[81]  大平山(おびらやま)(1191m)  [泊川コース ]  96,8,1


オオヒラウスユキソウなどの特異な花々との出会いを求めて
5:30 自宅発
8:30 宮内温泉
登山  地 点下山
 9:00
 9:20
10:20
10:50
11:45

12:15
通行止め
登山ロ
尾根乗越し
810mピーク
1,109mピーク
   〃(昼食)
頂 上
15:10
14:40
13:55
13:45
13:15
12:45
12:20
[3:15]所要時間[2:20]
15:30宮内温泉(入浴)
19:20帰 宅
                                      
目当ての花・オオヒラウスユキソウ道南にあって、道内で珍しい石灰岩の山ゆえにオオヒラウスユキソウ(1)などの珍しい花の分布で有名な山である。しかし、道路工事のため、登山口までのアブロ −チが難しく、延び延びになっていた山である。 これらの花に会うためには、この時期しかないと以前から決めていたが、幸いしばらくぶりの天候の良さに急遽アタックした。

日本海側を北上し、島牧村の泊川沿いの道へ入り、まず宮内(ぐうない)温泉を目指す。途中、宮内温泉に寄って登山口までの道の様子を聞くと、 「今年から、この前の道路を以前のように真っ直ぐ行けるようになったはずですよ。」と教えてくれる。迷いがふっ飛び、登山口を目指して工事の済んだ快適な道を走る。ところが、登山 口から1km程手前で工事の人に止められ、今日から橋の架け換え工事で、そこから前 には行けないとのことである。

 工事の人は1時間くらいと言ったが、そんなに遠くな さそうなので、そこに車を置いて、登山口まで歩くことにする。泊川渓谷を眺めながら進むと、やはり20分くらいで赤いテ←プが木の枝にぶら下が った登山口に到着する。
1019mピークを見上げる
 ガイドブックにくわしい紹介もなく、地形図からはかなり急な山であると予想でき たが、所要時間やコースについての予備知識もなく、ただ踏み跡を辿るだけの登行で ある。しかし、予想していたよりかなりの人が入っているようである。足場もしっか りしていて、道を塞ぐ木を伐採してあったりで整備が行き届いているのにはびっくり する。

 最初の30分くらいは、下草の生えた枯れ沢状態の暗く湿った道を登る。周りには道 南特有のブナの大木が目立つ。また、道のあちこちにいわゆる火打ち石に使う半透明の真っ白い岩が顔を出す。また、はぼ直登で急な上に濡れてよく滑る。上りで3回も 転んだのは初めてである。やがて、尾根に乗り、その上を進む。その尾根と頂上から 延びる尾根と合流し、その尾根を乗越すと、はるか上の方から深い谷底まで続く丈の 高い草地の急斜面に出る。ここまで、ちょうど1時間である。

 ようやく展望も広がり、後志方面から長万部方面の山々、振り返ると狩場山も見え る。その草地斜面の中に続く急な踏み跡を辿る。エゾヤマゼンコ?の白い大きな花、 タカネコウゾリナとトウゲブキの黄色、クガイソウの柔ら かな紫色の背丈の高い花が目立つ。高度を上げるに連れて草の丈もだんだん低くなる。  810mピークと思われる地点に立つと、表面に(そこに辿り着くまでは頂上だと思っ っていた)鋭い石灰岩の岩峰1109mピークが聳えている。そこに繋がる稜線はやはり石灰岩が露出して迫 力ある眺めである(2)。その石灰岩の岩場に差し掛かると様々な花々が顔を出してくる。  この山にしかないカラフトマンテマ
  岩場の急なところにロープがぶら下がっている。そのロープを掴んで一歩登ったと ころで、ふと顔の前に、お目当てのオオヒラウスユキソウの花を見つける。わが国で この山と崕山でしか目にすることのできない花である。写真では何回も目にしている が、やはり実物はいい。ポッテリと厚みと光のある苞壱葉の綿毛がふくよかで高貴な感 じがする。岩場だけでなく、周りの草地にもあちこちに咲いている。  また、やはりこの山だけの花・カラフトマンテマ(3)、この山とアボイ岳にしか咲かな いヒメエゾネギの他にも、シコタンヨモギ、イワオウギ、エゾノカワラマツバ、ヨツ バヒヨドリ、イブキジャコウソウ(4)、タカネナデシコ、モイワシャジン、ムラサキモメ ンヅル、ホソバツメクサ、エゾシオガマ、ミヤマウツボグサ、ミヤマハナシノブ、ハ イオドギリなどの他の山ではあまり見られない花々が多く目に着く。
イブキジャコウソウ
 それらの花々を楽しみながら、お花畑の急斜面を這うようにして頂上だと思ってい た岩場の花に覆われた1109mピークに到着。すると、なんともっと奥にもっと高い ピークが二つも続いていて愕然とする。この山は、絶対このピークが頂上である方が 満足感が大きい。見上げても、ここまでのような花畑も期待できず、岩場も見えず、 ごく普通の山のように見える。目的は花々との出会いであり、ここで止めておこうと思ったが、やはり、頂上を極 めなくては悔いが残る。戻ってここで花を眺めながら昼食をとることにし、リュック を置いて頂上を目指す。

 コルに下って行くと稜線上は潅木の物凄い薮漕ぎである。そ こから抜け、花の咲く草地を通り、再びハイマツと笹薮の薮漕ぎである。道もはっき りせず、強引に掻き分けて通過する。普段は頂上まで来る人は少ないのではないかと 思うはどの道である。それでも、頂上への最後の斜面には、下では見られなかったエゾカンゾウとシナノキンパイが一面に咲くお花畑と寿都湾の眺めが嬉しい(5)。
頂上直下のチシマキンバイの斜面と寿都湾
 頂上は丈の低いダケカンバと笹に囲まれた露地に一等三角点が設置されているだけ で、昔何かの建造物があったのであろうか、古い丸太が積んである。ベニヤ板が落ち ているので拾ってみると「太平山」とナイフで切り込んである。ちょっと下の草地に は、あちこちにやはりオオヒラウスユキソウが咲いている。5分ほど休んで引き返す。

 再び1109mピークに戻り、靴を脱いで、昼食を取りながら、一人ぽっちの静かな花 のピークを楽しみながら30分程寛ぐ。 いよいよ下山開始。珍しい花を惜しむように眺めながら下って行くと、オオヒラウ スユキソウを目的に長野から来たと言う若い男女の二人達れが登ってくる。「そこに 見えるピークは頂上でないですよ。さらに30分以上も上にあるけど、薮が凄いし、花 も余り無いし、そこで十分ですよ。」と話してやると、「そうします。」と言って登 って行く。  岩場の花畑を過ぎ、急な道を下るが、登りで予想した通り滑って7〜8回も転ぶ。 こんなに転んだのは初めての経験である。それでも急なだけに下りは早い。登りより 1時間も早く登山口に到着。

 美事な珍しいたくさんの花々との出会い、思ったより急俊で登り甲斐のある山であ ったことによる満足感に酔い、久し振りの真夏らしい太陽を浴びながら泊川渓谷沿い の道をぶらぶら車の置いてあるところまで戻る。 宮内温泉に寄り、お礼を言い、ゆったりと温泉で汗を流し、帰路に就く。


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