遠音別岳(おんねべつだけ)(1330.5m) 
  
<オケペプ林道〜北西尾根ルート> 山スキー&かんじき  2名  09、3,16

オホーツク海を背に、長い尾根とスカブラ斜面を辿り、念願の頂上へ

 5:30 斜里道の駅発
 5:55 オケペプ林道入口
登山
地 点
下山
 6:05
 6:40
 8:00
 9:10
 9:45
10:55
林道入口
尾根取り付き
c400(スキーデポ)
森林限界
c860
頂  上
14:30
14:40
13:05
12:25
11:50
11:15
[4:50]
所要時間
[3:15]
15:30 斜里グリーン温泉(入浴)
     斜里道の駅(泊)

 函館から北海道を端から端まで斜め横断しなければ行くことが出来ない知床の山は遠い存在である。日本百名山に選ばれている斜里岳と羅臼岳以外は、まさに「シリエトク」(地の果て)の山であり、秘境の山である。夏には、登山道のある羅臼岳、硫黄岳、知床岳、英嶺山、斜里岳、南斜里岳など、積雪期には海別岳に登っている。海別岳に登った際に隣に見えたこの山はそのとき以来の念願の山であった。

 斜里側から眺めると、穏やかな山容だが(1)、反対側の東面は、垂直に切れ落ちた崖を巡らし、ヒマラヤの山を彷彿させる迫力満点の山である(2)山名の由来は、アイヌ語の「オンネ・ペツ」(大きな川)が語源となる遠音別川の源流部に位置することに因るものであろう。

 休みが取れたSHOさんの誘いを受けての4泊5日の知床遠征・最初の山となった。前日、一気に700kmほど走り、斜里町の道の駅に泊まる。今回のルートは、「地図がガイドの山歩き」の記録を参考に、オシンコシンの滝手前のオケペプ林道から入り、途中から北西尾根上の・252、・341、・319を辿り、c860から頂上までの広い急斜面と尾根を登る予定である。
 ○海抜数mからのスタート〜長い樹林帯の尾根歩き

 翌朝、オケペプ林道入口を目指す。国道の路側帯へ駐車して準備。海岸から頂上を目指すまさに海抜0mからのスタートである。

 雪面は全く埋まらない堅雪だが、SHOさんはアルミかんじき、自分は山スキー。林道にはスノーモービルのトレースが残っている。おびただしいエゾシカの足跡と目を覆いたくなるような木の皮の食害が悲惨な感じだ。家を出る前日に直ぐ近くのウトロ地区で冬眠明けの熊出没のニュースを見たが、熊の足跡は全く目にすることはなく、安心して歩を進める。

 30分ほど林道を辿り、方向を変える地点で尾根に取り付く。まもなく送電線の通過する・252に到着。その後は、広い緩斜面が続き、なかなか高度を稼げない苛立ちと木立に煩さを感じながら歩を進める(3)・341ポコを左から巻き、・319コルに下り立つ。この辺りから徐々に高度を稼げるようになる。c400の平らなピークから先に急な登りが見える。木立が煩く、下山時のスキーも面倒そうなので、そこにスキーをデポし、自分もかんじきに履き替える。ここまでで2時間弱であった。
急な尾根を登り切るとエゾマツの大木とダケカンバの広い緩斜面が続き、高山帯の雰囲気を味わいながら進む。

○ハイマツ帯の広大なスカブラ斜面を登る

 c700付近で森林限界となり、ようやく展望が開け、目の前に目指す頂上が見えるようになる(4)。そこからは、荒涼たる凍り付いたハイマツ帯が続く(5)。そのハイマツを縫うようにして、大斜面の裾まで進む。ときどき踏み抜くこともある。

 ハイマツ帯の中を30分ほど進むと、c860付近で斜度が急に変わるクニック地点となる。頂上が思ったより近くに見え、すぐにでも到着しそうな感じだが、標高差500mはそう簡単なはずはない。広い大斜面を頂上目指して黙々と登る。
 右側には、地図には名前の載っていないラサウヌプリとその向こうに優雅な裾野を広げる海別岳が見える(6)。良く話題になるラサウの牙をズームで引っ張ってみたら、確かに牙そのものである(7)

 ずっとハイマツを覆い尽くすボコボコのスカブラ状態なので、アイゼンは必要なく、かんじきの爪が良く効き、サクサクと登ることができる(8)斜面を覆うスカブラの状態からしても、いつもはかなりの強風が吹き抜けている感じだが、幸い、風はほとんど気にならない。

 途中でSHOさんのかんじきが壊れてしまい、片足はツボで登るが、全く支障なし。左手に羅臼岳から硫黄岳の知床連山が見えるようになると、頂上は近い。
 

○迫力の大展望

 スタートして4時間50分で頂上へ到着。予定は5〜6時間だっただけに、難所や緊張場面もなく、順調すぎてやや呆気ない登頂だった。
 
 まずは、半島の奧へ向かって細い稜線で連なる知西別岳とその奧の羅臼岳を初めとする知床連山をバックに記念写真撮影(9)この山を登ったら、今度は知西別岳も登りたくなった。

 それにしても、頂上の両側に見える東側の切れ落ちた崖面の迫力は凄まじい。ちょっと覗き込んでみたが、吸い込まれそうな感じで、思わず腰が引けてしまう。(10,11)自分たちの立っているところは、もしかしたら、崖の上に張り出した雪庇の上なのかも知れないと思うと、どうも落ち着かない。 
 登ってきた方向を見下ろすと、広い樹林帯の右側に伐採跡のように白く開けたところがある。それは、地図にもある湖沼群のところらしい。夏は、動物しか訪れることのない静かな秘沼が点在していることであろう。

 その遙か下にはオホーツク海が広がる。西側には、ラサウヌプリと海別岳・・・その奧は霞んで見えない。また、残念なのは、本来であれば、直ぐ近くに見えるであろう国後島が見えないことである。

 それらの360度の大展望を十分堪能して、20分ほどで下山の途に就く。スキーのデポ地点からは、SHOさんに片方のかんじきを履いてもらう。

 7年前に海別岳に登って以来の念願の山をゲットでき、大満足のうちに知床遠征の一日目を終える。


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