次にトムラウシ山へトムラウシ山を目指して急斜面を下る
20分ほどの休憩後、空身で、稜線の東側に自分たちのために用意された道路のように続く残雪の上をトムラウシ山目指して出発する。まずは、最低コルまでの標高差470mの一気の下りである(1)。まさに滑るようにして40分で最低コルに立つ。振り返って、覚悟はしていたものの、帰りの登り返しとなる急斜面は予想を超える迫力である(2)。
最低コルから伏美岳を見上げる
 伏美岳からは見下ろす形で見え、やや登行意欲をそがれていたトムラウシ山頂上も、最低コルからは150mの標高差をもって高く見える。頂上の下の方は雪の残りが少なくて藪漕ぎを覚悟しての登りモードに移る。

 1400m付近から残雪が切れて、藪漕ぎモードになる(3)。gan隊長が切り込み隊長としてルートを探索しながら、途中で藪漕ぎには邪魔なストックもデポして頂上を目指す。藪漕ぎしている最中に8時頃から妙敷山を目指したML仲間のTAMA@北見さん(海別岳のときの隊長)から携帯に電話が入る。40分ほどの藪との格闘の末、最低コルからちょうど1時間で頂上に立つ。
藪漕ぎをするganさん
 頂上は、ちょっと刈り払われた痕跡があり、結構展望が利くのがうれしい。辿ってきた長い稜線と迫力満点で切れ上がる伏美岳の斜面や、妙敷山からの帰りのルートを雪の残り具合を見ながら検討したり、取り巻くようにして見える北日高の北側の山々を眺めながら30分近く休憩する。
トムラウシ山頂上で伏美だKをバックに
 下りの藪漕ぎはやはり楽な上に、稜線の真上の藪を漕ぐようにしたので、50分で最低コルへ到着する。藪漕ぎの途中で昼のラーメン用にギョウジャニンニクを少し頂戴する。

いよいよ、本日の最難関である470mもの一気の登り返しである。最低コルでじっくり休んで備える。

 じっと我慢の子で黙々登り続ける。途中で鹿の群れが谷底から駆け上がり稜線を越えていくのが見えたり、伏美岳頂上からML仲間のピパイロ途中戻り組が手を振ってくれたりで、結構楽しい登りである。予想より早い1時間10分ほどで伏美岳頂上へ戻る。頂上には、妙敷岳から電話をくれたTAMAさんが我々の到着を1時間以上も待っていてくれ、感激の再会である。 

さらに、妙敷山へ
 約1時間ほど、見渡す限りの日高の山々を眺めながらの昼食タイムを終え、妙敷山を目指す。最低コルまでの急斜面を滑るように下る。当初は、妙敷山の東側から北東に派生している尾根を下山する予定でいたが、下の方の雪の着き具合が悪く藪漕ぎが待っていそうなので止めて、最低コルから夏道へトラバースして下山することに変更し、そこにリュックを置いて、空身で妙敷山頂上を目指す(5)。右側には常にピパイロ岳から札内岳の山々を眺めながらの登りである。
エサオマントッタベツ
 最低コルから45分ほどで妙敷山頂上に到着。札内岳とエサオマントッタベツの北カールと北東カールが目の前に迫力ある姿が特にいい眺めである(6)。また幌尻の東カールや戸蔦別の天を突くような鋭鋒の形も伏美岳から眺めるよりいい形である(7)。

 35分ほどのんびり休んで、いよいよ下山に着く。最低コルから伏美岳の夏道の尾根を目指して下り気味にトラバースする。わずか7分ほどで1400m付近の夏道と合流する。下から直接妙敷山をねらうのなら、このルートが最短距離である。
幌尻岳と戸蔦別岳
 あとはハードな初体験の残雪期の日高山行の余韻に酔いながら惰性で下る。途中で、先に下りたピパイロ組から剣小屋での合流の誘いを受ける。単独で歩くのと違って、ペースもゆったり、休憩もゆったで、あまり疲れた感じのないまま、合計11時間25分の行動に終止符を打つ。芽室町の新嵐山荘で汗を流し、Eiさんと別れ、剣小屋へ向かう。

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