トヨニ岳(1493m)ピリカヌプリ (1631m) [豊似川左股川上二股南峰東尾根直登ルート]    

2人 ツボ足 04、5、01〜02

最高の天候、最高のパートナーに恵まれ、念願の北海道の「百名山」118座( 『北海道百名山』(山と渓谷社)と『北海道の百名山』(北海道新聞社))完登を果たす。

登山地点下山
[5/1]
7:45
8:10
8:50
11:45
12:40
13:10
13:50
14:00
[ 5/2]
4:50
5:20
6:20
7:20
8:20
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野塚トンネル十勝口(600m)
上二股(495m)
尾根取り付き(550m)
1253ポコ
東峰(1460m)
トヨニ岳南峰(1493m)着
  〃    発
テン場コル(1440m)
    (泊)
テン場コル(1440m)
トヨニ岳北峰(1529m)
1512ポコ
最低コル(1315m)
ピリカヌプリ(1631m)
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16:25
16:00
15:20
15:15
13:45
13:30
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13:20
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12:10
11:40
10:45
9:35
9:00
[9:45]総所要時間[7:25]

GPSトラックログ(120kb)
 ピリカヌプリ・・・アイヌ語でそのものずばりの「美しい・山]である。四方にゆったりとした細い稜線を延ばして聳える南日高の遙かなる山である(1)。

 自分にとっては、 『北海道百名山』(山と渓谷社)と『北海道の百名山』(北海道新聞社))に選ばれている118座完登リーチの山となって2年。この山の一般的なルートして知られるヌビナイ川右股沢は、沢の高度な技術持たない高所恐怖症の自分には無理であろうと、昨夏、体力勝負で、今回と同じくEIZI@名寄さんをパートナーとして、神威岳からの藪の稜線伝いにソエマツ岳経由で挑んだが、日高地方に甚大な被害をもたらした台風10号のためにソエマツ岳で途中撤退に終わった。

 次に考えたのが、今回の残雪期のトヨニ岳経由のルートである。2泊3日の計画で、冬用のシュラフ、ワカンやピッケル、プラブーツを新しく購入し、この時期を待った。当初、割りと多く使われるルートの野塚トンネル十勝口から直ぐ取り付ける尾根から稜線を狙うルートを考えていた。しかし、前夜になって、EIZIさんと地図を見ながらルートの確認をしたが、彼の提案で、同じ野塚トンネル十勝口から495上二股まで戻り、その奥の530m二股の出会いから南峰へ直登できる尾根があることが分かり、高所恐怖症の自分には前者のルートに比べて細い稜線歩きがないことのメリットから、後者のルートに決定する。

 雨がしとしと降る中を登山口となる野塚トンネル十勝口を目指す。すでに、6台ほどの車が停まっている。その中に一台、自分と同じ函館ナンバーの車があるのが気になった。足跡を見ると、ほとんどは直ぐ側の尾根からトヨニ岳か野塚岳を目指しているらしく、我々のルートの方には足跡はなかった。準備をしている内に雨は上がり、2泊3日の装備で出発するが、尾根取り付き地点までの渡渉に備えて長靴も持参した。また、高所恐怖症の自分は、細い稜線歩きに備えてピッケルのほかにストック2本を持った。結果的に、この常に三点確保ができるストックが自分にとっては最大の武器となった。

 まずは、川の左岸を495上二股を目指して、途中高巻きもしながら下っていく(2)。495二股から奥の沢沿いに進み、途中で長靴に履き替えて何度か渡渉しながら尾根取り付き地点となる530二股へ向かう。スタートして1時間で530二股に到着する。再びプラブーツに履き替え、その二股の中間尾根に取り付く。下の方は残雪を繋ぐように笹薮を登るために少し手こずるが、尾根に上がってしまうと雪面となり、程良く溶けた急な雪面に快調なキックステップを刻んで登っていく。

 地図上の773地点越えるといったん斜度は緩み、尾根も広くなり、頭上に地図上の1253ポコと思われる尖峰が見えるようになる(3)。また、高度を上げるに連れて、上空も心なしか明るくなり、両側に深い沢が覗くようになり、高度感が増してくる。1時間ペースで休憩するが、だいたい200mずつ高度が上がっていくのが励みとなる。狭くて急なところは怖いので、視野を遮り、彼の踵だけを見て付いていく。

 1253ポコの急な尾根を登ると、トヨニ岳東峰までの細い尾根となる。その辺りまで来ると、一昨年の夏、二人で登った野塚岳も見え、そちらからトヨニ岳まで繋がる細い稜線も見えるようになる(4)。よく見ると、その稜線を登ってくる2人と3人の2パーティが見える。大声を掛けると反応がある。
 
 東峰まで登ると、ガスの中に入るが、南峰まで雪庇が発達した細い稜線となる。ここもEIZIさんに前に出てもらい、両側の切れ落ちる急斜面を見ないように彼の踵だけを見つめながら後ろを付いていく。

 トヨニ岳頂上手前で先行を譲ってくれるEIZIさんの好意に甘えて、先に出る。5時間半で、ホワイトアウトの南峰(本峰)に一番乗りでの到着である(5)。

 あとは、直ぐ下のコルにテントを張るだけである。時間的余裕もあるので、南の稜線からやってくる別パーティの到着を待って、のんびり休憩する。そのうちに、だんだん晴れてきて、到着したときに見えなかった東峰と自分たちの通ってきた細い稜線とその下に広がる日高山脈最南端のカールを見下ろして、感激する(6)。30分ほどで、北峰を越えたところにテントを張って、明日、ピリカヌプリを目指すという3人パーティが到着する。

 彼等に先駆けて、10分ほど下ると、テン場に最適な広く平らなコルに到着する。その北には、南峰(本峰)より標高も高く、鋭く聳えるトヨニ岳北峰がよく見えるロケーションがうれしい。晴れていれば、その左側の稜線の先に目指すピリカヌプリが見えるはずである。早速、テン場の設営に掛かる(7)。

 2張りのテントを向かい合わせて張れるスペースをしっかりと掘って、周りに風よけの塀を積み上げる。雪上のテント張りは初体験であるので、20cmほどの木の枝にテントのひもを固定して雪に埋めて踏み固めるテントの固定の仕方を教えてもらいながら快適なテントの設営を終えてのんびりし過ごす。

 そのうちに2人連れのパーティがやってくる。なんと、その一人が、トンネル口の駐車場にあった函館ナンバーの車にもしやと思っていたスキー指導員の先輩であるSaさんである。しかも、彼とEIZIさんは昨春群別岳で逢って、途中から同行しているのである。彼等も、明日ピリカヌプリを目指すとのことである。Saさんから退職のお祝いの言葉と、北海道の[百名山」118座の完登の励ましの言葉をいただく。彼等も直ぐ隣にテントを張る。

 テントの中でお喋りをしながら夕方を迎える内に、上空が晴れてきて、白い月が出ている(8)。明日の天候の回復を楽しみに、早めの夕食を摂り、テントの中で横になる。

 2日目につづく


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