奥徳富岳(おくとっぷだけ)(1346m)
<群別川コース>  単独 ツボ足&カンジキ 06,5,08

             長い林道を歩き、2度目の熊ノ平から標高差500mの急登尾根を登り、群別岳と対峙する頂上へ

5:00 浜益温泉駐車場公園
5:30 車デポ地点
   (4km地点、標高140m) 
登山地点下山
6:00
7:30
8:50
10:15
11:10
車デポ地点
林道終点
尾根取り付き
西尾根合流
頂  上
15:00
13:35
12:25
12:00
11:40
[5:10]所要時間[3:20]
15:30 浜益温泉(入浴)
20:00 共和町役場駐車場

GPSトラックログ
 この山は、暑寒別岳山頂から見ると、向かい側に群別岳と吊尾根で繋がっている南隣の尖った山であるが、浜益温泉の近くから眺めると比較的ゆったりとした山である(1)

 この山は、数年前までは尾白利加山と呼ばれていたが、新十津川町の最高峰なのに正式の山名が無く、また呼び習わされている尾白利加山がその川名とは無縁なものだった(尾白利加川の源流部にある山でもない)。徳富川の源流部なのだがすでに徳富岳があった。そこで、その奥ということで名付けられたといういわくつきの山である。しかし、まだ地形図には載っていない。ちなみに、徳富(とっぷ)の地名の由来は、アイヌ語のトックに由来するらしく、「隆起した、している、盛り上がっている(モノ・場所)」の意のようである。

 尾根取り付き地点のある熊ノ平までは、4年前に登った群別岳と同じコースである。雪解けが遅いので覚悟していたが、幸い、国道から4km地点の林道分岐まで除雪がされていて、そこまで入ることができた。群別川の長い林道歩きと標高差500mの狭い急登尾根があるので、スキーは止めて、カンジキをリュックに付けてツボ足でスタートする。3日連続の快晴である。膨らみだした木の芽も非常にうれしそうである。もちろん、私もルンルン気分である

 1時間半で林道終点に到着。そこから急な沢に下りるのだが、前回は川が開いていて石を伝って渡渉したが、今回はまだ雪で覆われていた。前回はそこから対岸の急斜面を登って尾根に乗ったが、今回は、その沢に合流し、熊ノ平の手前まで突き上げている沢地形を地図で見つけて、そのまま沢の中を辿る。

 その沢の上へ出て、さらに沢地形をまっすぐ進むと熊ノ平の上に出る。一気に展望が開ける。正面に4年前に登った群別岳南稜、左側に幌天狗、右手に目指す奥徳富岳と南尾根から派生する西尾根が見えてくる。この西尾根を登る予定である(2)近付くにつれて尾根の様子がはっきりと見えてくる。途中の1000m付近に、細くて急な雪付きの良くない部分が見える。ここが一番の難所のようである左側に群別岳の南稜を見上げながら、深い沢地形の中にある西尾根の取り付き地点を目指す。まだ開いていない深い沢に下りて、急な尾根取り付き地点で一息入れる。
 尾根の取り付き部分は45度ほどを越える急斜面である。ジグを切るのは怖いので、キックステップで直登する。登り切ったところは尾根の藪が出ていたが、それを分けて北側に出たら、雪が付いていた。

 一番の難所だと思っていた1000付近の細いところは、下から見上げたよりは楽そうで、藪に掴まって慎重に登れば突破できそうである。むしろそこから振り返って見下ろした、通過してきた細い交互雪庇の方が怖かった(3)そこで、カンジキを着けて、次の急登に備える。

 その急登を越えると、あとは広くて緩やかな尾根である。ここまで来ると、もう緊張場面はない。右手には奇異な姿の黄金山が見える(4)

 まもなく南尾根に合流し、正面に頂上までの広い斜面と吊尾根で繋がる群別岳の頂上が見えるようになる(5)下には見られなかった古いカンジキのトレースやスキーのシュプールも見られる。スキーは多分、緩やかな南尾根をまっすぐ下りたのであろう。双耳峰のコルを目指して最短距離を登る。



 5時間ちょっとで、狭い頂上に到着。一昨日登った暑寒別岳、昨日登った雄冬岳、5年前に登った浜益岳、そこから眺めた感動が忘れず翌年に登った道内5大鋭鋒のひとつ・群別岳
とそこまでの細い吊尾根の大展望が広がる(6)遠望はやや霞んでいるが、目を凝らすと、大雪方面や夕張山系、札幌方面の山並みも微かに見える。時間的にも体力的にもまだ余裕があるので、群別岳回りで下山することも考えたが、一度登っているし、細い吊尾根で怖い思いをすることもない・・・来たコースを戻ることにする。



 天候にも恵まれ、3日連続で方角を変えて登った増毛山系である。もう登りたい山は全部登ってしまった感がある。もう来ることがないかもしれない。そんな思いでじっくりあちこち眺めて下山を開始する。

 急な下りは速い。登りの2歩が1歩である。カンジキで飛ぶように下る。2時間20分も要した西尾根の下までわずか45分で下ってしまった。ただし、調子に乗って下っていたら、一番難所だと思った細くて急なところで、右足のカンジキの爪で左足のカンジキの輪に引っ掛けて仰向けに転がってしまった。危うく滑落寸前であった。調子に乗るとろくなことはない。熊ノ平を越えた緩斜面でも再び同じようにして転んだ。なぜか、仰向けに転ぶ。そのとき見上げたネコヤナギが枝を広げた青空があまりにもきれいで、すぐには起き上がることができず、しばらく仰向けのまま休んでしまった(7)

 林道終点の下の沢に合流する沢の中を下っていくと、雪の無くなった斜面に今年初物のギョウジャニンニクを発見。今晩のラーメンに入れるだけ頂戴する。疲れを感じる長い林道歩きも、登りと同じ1時間半ほどでゴールイン。3回目の浜益温泉に入り、明日の八内岳を目指して、札幌や小樽を抜けて共和町まで走る。


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