辺毛山(ぺんけやま)(811m)  東南東直登尾根ルート  4人 03,11,9

今年たびたび藪山にお誘いをいただいている「地図がガイド」チームの計画に同行し、雪に覆われた藪尾根をまっすぐ登る。

5:50 桂沢湖畔駐車場発
    (芦別川八月沢川右股林道)
登山
地点
下山
7:55
9:05
510m地点
頂 上
9:55
9:25
[1:10]所要時間[0:30]
11:00 桂沢温泉(入浴・昼食)
19:40 帰宅

 この山名を聞いて、その場所を即座に答えられる人は地元の林業関係者かよほどの藪山指向の人であろう。美唄山の北側の稜線上に聳える上砂川町・歌志内市・芦別市の3市町の境界の頂点の山である。

 もちろん誘われるまで目にしたり耳にしたりしたことのない山であるし、読み方も多分「ぺんけやま」と読むのであろう。山名の由来は道内に多い地名のアイヌ語のペンケであろう。「上手にある・・・」の意であるが、「下手にある・・・」の意で対になる「パンケ山」と呼ばれていた山も近くにあったに違いない。いずれにしてもこんな地味な藪山を対象に選ぶのは2万5千の地図上に記載されている山を可能な限り踏破しようと考えている『地図がガイドの山歩き』チーム以外にはいないであろう。

 前日札幌出張だったこともあり、翌日の日曜日、私の山数を増やす応援団を買って出てくれている彼等と同行させていただく。昨年暮れの北日高のシキシャナイ岳以来、これで、8回・11山目である。今までは、それなりに私でも知っている山がほとんどで、検索を入れても何らかの情報のある山で、実際登ってみても人の入った痕跡がある山ばかりであったが、さすが、この山はまったく皆無の山であった。冬山直前のこの時期、林道を可能な限り詰めて、その頂上に繋がる最短尾根を藪漕ぎで辿るために地図とにらめっこで物色した山らしい。

 前夜、桂沢湖畔の駐車場で待ち合わせ、夜明けと共に、もう一人札幌から合流するNaさん(ハッタオマナイ岳で同行)と待ち合わせの三段滝駐車場へ向かうために、三笠から芦別に抜ける芦別川沿いの国道452号線を北上する。三芦トンネルを抜けると、一面一夜にして銀世界と化した雪景色である。三段滝からさらに北上し、富良野へ抜ける交差点を過ぎて、芦別川の八月沢川林道へ入る。当初は、上砂川と芦別を繋ぐ道々115号線側から入る予定であったが、すでに冬期間通行止に入っているので、こちら側からのアプローチとなる。

 この林道は奥に採石場があるので、そこまでは整備されていると思い、その奥からは林道歩きを覚悟していたが、ずっと快適な林道が続いている。採石場の奥からはNaさんのRV車一台でさらに奥へ進む。途中の分岐から八月沢右股林道を進むが、その先も頻繁に利用されているらしく、快適な林道をどんどん奥まで入っていくことができる。目指す辺毛山頂上が目の前に見える(1)地図上の513m地点の少し手前の駐車スペースに車を置くことにする。雪で濡れる可能性があるので、スパイク長靴の上から雨具のズボンを履き、裏付きのゴム手袋を履いてスタートする。

 柔らかな雪が静かに落ちる中、300mほど林道を歩き、頂上から東南東に延びる割と緩やかな直登尾根へ取り付く(2)。昨夜降ったと思われる3cmほどの新雪が枯れ葉を覆い、木々の枝を白く覆っている。この辺り一帯は二次林らしく、尾根の取り付きからしばらくは藪は薄く、灌木を掻き分けながらの楽な登りである。北見富士(留辺蘂)の登りとよく似た感じである。灌木はすっかり葉が落ちて、雪の白の中に常緑樹の緑色がきれいである。その常緑樹の灌木の中に黒い実を付けた、細長い葉を正月のしめ縄やお供え餅の飾りになどに使う名前の分からない木が群生している(3)。また、昨夜の“エゾシカの寝床”と思われる円形の雪の付いていない箇所を目にする(4)。

 600m附近で一端傾斜が緩くなり、笹薮が現れるがまだ薄く、歩きにはほとんど支障は感じない。右手眼下には北側に延びる先ほどの林道が見下ろせる。再び斜度が増し、笹薮が濃くなってくる。先頭を進むNaさんが笹の葉に付いた雪を払い落としながら進んでくれるので、後ろは楽である。650m附近で再び傾斜が緩み、笹の海を漕いだ後(5)、斜度が増し右上に見える頂上への最後の急斜面となる。灌木と笹に掴まりながら尾根に乗り、頂上へと到着する。

 ところが、あるはずの三角点がなかなか見つからない。10分ほどみんなで足で枯れ葉を掻き分けながら探し、ようやく発見してホッとする。その三角点を囲んでその上にポットを載せて記念撮影である(6)。雲が低く、夕張山系の山などはもちろん周りの眺望がほとんどないのが残念である。空がやや明るい北側に微かに歌志内と赤平の町並みが覗くくらいである。

 身体も冷えてきたので20分ほどで下山を開始する。藪山の下りは速い。おまけにみんなの歩いた跡の雪が剥げて枯れ葉が現れ、まさに枯れ葉に覆われた登山道を下っている錯覚に陥る。ところが気が付いたら、藪に引っかけたらしく、カッパズボンが3カ所も裂けている。登りの半分にもならないわずか25分で林道に出る。登ってきた頂上を振り返りながら林道を歩き車のデポ地点に到着。まだ10時を回ったばかりである。天候がよければ、もう一山の予定であったが、雪も激しくなってきたので、これで、今日の計画は終わりとし、桂沢温泉へ向かう。

 桂沢温泉で冷えた体を温めて、昼食にみそラーメンを食べた後、14時まで昼寝をする。その後、三笠から札幌まで高速に乗り、札幌で秀岳荘に寄り、裂いてしまったゴアテックスの補修布を買って、中山峠経由で帰宅する。

同行した『地図がガイドの山歩き』の「辺毛山」のページへ


「北海道山紀行・目次」へ     HOMEへ

inserted by FC2 system