オダッシュ山(1097.7m)   ヤスダ川コース   6人  05,03,01
03,7,17の単独夏道登山
04,4,14の山スキー単独登山へ

バラエティに富んだ5名の楽しい同行者のお陰で、厳冬期の再訪と楽しいスキー滑降が叶った3度目の登頂。

登山
地点
下山
 9:15
 9:30
10:15
10:50
11:40
-----
12:05
登山口入口(370m)
高速道路横切り
650m地点
尾根雪庇越え(740m)
前 峰(1050m)
頂上下(昼食)
頂 上(1097.7m)
14:45
14:40
14:20
----
13:05
12:25
12:20
[2:50]所要時間(昼食を除く)[1:55]

GPSトラックログ(100kb)
(登りは赤色、下りは青色)
 北日高の新得町市街地の西側に聳えるこの山は(頂上は奥のピーク)(1)、これで3年連続(夏山、残雪期、今回)の登頂である。昨年の4月に登ってみて、厳冬期に再訪し、前峰からの正面に見える北東斜面を滑り降りてみたいという願いの実現と、HYML(北海道の山メーリングリスト)で発行予定の仮称『北海道雪山ハイキング』の取材も兼ねての3回目の再訪となった。
 
 今回は、2/27の「湧別原野オホーツクスキーマラソン大会85km」の帰りに合わせた計画である。取材モデルを兼ねた同行者募集をHYMLに流したら、平日にもかかわらず、札幌からこれまで何度か同行したことのある冬山のベテランでテレマーカーのSiさんとSa女史の心強い2名が応じてくださり、さらにSiさんの若い友人でボーダーのMiさんとテレマーカーの女性2名(IさんとTaさん)が華を添えてくださり、バラエティに富んだ楽しくも賑やかなグループ山行となった。


 この山名の由来は、『「狩勝峠」私的資料室』のというHPの「オダッシュ山の由来」(掲載は本人からの了承済み)に詳しく掲載されている。これによると、この山付近を水源とする「オタソイ川」と同じ語源であり、この川の名からとられたという説らしい。「オタソイ」は元は松浦武四郎の地図にある「ヲタシュイ」であり、萱野茂氏は、「オタ・スイ(砂・穴)」ではないかと考察している。ぼろぼろになった岩石に穴の空いた状態を指すのだという。

 前日、網走で流氷見物をし、翌日に備えて帯広駅前のホテルに泊まることを知った帯広在住のHYMLの仲間2名とその友人が集って、居酒屋で楽しいひとときを作ってくださった。

 翌日、8:30、国道から登山口へまっすぐ延びるオダッシュ通り(道々夕張・新得線)へ入る手前で待ち合わせて、登山口へ向かう。
 (ただし、現在は高速道路建設工事のために登山口近くまで除雪されているが、町役場に問い合わせてみたところ、高速道路が完成した時点では、2kmほど手前の畜産試験場までしか除雪をしないそうである。)

 夏山の新登山口は高速道路建設の関係で以前の登山口の100mほど手前の林道から入り、工事中の高速道路の手前に移っていた。しかし、冬場はこの林道の除雪がされていないので、実質的にはこの林道入口が登山口となっていて、駐車帯もきちんと除雪されている。幸い、2日前の日曜日のものと思われるトレースが残っていたので、それを辿ることにする。

 まずは、暗いトドマツ林の中を進む。10分も歩いたら突然目の前が開け、工事中の高速道路にぶつかる。建設が昨年より進み、南側にはトンネルと橋が完成していた200mほど反対側の北側には夏道の新登山口と専用駐車場とトイレが設置されていた。多分、夏はその高速道路の下を潜る道が用意されているのではなかろうか?

 高速道路を横切り、カラマツ林の中に続くトレースを進む。450m付近で終わる沢地形を巻くように幅広の尾根に乗る。夏道は500m付近で右に垂直に折れてトラバース気味に右の尾根に取り付くのだが(地図上の夏道はヤスダ川を挟んだもう1本北側の尾根に記されているが、これは間違いである)、トレースも、こちらの計画通りに雪山ならではルートでもっと上から夏道尾根を狙っているようである。すなわち、下から見ると、夏道尾根に垂直に細く延びるトドマツ林の手前のオープン斜面から740m付近で夏道尾根へ合流する尾根である。

 振り返ると、十勝平野とその北側の雪雲の下に東西のヌプカウシヌプリがかろうじて姿を見せている。そのほかの東大雪の山々が見えないのは残念である。トドマツ林の中を100mほど高度を稼ぐと、下から見えていた夏道尾根に垂直に細長く延びるトドマツ林手前のオープン斜面の下に出る(2)。トレースは風で雪が覆われているためにラッセルを交代しながらジグを切りながら登って、夏道尾根の合流地点の雪庇の発達が小さい740m付近を狙う(3)。

 雪庇の下は急ですんなりと越えさせてもらえない。自分もバランスを崩して背中から一回転して滑落し、せっかく稼いだ高度を登り返すハメに・・・・。全員苦労しながら夏道尾根に乗って一息つく。前峰までは幅広の帯のようなゲレンデ状態の尾根が続く。左手に滑り降りる予定の美味しいオープン斜面が覗く。

 雪庇を踏まないように気をつけながら、十勝平野と新得の町をバックにその尾根を登っていく(4)。目の前には、前峰までの我々のために用意された絨毯のような幅広の尾根が続く(5)。

 前峰に近づくに連れて斜度が増し、ジグを切るようになる。2時間半ほどで前峰の岩峰に到着する(6)。指呼の先に見える頂上とその左手に雪雲に覆われながらも狩振岳の鋭峰と左手の稜線続きの無名峰が微かに見え、その手前にこの山の頂上から続く国境稜線が迫力ある雪庇を発達させながら、南側へ延びている。

 前峰から頂上へ繋がる尾根を辿り、下りの滑降が美味しそうな最後の急斜面を登り切ると、頂上である(7)。

 登り初めは快晴状態だったが、だんだん雲に覆われてきて、広がる展望は十勝平野の一部と西側の狩振岳と隣の無名峰だけである。もし晴れていれば、十勝連峰からトムラウシ、そして東大雪や阿寒の山々がずっと続いて見えるし、近くの北日高の山々はもちろん、トマムスキー場のあるトマム岳の奥には夕張山系とさらにその右奥に増毛山塊までもがくっきりと見えるはずである。

 風はそれほどないが、昼食は頂上斜面を下ったところで摂ることにし、前峰までの登り返しを考えてシールをつけたまま下ることにする。頂上標識を囲み、前峰をバックに記念写真を撮って(8)、いよいよ下山である。

 頂上下の美味しい急斜面を、まずは、ビデオ撮影をするテレマークのSiさんが下り、下でカメラを構える。シールのないボーダーのMiさんが軽快に下る(9)。自分はシールをつけたままの大きなターンは難しく転びそうになったので、小回りで下る。

 シュプールで荒らされた頂上斜面を見上げながらの昼食タイムである。Taさんから桜餅とビールをご馳走になる。気温が低く、体がどんどん冷えてくるので、早めに食べ終わり、ほかの人が休んでいる間に頂上の下まで登り返してひと滑りをする。

 前峰まで戻り、シールを剥がす。前峰から直接斜面に入るに樹木の密度が高いので、幅広の尾根を標高にして50mほど下って、雪庇のないところから入ることにする。

 幅広の尾根は結構大きく波が打っていて、そこでほとんどの人が転ぶ。自分もスキーの先をそこに引っかけて思いっ切り頭から転ぶが、ビンディングのセーフティ機能が働いて無事であった。

 初めは密度の濃いダケカンバの間をくぐり抜けるが、直ぐに疎林帯へ出る。Siさんのビデオ撮影を受けながら疎林帯のパウダースノーに思い思いのシュプールを刻む。ボーダーのMiさんが「来てよかった〜!」と喜んでくれる。

 やがて、樹林のほとんどないオープン斜面に出る。様子見で一番先に飛び出したはいいが、サンクラストしていて思うようなターンを刻むことができないでまたまた転倒する。技術的なこともあるのであろうが、このような雪質のときはゆっくりながらも急なターンができるテレマークの方が有利のようである。Siさんがそのみごとな技術を披露してくれる(10)。

 Miさんは舞うようにボードを操り、二人の若いテレマークの女性陣も転倒しながらもみごとなターンを刻み、ゲレンデスキーは非常に上手なSa女史は革靴の登山靴での山スキーなので「曲がらないよ〜!砕氷船みた〜い!」と叫びながら安全第一で降りてくる。広い斜面にそれぞれのシュプールが刻まれて手こずりながらも非常に楽しい滑降タイムである。サンクラストしていなかったらどれほど楽しいか知れない(11)。

 谷底を目指してまっすぐ滑り降りたいところであるが、下りすぎると、登りのルートに合流するには登り返しがあるので、左側へトラバース気味に滑降を楽しむ。

 やがてパウダーが戻る樹林帯を抜け、トドマツ林の下を巻くと、登りで夏道尾根に向かったトレースにぶつかる。ここで、自分たちが登り、滑り降りた尾根や斜面を見上げて最後の休憩とする。

 その下の樹林帯の斜面は太陽が当たらないせいか、再び快適なパウダーである。最後の快適なターンを楽しみ、450m付近からは、登りのトレースをボブスレー感覚で下り、車のデポ地点へ到着する。

 適切なリーダーシップを発揮してくださり、今月末には新しい仕事のために富山へ移ってしまうSiさんを初めとする同行者に改めて感謝の気持ちを込めてお礼の挨拶をし、彼等と別れて帰路に就く。途中、休憩を兼ねて追分町のぬくもりの湯で汗を流して着替えをする。千歳で夕食を摂り、一路函館に向かうが、夜間になって路面がツルツルになり、雪も降ってきて疲れと緊張がピークに達する。9時間も要し、ヘロヘロ状態で真夜中の0:40に無事帰宅する。


「北海道山紀行」目次へ   HOMEへ

inserted by FC2 system