<おっぱい山>西クマネシリ岳(1635m)Aピリベツ岳(1602m)

音更川右股三ノ沢コース    単独  04,8,10
96,6.09の西クマネシリ岳へ
8年ぶりに再訪し、片方だけ登り残していたオッパイ山の両方の乳房の上に立つ。

8:35 天宝山を下山
9:10 西クマネシリ岳登山口
登下山地点
9:15
9:40
10:10
10:45
11:00
登山口
上二股
尾根取り付き
ピリベツ稜線分岐
西クマネシリ岳
[1:45]所要時間
11:30
11:40
12:25
西クマネシリ岳
ピリベツ稜線分岐
ピリベツ岳
[0:55]所要時間
12:40
12:45
13:10
13:40
14:00
ピリベツ岳
下山コース分岐
作業道跡へ
上二股
登山口
「1:20]所要時間
15:00 層雲峡・黒岳の湯(入浴)

この両山は双耳峰を成し、十勝三股方面から見るとその様子が乳房に見えることから、艶めかしい通称で「オッパイ山」と呼ばれている(1)クマネシリとは、アイヌ語で「物干し棚のような山」の意味で、クマネシリ岳の東尾根が台地状に8kmも延びていることに因るものであろう。また、ピリベツ岳は、この山を水源とする美利別川に因るもので、アイヌ語で「美しい川」または「渦の川」の意味らしい。

 8年前西クマネシリ岳だけに登っている。そのころもピリベツ岳までの稜線に踏み跡があったかも知れないが、そのころの自分のレベルではそちらも登れるなどとはまったく考えていなかったのである。その後、稜線上に明確な踏み跡があることが分かり、いつかは登ろうと考えていたが、今年になってから登ったクマネシリ岳南クマネシリ岳と合わせてクマネシリ山塊4座完登を目指しての挑戦となる。また、情報を集めている内にピリベツ岳から直接下山でき、三ノ沢の上二股で登山道へ合流できるルートもあることを知る。

 早朝の糠平湖畔の天宝山を下山し、天候が回復してくる中、国道273号線を北上し、十勝三股を2kmほど越えた右側のシンノスケ三ノ沢林道へ入る。途中で登山者らしい車とすれ違う。そのとき、その男性が車の窓を開けて挨拶したが、こちらはすれ違うときに車を待ってあげたお礼と思って、窓も開けないで通過した。しかし、まだ下山してくる時刻でもないので、窓を開けたのは、何か聞きたかったのではないかと気になるが、時すでに遅しである。

 入口から4kmほど進むと林道は左へ大きく曲がるが、その橋の手前が駐車スペースのある登山口である。もっと大きな登山口標識があってもいい気がする。なお、地形図に記載されている登山道は三ノ沢の南側の尾根の上に付いているが、実際の登山道は三ノ沢沿いである。

 登り始めてびっくりしたのが8年前とはあまりにも変わった登山道となる林道跡のすざましい荒れ方である。土砂が全部流され、まるで川原の底のような石だらけの道である(2)。その後も、以前はそばを流れていた三ノ沢が林道跡を流れたりして、ほとんど沢の中や縁を歩くような状態である。35分で、前の時もあった古い小屋のそばを通ると、5分ほどで広い土場に出る。その左側が三ノ沢の1045m上二股でピリベツ岳から下山してくるときに合流すると思われる踏み跡が付いている。

 さらにフキで覆われた右股沢沿いの荒れた作業道跡を30分ほど辿ると、作業道跡と別れて尾根に取り付く地点に着く。一息入れて歩き始めたら後ろから鈴の音が聞こえて来る。その後は右手に西クマネシリの頂上を見ながら、尾根上の登山道を進む。ここから先の記憶はまったく前回と同じである。ダケカンバ林を回り込むとハイマツの向こうに岩場を巡らせた頂上が見える(3)。

 岩場の手前にピリベツ岳への分岐があり、その先にはっきりとした踏み跡が続いている。まず、西クマネシリ岳に寄ることにし、前回緊張し怖々登った岩場に取り付く。ナキウサギの声も聞こえるが、ガオッーと熊ではないかと思うような声もして、慌てて笛を吹く。岩場は8年の経験と慣れであろうか、前回のような怖さも感じないで複雑な岩場のルートを登り切り、ハイマツの間を頂上へ向かう。

 頂上からはやや霞みがちながら、今年再訪したニペソツ山、同じく今年登った丸山と東丸山、そして、ウペペサンケ山がはっきり見えている(4)。石狩連峰は頂上付近を雲が被っているが、その奥の表大雪は雲の中である。振り返ると、今年登ったクマネシリ岳(5)南クマネシリ岳が間近に眺められる(6)。

 それらの眺望を楽しみながら15分ほど休んでいると、林道途中ですれ違った車の男性が到着する。登山口が分からないで1時間ほど林道をウロウロして、戻ったときにこちらとすれ違い、登山口のことを聞こうとして車の窓を開けたらしい。それを会釈だけで通り過ぎてしまい、申し訳なく思い、お詫びする。

 話していると、釧路の方で山の写真撮影が趣味で大雪専門に登っているらしい。さらに、お互い退職前は同職だったことも分かり、話が弾む。ピリベツ岳へも誘ってみたが、ゆっくり写真を撮り、同じ道を戻るとのことで、別れてピリベツ岳目指して下山を開始する。

 終わりかけのイワベンケイの咲く岩場を下りて(7)、稜線越しに聳えるピリベツ岳を眺め(8)、分岐から稜線上の踏み跡を進む。踏み跡は登山道状態でほぼ稜線上に続いている。周りの木々に掴まりながら急な下りを10分ほどで、最低コルの1415m地点である。その前後はアカエゾマツ一色の林である。

 さらに左側に下りるときの分岐を探しながら30分も登り続けると、斜度が緩み、予想より頂上に近い地点の左側の草付き斜面に微かな鹿道のような踏み跡が下に向かって続いている。そこから5分ほどで、西クマネシリ岳をバックに頂上標識の立つピリベツ岳頂上に到着する(9)。西クマの頂上は岩場を巡らし、ハイマツで囲まれているが、こちらは笹と灌木だけの穏やかな頂上である。

 頂上からの眺望は西クマネシリとはそれほど変わらないが、クマネシリ岳のラクダのふた瘤のようなの様子が強調され西クマのそれより迫力がある。ウペペサンケからニペソツ、石狩連峰の山々は雲が低くなり、頂上をすっかり隠してしまっていて、昼食を食べている内に雨もぱらついてくる。

 15分ほど休んで下山開始である。得てきた情報より頂上にだいぶ近いが、多分下山するルートと思われる踏み跡を下り始める。ひょっとすれば、鹿道かも知れない。しばらくはその細い踏み跡が続き、それを下るが、5分ほどして木々が混んでくる辺りでそれを見失ってしまう。いよいよになったら、沢地形を辿れば、いやでも三ノ沢上二股へ合流するはずなので、沢をめがけて適当に藪漕ぎしながら下っていく。途中、ハイマツ帯にもぶつかるが下りの藪は簡単である。ナキウサギの巣穴があちこちにあり、鳴き声も響き渡る。

 さらに小さな涸れ沢を下って、藪漕ぎから20分ほどの1320m付近で作業道跡にぶつかる。これも得ていた情報なのでホッとする。作業道跡は南側に方向を変えるが、はっきりとした踏み跡が続いている。その踏み跡を辿ると稜線の最低コルから続く三ノ沢左股沢にぶつかり、作業道跡はその沢沿いに西に方向を変えて続いているようである。作業道跡はときどき分からなくなるが、微かな踏み跡があり、上の方では見ることがなかった赤いテープがあちこちに付いているところを見ると、こちらから直接ピリベツ岳へ登る人もいるのかも知れない。

 沢の中や作業道跡の踏み跡を辿り、ピリベツ岳の頂上からちょうど1時間で1045m上二股の土場に出る。さらに20分ほどで登山口に到着する。すでに頂上で出会った男性の車はなかったが、別の車が一台停まっている。

 翌日は北大雪の平山〜有明山〜白滝天狗岳の縦走予定(結果的に悪天候で予定変更)なので、そのまま国道273号線を北上し三国峠を抜ける。三国峠の手前から下山した両山を眺めたらコル付近からガスが昇り始め、西クマネシリの方が半分しか見えなくなっている(10)。層雲峡の黒岳の湯で汗を流し、上川町で買い物をして白滝村を目指す。


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