ポンヤオロマップ岳(1406m)〜ペテガリ岳(1763m)Cカール(1430m)
[東尾根コース〜西尾根コース]  単独  04,7,22〜24

94,6,19の西尾根コース
東尾根からコイカクシュサツナイ岳までの縦走の計画であったが、濃いガスと強風のためCカールから途中断念し西尾根へ撤退したが、日高の山の厳しさとすばらしさの再認識と初対面のカムイビランジの高貴な可憐さが印象に残る
  
7/22(曇り)     
登山  地 点
 7:30
10:10
12:25
13:05
15:10
東尾根登山口
1121コブ
ポンヤオロマップ岳
    〃  
1417コブ下テン場 (泊)
[7:40]総行動時間
7/23(晴れのち濃いガス・強風)
登山  地 点
7:15
9:40
11:20
12:00
13:40
13:50
1417コブ下テン場
1573国境稜線
ペテガリ岳
  〃  
1535コル
Cカールテン場(泊)
[8:35]総行動時間
7/24(濃いガス・強風)
下山  地 点
5:30
5:45
7:25

8:15
11:40
12:00



14:20
15:55
Cカールテン場
1535コル
ペテガリ岳
(西尾根コース)
1215コル
ペテガリ山荘着
  〃  発
(山越えルート取付き
地点分からず50分ほ
どウロウロ)
分水嶺
神威山荘
[10:25]総行動時間

 たっぷり時間のできた今夏、2回に分けてペテガリ岳〜エサオマントッタベツ岳を繋いでみたい・・その第1弾として、まだ登っていないポンヤオロオロマップを経由するペテガリ東尾根〜コイカクシュサツナイ岳縦走を3泊4日(予備日を入れて4泊5日)の予定で出発する。

 しかし、2日目の後半から下界の天気予報とは裏腹に濃いガスと強風に阻まれ、ペテガリCカールから戻り、ペテガリ西尾根コースにエスケープせざるを得なかったが、1年ぶりの日高の稜線の厳しさと藪漕ぎも追体験し、思いがけず念願の日高山脈特産種のカムイビランジにも初対面でき、快適なCカールを独り占めし、ペテガリの懐に抱かれて過ごした一夜・・・それだけでも満足の2泊3日の縦走である。
 
 ポンヤオロマップ岳はペテガリ岳から延びる長大な東尾根の途中に聳えるピークである。この山だけであれば、日帰りも十分可能な山である。山名は「小さい・破れのある川」を意味するポンヤオロマップ川の水源にあることに因るらしい。

 ペテガリ岳は 「日高一の秀峰」「遥かなる山」などといわれ、[日本二百名山」にも選ばれている山で、東面に3つのカールを抱く姿が印象的である。特に、ここ数年、日帰り可能な西尾根コース登山口へ繋がる静内中札内線が崖崩れのため静内ダムから先が通行禁止となったままで、神威岳の登山口である神威山荘から山越えでペテガリ山荘へ抜けて1泊してから登るコースが定着して、まさに「遙かなる山」となってしまっている。山名はペテガリ沢川(アイヌ語でペッ・エ・カリ=川がそこで回っているの意)の水源に因むらしい。

 1日目〜まずは、ポンヤオロマップ岳を越え、1417コブ下のテン場を目指す。

 これまで最高の4泊5日分の荷物に水4.5リットル、スポドリ2リットル、缶ビール500ml×3、ウィスキー500mlを詰めてリュックの大きさギリギリのパッキング終了。東尾根コースの登山口まで車で送ってもらう。目指す日高山脈は黒い雲に覆われて見えず、いまいちモチベーションが上がらないが、天気予報を信じるしかない。大樹町の拓進地区から歴舟川沿いの道を走ると、最終人家から先が林道となる。その先で歴舟川の橋を渡ると林道は二手に分かれるが左手がポンヤオロマップ川沿いの林道で、そこから10kmほど走り、ペテガリ橋を渡ったところが広場状態の登山口である。「ポンヤオロマップ岳6km、ペテガリ岳14km」と書かれた登山口標識が立っている(1)。
 
 車を見送り、登山道に取り付く。今日の目標は約8km先の1417コブ越えたコルのテン場である。無理のない計画なので、のんびりと歩を進める。最初は尾根に取り付くので、急斜面のジグを切る登りである。15分で尾根に乗るが斜度は緩むことはない。そこで、まずリュックの調整をし一息入れる。そこから10分ほどで岩場にぶつかるが、2段の鉄橋梯子が用意されている。慎重に登る。

 尾根はトドマツやエゾマツ、ゴヨウマツなどの針葉樹と広葉樹の混じる林である。直径1m近くもありそうな赤い木肌のゴヨウマツの大木にはびっくりさせられる。601地点を越えると少し斜度が緩み、スタートして1時間ほどすると、上空のガスが徐々に晴れてきて明るくなってくる。休憩すると谷底から川の音、周りには小鳥のさえずり、それに自分の激しい息づかいが同化し、自然との一体感を感じる。ただし、朝方まで濃いガスに覆われていたせいか、蜘蛛の巣が光り、周りの草が濡れていて身につけている物がびしょぬれになる。

 高度を上げるにつれてガスも上がり、日差しも差してくるが、展望は左手のポンヤオロマップ川を挟んだ早大尾根だけである。936標高点を越えて下るが、頭上に次のピークである1121ピークが見える。ここからそのピークまでは急な登りが続く。途中の樹間から早大尾根と主稜線上のソエマツ岳と思われるピークが覗く(2)。

 1121ピークはなだらかな細長いピークであるが、前後から背丈の高い笹に覆われて、それを掻き分けながらの歩きとなる。そのピークを越えたところで、端正な形をしたポンヤオロマップ岳と対面である。上空はすっかり晴れている(3)。ここから尾根は北西に向きを約90度変えることになる。ここからが1日目の最初の正念場である。両側が切れ落ちた痩せ尾根を慎重に100mほど下り、コルからは400mの急登が待っている。

 ポンヤオロマップに近づくにつれて斜度を増し、尾根は痩せて、両側は木が生えているからそれほど気にならないが、南日高特有のぞっとする落ち込みである。周りの灌木に掴まりながら、一歩一歩慎重に登っていく。1350附近で頭から被さるような岩場にぶつかるが、岩場の基部を巻き、設置されているロープや古い針金を頼りに慎重に登り切る。高所恐怖症の自分には十分すぎるほどのハラハラドキドキものである。

 ポンヤオロマップの標高をなぜか1470mと勘違いしていて、岩場を越えた急登で腹ごしらえをしてじっくり休んでスタートしたら直ぐに頂上であった。頂上には手前にテン場があり、頂上部分も裸地になっていて斜めになった二等三角点と頂上標識がはめ込まれた岩の塊があり、なぜか、丸い何かの蓋のような大きな半円の板が置かれている(4)。

 頂上からはようやくペテガリ岳との対面である。まだ頂上はガスに覆われているが、一番大きなBカールとその右側に明日のテン場となる小さなCカールがかろうじて覗いている(5)。左手には否が応でも常に早大尾根の核心部である鋭く天を突く1483峰の迫力ある姿が目に入ってくる。30分ほど休んでいる内にCカールの右側のルベツネ山もガスの中から姿を現すようになってくる。本来は北日高の山並みが広がるはずであるが、主稜線は濃いガスで覆われたままである。南日高の展望はダケカンバが邪魔してよく見えないが、こちらもまだガスが覆っているようである。

 40分ほどゆっくり休んで、いよいよゴールの1417越えである。ここから尾根はまた90度ほど南西に向きを変える。まずは急な下りを周りの灌木に掴まりながら一気に100mほど下る。一段下りたところに整地されたテン場がある。途中にロープや針金が設置されている岩場の危険箇所もあり、尾根も両側を見たくないほど痩せ細っている。あえて視野を狭くして周りの灌木に掴まりながら慎重に通過する。

 途中のピークから振り返ると越えてきたヤオロマップとその後ろに十勝平野が覗く(6)。目の前には目指す1417ピークとその後ろに早大尾根の合流点の1518ピークとその先のピークが見えている(7)。下りきった1231標高点までは再び岩混じりの急峻な尾根である。周りの藪に掴まりながら慎重に下る。

 1231標高点から1417ピークまでは比較的広い尾根で傾斜も緩い200ほどの登りであるが、藪が濃く、それを掻き分けながらの登りで、なかなか楽をさせてもらえない。15時ちょうどに1417ピークに到着するが、木々に邪魔されて展望はまったくない。そのまま休みもしないで、テン場のコルを目指して下って10分ほどで、左手にある踏み跡の分岐を覗くと、一段低くなったところに無理すれば3張りくらい張れそうなテン場である。

 ここが、第一日目のゴールである。ちょうど太陽が差して暑いので、テントを木陰に張り(8)、まずは保冷バックに入れてきたビールで喉を潤す。展望はまったくないテン場ではあるが、至福のひとときである。テントのそばに咲いているクルマユリが一夜の友である(9)。ただし、招かれざる友もいる。それは無数に寄ってくるブヨである。防虫スプレーもなんのその、隙あればあちこちを刺していく。早めの夕食を摂り、6時前にはテントの中に潜り込むが、相変わらず眠れないまま時間が過ぎていく。夜、外に出ると上空は満天の星空である。

 2日目につづく

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