帯広岳(1089m)  北北東尾根ルート  単独  04,4,24

4月の末だというのに珍しく新雪に覆われた林道と斜面を繋ぎ、山スキーで楽勝モードで一等三角点の頂上へ

登山
地点
下山
5:50
6:25
8:05
土砂採取場上(343m)
508地点
頂  上
9:00
8:50
8:25
[2:05]所要時間[0:35]

GPSトラックログ(90kb)<登り〜赤色、下り〜青色>
 「帯広」という由緒ある名前をもらった一等三角点の山で、昔は登山道も開削され、道内のどの山にもないような立派な頂上標識が設置されていながら、その登山道は廃道となっている寂しい山である。日高山脈の稜線から大きく外れていて、1000mを少し越すだけの地味な山のせいであろうか?芽室の方から見ると、大きな十勝幌尻岳の右側手前に見える山である。下山して帰りに寄った新嵐山展望台からのその眺めがすばらしい(1)。

 この山に興味を持ったのは、道内の市の名前が付いた山は函館山、札幌岳、室蘭岳、恵庭岳、芦別岳、夕張岳、美唄岳とこの山の8山しかないのに、他の7山に比べてかなりマイナーな山であることである。以前から計画に入れていた山であるが、登山道は廃道と化し、藪漕ぎしなければ無理であるとの情報から、残雪期のこの時期を狙っていた。

 道新スポーツの「ふるさとの山めぐり」にこの山が扱われており、それと、さらに、『山の時計』の山行記を参考にして、北に長く延びる北尾根と東尾根からやはり北に延びる尾根の間に開ける開析地を進み、頂上から北北東に延びる尾根に取り付くことにした(GPSトラックログ参照)。

 芽室町上美生から美生川沿いの南側に続く伏美岳へ向かうときに通る舗装道路を進み、西伏美橋への分岐の1.2kmほど手前の橋を渡ると、その尾根に続く方向に作業道の分岐がある。そこを進んでいくと、土砂採取場があり、その先に目指す帯広岳と辿る尾根が表面に見えている。いい具合に雪解けが進んでいたので、その一番上の終点まで車で入ることができた。積雪期に比べて600mほどの得である(2)。

 車を止めて、ちょっとその先に続く道路跡を100mほど進んでみると、丸い鉄製の標識があるので見てみると、なんと「帯広岳登山コース 頂上まで4km」と書かれているのにはびっくりする(3)。地図上では、東尾根に登山道が表記されているが、こちらからも昔は登山道があったということであろう。その標識の左側からトドマツ林の中に林道が続き、古いツボ足やスキーのトレースも見られる。

  安心して車まで戻り、新調した山スキーを担いで進み、その林道の入り口でスキーを着ける。その先に続く暗いトドマツ林の中の林道を、小鳥の朝のさえずりを楽しみながら進む。やがて、トドマツ林からカラマツとダケカンバの混じる林へと続き、地図上にも載っている508地点まで延びる林道と合流し沢沿いの林道となる。508地点の手前と思われる地点で沢を越える。その先に林道は続いているが、その橋を渡った直ぐ右岸に古いトレースが続いているので、林道を離れ、沢沿いに登っていく。さらに、その沢は左側に曲がっているので、沢から離れ、狙う尾根の方向へまっすぐ進む。昨夜降ったと思われる3〜5cmほどの粉雪の新雪がさっと古い堅い雪面を覆っているので非常に歩きやすい。

  その先のまだそれほど大きくないトドマツの植林地を突っ切って進む。標高640m附近でその植林地を抜け、疎林帯の尾根に取り付く。ちょうどそこで1時間である。一休みし、後ろを振り返ると十勝平野の北側とその先に東・西ヌプカウシヌプリの山が見える。すぐ後ろには剣岳が南側を向いて聳える。

 その先の尾根をジグを切って登っていくと直ぐに再び林道にぶつかる。その林道は尾根を巻くように続き、一端斜度の緩む750m附近で尾根に上がり、その後は尾根を大きくジグを切って続いている。実に広い立派な林道である(4)。その林道をショートカットして尾根を登ってもいいが、それは下りの楽しみにして、林道なりに登っていく。その林道は820m附近で終わっていて、その先の東側の谷斜面にトドマツの植林地がある。

 あとは、ダケカンバにトドマツの混じる疎林帯の尾根をジグを切って登っていくだけである。新雪が堅い斜面を覆い、帰りの滑りも楽しめそうなおいしい疎林帯である。その東側には十勝平野が広がる(5)。

 だんだん傾斜がきつくなり、この時期には珍しいささやかな樹氷状態を呈するトドマツとエゾマツの大木の密度の濃い林の尾根を登るようになると、1000mを越え、頂上は近い(6)。

 2時間05分で林がちょっと広けている頂上に到着である。登山道が廃道となっているのが信じられないくらい立派な頂上標識が設置されている。これまで、写真などで何度か目にしているが、やはり驚いてしまう(7)。

 一等三角点でありながら、周りは林で囲まれ、生憎展望は樹間から十勝幌尻岳の頂上と十勝平野が覗くだけである。数m南側へ下がると新雪できれいに雪化粧した十勝幌尻岳の頂上がはっきりと望まれ、その厳冬期を思わせる凛とした輝きがうれしい(8)。

 上空は晴れているし、風は周りの林に遮られているが、なにしろパウダーの新雪に覆われた山頂である。気温は間違いなく低い。25分ほど休んで下山開始である。上の密度の濃い林の中は慎重に、その下の疎林帯の斜面はターンを楽しみ、その後は、広い林道の中を小回りで滑り降りる。古い雪の上に新雪が積もっているので、非常に滑る。わずか17分で、トドマツの植林地の上に出る。

 トドマツの植林地を突っ切って左側の沢の方へ下り、右岸を滑り降り、508地点の付近で再び林道へ出る。あとは、その林道を下るだけである。最後は100mほどスキーを担いで、わずか頂上から35分でゴールインである。まだ9時といううれしい時刻である。もう一山登れる余裕はあるが、それで満足することにする。誰とも会うことのない静かな登山であった。

 その後、伏美岳登山口までの林道状況を見るために、さらに車を奥に走らせる。登山口まであと6kmほどのところで、積雪のため進むのはそれ以上は無理である。しかし、GWまでには溶けるであろう。時間の余裕もあるので、伏見仙峡を見、新嵐山展望台まで車で登り、音更のセカンドハウスを目指す。 


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