雄阿寒岳(1371m)   [オクルシベコース]    単独 04,6,05 
94,8,06の阿寒湖畔コース

長い尾根上に続く笹に覆われた踏み跡を辿り、5合目上で阿寒湖畔コースで合流し、誰とも逢わない静かな再訪の頂上に立つ。

6:00 雌阿寒(野中)温泉
    公共駐車場(車中泊)
6:40 登山口向かい駐車スペース
登山  地点下山
6:50
7:55
8:55
9:35 
登山口
876地点下
合流地点
頂 上
11:45
11:05
10:25
 9:55
[2:45]所要時間[1:50]
16:00 音更着

GPSトラックログ(60kb)
阿寒湖のそばに聳えるこの山(1)も10年ぶりの再訪である。せっかくなので、今の地形図には載っていないが、古い地形図にその登山道が載っていて、マニアックな登山者によって登られ続けられているオクルシベコース(旧道コース?)を辿ることにする。このコースは、長い尾根を辿り、阿寒湖畔コースの5合目の上で合流するコースである。

 前夜は、温泉とトイレが気に入ったために車中泊の連泊となった雌阿寒(野中)温泉公共駐車場をスタートし、阿寒湖畔を通り、弟子屈方面へ続く阿寒横断道路を進む。やがて、右手に鶴見峠へ向かう舗装道路の分岐がある。その向かい側の法面がこのコースの登山口である。標識は何もないが、昔は林道の入口があったであろうが、道路の改修工事の法面で切られてしまったようである。

 鶴見峠への道路の分岐の右側に駐車スペースがあり、10台ほどは駐められるようになっている。すでに2台の車があったが、誰とも会わなかったところを見ると、下山して分かったことであるが、2台とも釣り人のようである。

 分岐から100mほど阿寒湖方面へ戻ると、その法面に斜めに登る微かな踏み跡が見え(2)、そこを登ると赤いテープがぶら下がり、その奥の暗いアカエゾマツ林に中に古い林道跡が続いている。すぐに、ロープが張られ、「入林禁止 この歩道は使われていませんので、入林しないでください。」と書かれた看板が立っている。心苦しさを覚えながらも、その横を通過する。

 どうやら、鬱そうとしたアカエゾマツ林も木の並び方を見ると、植林された林のようで、その中を進む林道跡の踏み跡を辿るようである。やがて、500〜650mは急斜面をジグを切るように登る。周りにはエゾオオサクラソウがあちこちに咲いている。

 その急斜面を登り切り、緩やかな尾根の西側を辿る辺りから、その踏み跡はずっと笹で覆われ、足で掻き分けながらの歩きとなる。予想はしていたが、踏み跡がしっかりしているのと、あちこちにテープやペンキの表示があるので、不安はない。しかし、胸ほどの深さの笹原を漕いで歩くようなところも多く、ダニも凄い。藪漕ぎ経験のない人は不安になるであろう(3)。

  地図上の765地点で完全に尾根に乗り、樹間の上に頂上がちらっと見える。そこから、やはり地図上に表記されている876地点辺りまでは緩やかな変化のない尾根の上に続く踏み跡となる。

 900mを附近で、地図でもはっきり分かるが、広く平坦なところへ出る。この平坦地を越えると、再び急な尾根道となる。この辺りからは、ようやく笹にも覆われなくなり、作業道跡の雰囲気はなくなり、深くえぐれて登山道らしくなってくる。植生も高山らしくなってくる(4)。

 1100mを越えると、阿寒湖畔コースの5合目上のコル目指してトラバースしていくようになる。2時間ほどで、5合目(実質的な8合目)と6合目の間で阿寒湖畔コースと合流する。しかし、そこには、間違って入らないようにロープが張られている。合流するまで、変化にも乏しくまったく眺望のない2時間以上のルートである。辛抱強さが要求されるルートでもある。

 ここからは、10年前にも歩いた5〜10分毎に6〜9合目標識が現れて、あっという間に頂上のはずである。振り返ると阿寒湖と雌阿寒岳・阿寒富士が、スキー場の左側に昨日登った白湯山も見える(5)。8合目で旧陸軍の気象観測所跡の前を通り(6)、頂上も見えるようになる(7)。噴火口の周りを辿るように一度下って、最後は瓦礫の急斜面を詰めて頂上に出る。

 驚くことに、そんなに早い時刻でもないのに、誰もいない静かな頂上である(8)。日本百名山にもかかわらず、5合目から上の途中も誰とも出会わなかったのが不思議である。眼下にパンケトーとペンケトーが、その奥に屈斜路湖と藻琴山、前日にくっきりと見えた知床連山は霞んではっきり見えないが、斜里岳から南の摩周岳〜西別岳、その奥の武佐岳、釧路湿原方面の眺望が広がる(9)。もちろん、大雪の山々も霞みながら見えている。ただし、真っ黒なテントウムシがウジャウジャいて体のあちこちに止まってはい回るのには閉口である。

 無風で、ポカポカ陽気の静かな頂上で、昼寝でもしたい気分であるが、20分ほど休んで下山開始する。下りも合流点まで誰とも出会うことはなかった。再びオクルシベコースへ入る。あとは黙々と下るだけである。急なところは全部ジグを切ってあるので、快調に歩を進めることができるし、深い笹も下りは楽である。しかし、690m附近の平坦なところで踏み跡を見失う。テープを探して、なんとか戻ることができたが、登りで、「ここはやばいかも?」と思い、ただ一箇所、自分でピンクのテープをつけて置いたところである。 

 その後は、快調に下ってゴールインする。しかし、阿寒湖畔コースに比べて、変化に乏しく単調で、眺望もなく、一度歩けば、もう結構といった感じのコースである。


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