オコツナイ岳(1170.4m)  <狩場山・茂津多コース>  2名  05,04,24

最高の天候に恵まれ、大雪原から雪庇の発達した細い岩場の吊り尾根を怖々越えて、念願の狩場山塊1000m超峰完登。

 4:45 自宅発
 7:00 狩場山茂津多コース登山口 
登山
地点
下山
 7:20
 7:30
 8:40
 9:30
10:45
----
11:40
登山口
スキーを着ける
586コブ
森林限界(800m)
吊り尾根手前
(スキーデポ)
頂  上
14:25
14:15
13:40
13:20
12:50
----
12:20
[4:20]所要時間[2:00]
14:15 せたな温泉(入浴)
18:05 帰宅

 この山は、1520mの狩場山を盟主として、小田茜川の源頭部を取り囲むように連なる1000m超峰(フモンナイ岳、東狩場山、前山、オコツナイ岳)の一つである。夏道のある狩場山は6回ほど前山は茂津多コースの途中で踏んでいるが、夏道のないフモンナイ岳と東狩場山は03,4,27に山スキーで登っていて、この中で残っていたのが、今回のオコツナイ岳であった。

 ただし、この山は、地図上で見ても、最後は茂津多コースの広い尾根の1100m付近から東側がすっぱり切れ落ちている細い吊り尾根を越えなくてはならず、それが怖くて延び延びになっていた山である。しかし、この山を登ると、道南にある山名が地図上に記されている1000m超峰20座を完登することになるので、なんとしても登りたい山であった。(このほかに山名の記されていない通称・利別岳が残っているが・・・)

 ネットで検索しても山行情報はみつからず、八谷和彦さんの『ガイドブックにない北海道の山50』が唯一の手がかりであった。彼でさえ、この山に登頂できたのは4回目の挑戦の結果である。彼の文章の中の「吊り尾根は地図で見るほどのナイフリッジではないが、ツボ足で歩いた方がよい・・・」という記述に微かな可能性をを求め、ダメモトで挑戦する日を画策していた。

 たまたま、全道一帯「晴れ」の天気予報を見て、前日に、今シーズンこれまで3回の山スキー登山にお付き合いいただいているFuさんに電話を入れると二つ返事での同行となった。

 出発した時点では、狩場山茂津多コースの登山口まで車で入れることを願っていたが、八雲町から北檜山町経由で日本海へ抜けたら海岸付近はかなり高いところでも全然雪が残っていない。今度はスキーを担いで歩かなければならないのでは?という心配に変わった。案の定、2001年に整備された茂津多灯台手前の登山口(標高250m地点)に着いたら、周りには全然雪が見当たらない。

 しかし、スキーを担いでの歩きを1時間は覚悟の上で、快晴無風の春の陽気の下、嬉々として準備する。道端一面に咲いている白いキクザキイチゲを眺めながら登山道を歩き始めた。しかし、うれしいことにわずか10分ほどで登山道を雪が覆い始める(1)

 途中で登山道を踏み外したらしいが、藪や樹木も煩くないので、そのまま標高470m付近の細い尾根の取り付きを目指して歩き続ける。その手前まで来たら、登山道標識が見つかり、そこまでの見失った林道状の広い登山道も続いていた。さらに、その先の細い急な尾根は雪が溶けて木の階段が剥き出しになっている。夏道の唯一記憶の蘇ったところでもある。

 この木の階段から586mコブまでの標高差100mほどは、細い急な尾根で雪も溶けているので、スキーを脱いで登り切る。その先は登山道も分からないまま緩やかな疎林帯の尾根を辿って登っていく。途中から森林限界の上の平らな尾根が見えてくる(2)そこへ繋がる尾根を登っていくと、標高800m付近で林から抜け出し、森林限界の上に出る。この辺りから標高1000m付近までは、このコースでは比較的急な登りで、帰りは滑りを楽しめる斜面でもある。

 標高1000m付近で真っ平らな感じのだだっ広い雪原の尾根に乗ると、北東に目指すオコツナイ岳がその姿を現し(3)東側のずっと先には狩場山頂上も見えている(4)吹雪かれでもしたら、どこを歩いているのかまったく分からなくなる地形である。そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか上空に薄い雲が広がって、狩場山方面は見えなくなるが、目指すオコツナイ岳はずっと青空の下であった。どこでも自由に歩ける地形なので、オコツナイ岳を左手に見ながら、ひたすら吊り尾根の根元を狙って最短距離を進んで行く。

 オコツナイ岳への一番心配な吊り尾根の状態を観察しながら、その根元に近づいていく。スキーのデポ地点に決めた標高1100m付近に、予定より30分ほど早く到着する。スキーを脱いで、吊り尾根をじっくり観察する。核心部の東側は垂直に切れ落ちて岩肌をさらけ出し、その上に雪庇が覆い被さるように発達していて見るだけでも怖い感じである。しかし、尾根の西側は斜度はきついが尾根の直ぐ下にハイマツやダケカンバなどの木が生えている。その木を頼りにして掴まりながら行けばなんとか切り抜けられそうである(5)

 核心部の先にも気になるところは見えるが、とにかく「行けるところまで行って、無理なら潔く諦めよう」と腹を括ってストックを両手に持ち、ツボ足でコルへ下りていく。幸いなことに、昨日積もったと思われる10〜20cmの新雪のお陰でアイゼンは必要もなく、滑る心配はないようである。

 コルから、再び落ち着いて吊り尾根の核心部をじっくり観察する。高所恐怖症の自分はその迫力に押しつぶされそうな感じである(6)Fuさんも同じ思いのようである。もし、登頂できなかったときに備えて、コルで、くっきりと晴れている狩場山をバックに写真を撮って(7)自分が先きになって慎重に進んでいく。

 間違っても雪庇を踏み抜くことのないように、ハイマツの端の幹を踏み、枝に掴まりながら進む。ハイマツの切れ間にもダケカンバや笹や灌木が続いてくれるので、それに掴まったり潜ったりしながら行けば滑落の心配がないのと、オーバーハングになっている核心部も、登っている最中は反対側が見えないので、それほど恐怖心もなく割りと楽に越えることができた。これで、強風が吹いていたら、怖かったかも知れないが、ほとんど無風であったのが幸いした。

 その先も、交互雪庇になっているところや岩場を巻くところもあったりして、慎重に進み、スキーデポ地点から1時間も掛からないで念願の頂上に立つことができた。頂上からは、小田茜川がすべて掻き出したような深いお椀型の谷地形の中央に盟主の狩場山が、その稜線の左側に飛び出た感じでフモンナイ岳が、狩場山の右手には前山が連なって広がり(9)、振り返ると、青い日本海が広がる(10)二人とも、無理かもしれないと思っていた吊り尾根も無事突破でき、今シーズンの雪山登山で最高の登頂感に酔う。

 ポカポカ陽気の下で、それらの眺望を楽しみながらのんびりと昼食タイムを過ごして、いよいよ下山である。登ってきたところを下るだけなので、それほど恐怖心も心配もないが、せっかくここまで無事来たのだから、吊り尾根を通過するまでは気を抜くことはできないと想いながらも足取りは軽い。登りの半分以下の25分でスキーデポ地点へ到着することができた。怖々越えた吊り尾根を振り返りながら、再び陶酔感に浸る。

 あとは緩やかな広い尾根を気ままに滑り降りるだけである。いつもはシールを着けたまま滑るFuさんも、今日はシールを外して滑りを楽しむ態勢である。飛行場のような緩やかな広い斜面ををのんびりと下る(11)。途中で日本海に浮かぶ奥尻島に気付く(12)森林限界から下の疎林帯の尾根でも快いターンを刻みながら、春スキーを楽しむ。

 頂上まで3時間を要した586コブに半分以下の1時間20分で到着する。ここからの標高差100mほどの細い急な尾根は、途中何カ所か階段が露出しているので、スキーを脱いで両手にぶら下げながら下る。ところが、この雪の解けて露出している階段の両側には、あちこちで葉を広げる寸前のギョウジャニンニクが群生している。もちろん今年の初物であり、見過ごすわけには行かない(13)

 自然の贈り物のおまけもいただき、再びスキーを着けて、登りでは途中から踏み外した林道状の広い登山道を下る。最後は、10分ほどスキーをぶら下げてゴールインである。登りで4時間20分も要しても、2時間で下山できるのは山スキーの特権である。

 一昨年の同時期にフモンナイ岳に登って眺めて以来、自分には無理かも知れないと思っていた2シーズン越しの念願の山を制した満足感に酔いながら、日本海沿いの道を走る。

 瀬棚町営のせたな温泉に浸り、さらに満足感と幸福感に身を任せ、帰路に就く。途中、北檜山町から狩場山塊を眺めたが、オコツナイ岳は手前の尾根の陰でその姿を眼にすることはできなかった。



「北海道山紀行」目次へ   HOMEへ

inserted by FC2 system