尾市街地から西広尾側沿いの道を進む。目の前に目指すピロロ岳が見えてくる(2)実は、この道は、2004年に広尾岳に登ったときに入った道だ。入渓地点となる林道終点もその時と同じだった。広尾岳へはそこから渡渉して、林道跡を進んだが、今回は、この川を遡行していく。懐かしい思い出が蘇る。

○西広尾川南東面直登沢を遡って

 林道終点から入渓するが、あちこちに赤テープがぶら下がり、古い林道跡もあったり、踏み跡や鹿道もあったりで、沢から離れてそれを辿っていく内に、踏み跡もが笹藪に消える。鹿道だったようだ。やはり、沢へ下りなければと、左へトラバースして下りた沢が、GPSで確認したら560三股からの中股沢だった。我々が進むのは右股沢のはず・・・ここで、560三股を確認できないまま進んでしまうったことに気付く。一休みして、右側へ笹藪をトラバースして、正規の沢へ出る。




 前夜の飲み過ぎが祟ったのか、連日の疲れが出たのか、珍しくスタート時から体が重い。
やがて、苔むした滑滝が現れる(3)。その後、徐々に斜度を増し、滝が連続するようになってくる(4)


 600二股を右へ進み、顕著に右へカーブする700二股も右へ進むが、ここは赤い岩の中を落ちる滝となって合流していた(5)。やがて、900二股へ到着。振り返ると、広尾岳がその端正な姿を見せている(6)。900二股は左へ進むが、水量は徐々に少なくなってくるが、急な滝が続く(7)この辺りから次々と小さな沢型が合流するので、現地確認に忙しい。

 1100mを過ぎると水流がなくなり、沢型もはっきりしなくなり、急で強烈な笹藪に突入する。こういうときは最年長を良いことに後で楽をさせてもらう・・・。

 1200付近で、本来ならば、もっと顕著な沢型が続いていることに気付き、GPSで確認。その結果、予定の沢から南にずれていることが判明。強烈な笹藪をトラバースして、軌道修正。確かに、そこは沢型が続き、暫くは薮漕ぎの必要ない登りが続く。しかし、まもなく、強烈で急な笹藪と灌木帯に突入・・・。ハイマツが出てくると稜線は近い。

 ようやく稜線に出る。広尾岳が同じくらいの高さに見える(8)。頂上はハイマツに覆われた100mほど北側の先のようだ(9)ハイマツを掻き分けながら、4時間50分、ようやく頂上に到着。登りだけで5時間近い山は、今年初めてで、さすがに、疲労困憊の登頂だった。

南側には、アポイ岳(10)、東側には広尾市街地と十勝港(11)、暫くしてガスの中から北側の主稜線上のポン楽古岳と鋭く天を突く楽古岳が姿を見せた(12)

楽古岳の奧には、一番奥にピリカヌプリが、その手前のトヨニ岳や野塚岳の頭や十勝岳の頭も見えている(13)
そんな雄大な展望を楽しみながら休憩し(14)、chida卍専属シェフによる途中で採ったギョウジャニンニク入りコンソメスープに舌鼓を打つ(15)

○いよいよ下山

 900付近の長く急な滝は下るのに危険そうだと、下りは、稜線上の1240付近から700二股まで下っている尾根を下ることにする。このルートはだれもGPSにルートを入れてきていないので、読図と地形の読みが勝負である。 

 稜線のハイマツを掻き分けたり、伝い歩いたりで、小さなポコ手前の下降地点を目指す(16)尾根を下り始めるが、非常に急な笹藪で、先が見えない。いつの間にか、右側へずれていることに気付く。トラバースを開始するが、崖のような急斜面の上に強烈な笹藪で思うように歩くことができない。体力の限り手こずりながら、尾根が見えるtころまで出ることができた。しかし、さらにかなりのトラバースが必要だ。そこで尾根は諦めて、右手の沢を下りることにして、下りの薮漕ぎを開始。やがて、沢型がはっきりしてきて薮漕ぎから解放される(17)

 滝が出ないことだけを祈りながら、下っていく。一ヶ所、滝のような所はあったが、なんとか降りることができた(18)二股に下り立ったら、見たことのある赤い大きな岩の滝が左から合流していた。ここが登りで右に入った700二股だった。下りてきたのはその左股沢だったのだ。あとは、来た沢を下るだけなので、心配ない・・・。

  急斜面の強烈な薮のトラバースで体力を使い果たし、へとへと状態で、ようやく入渓地点へ到着。トータルで9時間半の山行だったが、きつい山行であればあるほどその充実感と満足感は大きい。広尾の公共浴場で汗を流し、帰路に着く。天馬街道を抜けて三石の道の駅でバタンキュー!



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