親岳(568.7m)<知内町/上ノ国町>
<ミナゴヤ林道〜東尾根ルート> ツボ足&かんじき  単独 13,4,23

長い林道歩きと残雪の尾根歩きで、念願の七ッ岳山群完登が叶った

4:00 自宅発
5:35 ミナゴヤ林道入口     
登山
地 点
下山
5:45
7:25
----
8:15
9:10
9:20
林道入口ゲート
カウン沢林道分岐
(東尾根取り付き)
413.3峰
970肩
頂 上
13:00
10:55
----
10:25
 9:45
 9:35
[3:35]
所要時間
[3:25]

13:20 知内温泉(入浴)
15:15 帰宅

 

 知内町と上ノ国町の境界線上に聳える七ッ岳(957m)は、その周りに聳える長山、丸岳、馬岳、燈明岳、牛岳、親岳を従えた山群の盟主である(1)山名の由来もそれら七つの峰の盟主であることに因るらしい。

 この中で登山道があるのは唯一七ッ岳のみ。しかし、この7つの峰をすべて踏破しようと思い立って、まず、残雪期の09年4月に「燈明岳〜馬岳〜牛岳」に登ったのが初めてだった。その翌年の5月に藪を漕いで「丸岳〜長山」に登った。あと残っていたのがこの親岳だった。山群の中では第2峰だが、もっとも北寄りにあるために、別ルートを採るしかなかったのと長い林道歩きが億劫で、ついつい後回しになっていた。

 知内町湯の里地区の奥にある知内ダム手前のミナゴヤ林道からのアプローチが一般的であろう。しかし、施錠されている林道を車で入り、藪漕ぎで登った仲間の記録はあるが、長い林道歩きから登るには残雪期しかないと思っていた。
 
 『魅する山々〜道南100座紀行』の著者Saさんは、08年4月13日に残雪を踏んで10時間掛けて登頂している。今年は雪解けが遅いので、まだ間に合うだろうと、今回のトライとなった。氏の記録を参考に、ミナゴヤ林道を7kmほど歩き、カウン沢林道分岐から東尾根に乗るルートを8時間の予定で計画を立てた。

 施錠されているミナゴヤ林道入口ゲートの前からスタート(2)少し登っていくと、左側に知内ダムが見えてくる(3)


 林道は、アップダウンが多く、登りはよいが帰りは大変だろうと思うほどだった。初めのうちは、ところどころが残雪で覆われている状態だった。至るところに崖崩れ跡が見られる(4)。小1時間ほどで、左下に知内ダムのエメラルドグリーンの湖面が現れる。谷間の正面には目指す親岳がその全容を表す。登る北東尾根に見える大きな全層雪崩れ跡が気になる(5)

 1時間を過ぎる頃から、林道は完全に残雪に覆われている。気温が低くサクサク歩けるのがうれしい(6)ダム湖の上流でミナゴヤ川の右岸に渡るが、母の沢橋で再び左岸の道となる。母の沢橋には昭和30年と記されていた。ずいぶんと古い林道のようだ。

 2時間の予定だったカウン沢林道の分岐に1時間35分で到着(7)春の陽気の下、10分ほどゆっくり休み、腹ごしらえをする。

 橋を渡った先の残雪斜面へ取り付こうと思ったが、その下が崖だった。無理しないで、Saさん同様、カウン沢林道を200mほど入った所から東尾根に取り付いた。



 その尾根の下の方はトドマツの人工林で、積雪が1mほどもあり、快適に登ることができた(8)人工林を抜けると顕著な尾根となり、413.3峰への登りとなる。413.3峰には三等三角点(点名・母沢)が設置されていて、周りは人工林となっている。ピークを越えたすぐ下で、目指す親岳とその左奥に七ッ岳がくっきりと見える地点があった。急な登りと全層雪崩跡が気になるが、ここまでくると手中に収めたようなものだ。(9)

 413.3峰からは平らな吊り尾根が続き、やがて、親岳の北東尾根への登りとなっていく。この尾根は、知内町と上ノ国町の境界で、道南の中央分水嶺でもある。


 いよいよこの山の核心部、両側が全層雪崩れ跡になっているc550〜c650の急な登りとなる。幸い気温も上がり、雪も軟らかくなっていて、長靴でもキックステップができる。半分ほど登って振り返ると、辿ってきた413.3峰からの尾根と、その左奥に、今は亡きFuさんと2人で登った袴腰岳が見える(10)最後は50度はあろうかと思うようなクラックの入った急斜面を四つん這いになって恐る恐る登り切ったら970の肩だった。その先には雪庇の発達した頂上稜線と、その左手に七ッ岳も見えている(11)
 

 あちこちに崩れ跡のある雪庇の根元を辿ると、10分ほどで頂上に到着。頂上の2本の木の幹に白いすずらんテープが巻き付けられていた(12)念願の七ッ岳山群完登の瞬間である。

 4時間半の予定だったが、1時間も早い3時間35分での登頂だった。長い林道歩きが億劫でついつい後回しになっていた山ではあったが、案ずるより産むが易しである。すぐ目の前には、これまでに登った七ッ岳山群の山々が見える(13)

山群の盟主である七ッ岳は、木々が邪魔でよく見えない。そこで、西側へ300mほど下ってみたら、ちょうど端正な形の見えることがあった(14)天気は良いが、遠望は霞んでいてよく見えないのが残念である。

 雪の軟らかい稜線と急な下りに備えて、かんじきを着けて下山開始。970の肩直下の一番急なところは、後ろ向きになって下ろうと思ったほどであった。c550までは滑落したら止まらない感じなので、一歩一歩慎重に下る。それでも、2回ほど滑ってヒヤッとした。雪が軟らかくなっていたのが幸いだった。

 413.3峰の手前でかんじきを脱いで、下山を続け、林道へ出る。予定よりかなり早かったので、帰りの林道は、春の花や景色をカメラに収めながら、のんびり下る。しかし、朝はサクサク歩けた残雪が埋まり、おまけに登り返しの多い林道なので、段々疲れてくる。林道部分は、往路より35分も遅く、林道までの下りの貯金を使い果たした感じだった。それでも、下山は、うれしい13:00だった。 知内温泉で疲れを癒して、帰路に就いた。

 



エゾサンショウウオの卵

エゾアカガエルの卵



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