5日目 12/10、 雨の中、マッキンノン峠を越えてアーサー谷のクィンティン小屋まで16km

ポンポローナ小屋7:3012:00マッキンノン峠小屋13:00〜15:30クィンティン小屋15:55〜16:35サザーンランド滝16:40〜17:10クィンティン小屋

○雨の中、標高差700mのマッキンノン峠を目指す
 昨夜からずっと雨が降り続く。今日は、このトレッキングのハイライトである大展望のマッキンノン峠越えなのに残念!今日は峠を境に、登り700m、下り900mのきつい行程なので、いつもより早い7:30に出発。

 朝方は青空も少し覗いて期待を抱かせたのだが、雨に対する完全防備でスタート。林の中は雨が少し遮られるので、それほど気にならない雨の多い地域の様相を呈している深緑の原生林なのだが、しばらく振りの雨らしく、すっかり乾き上がっていた苔やシダ類が喜んでいるのが分かるようだ(1)
  
 両側の切り立った崖からは、晴れているときは見られない滝も増えて、その水量も迫力を増しているようだ。この滝は3段の階段状になって落ちるセントクィンティン滝らしい(2)

 クリントン川源流の吊り橋を渡ると、川から離れて11のジグザク道の本格的な登りが始まる。ゆっくりゆっくり歩を進める。森林限界を超えた辺りから足元に白く大きなマウンテンディジーと、ニュージランドを代表する花・マウントクックリリィが姿を見せ始める。マウントクックリリーは予想していたよりかなり大きな花で、花の直径が5〜6cmもあり、花以外の姿は日本の大きなエゾノリュウキンカ(ヤチブキ)そのものである(3)







  峠が近くなってくると、眼下にクリントン渓谷の源頭部の切り立った崖に囲まれた窪地が見えてくる。そのまわりの氷河に覆われているであろうピークの連なりが見えないのが残念だ(4)。マウンテンディジーとマウントクックリリィに彩られた緩やかな道を詰めると峠は近い(5)
 
 やがて、右手眼下には、辿ってきたクリントン渓谷が見えるようになる(6)

 しばらくして、1888年、マッキンノンとミッチェルのトラック開拓の労を讃えた記念碑(1912年建立)の立つトラックの最高地点マッキンノン峠(1073m)に到着(7)
 
 晴れていれば、楽しみにしてきた遠くに氷河や雪を抱くサザンアルプスの山々が見えるらしいが、それが叶わないのが残念だ。

 ガイドがポットに入れた温かい飲み物を用意して待っていてくれた。それらをご馳走になり、少し休んで、峠の稜線の先にある昼食場所のマッキンノン峠小屋を目指す。

 稜線の平坦なところのあちこちに小さな沼が点在する(8)。それらを見ながら、右がクリントン渓谷、左がアーサー渓谷の断崖絶壁に挟まれた細い稜線を進むと(9)、マッキンノン峠小屋に到着

 小屋には、先に着いたガイドたちが、ストーブを焚き、温かい飲み物を用意してくれていた。峠で飲んだ粉末のチキンスープが美味しかったので、また、それをいただき、自分で作って持参したサンドウィッチとリンゴで腹ごしらえする。







○峠を越えて、アーサー谷へ下る 

 この小屋のトイレは外にあるが、「世界一景色の良いトイレ」として有名なのだそうだ。その景観が、霞んではいるが、昨日から辿ってきたクリントン渓谷の氷河で削られてできたU字谷である(10)もっと晴れていれば、その全容がはっきりと見られたのに・・・。

 1時間ほど休んで、今度はアーサー渓谷への下りである。この手前の断崖絶壁は、前日の説明で、「落ちれば12秒で下まで下ることができます」と言われたところである。

  この下りは、ジグを切りながらのかなりの急な道である。雨を集めてもの凄い迫力で流れ落ちる滝川のそばにずっと滑り止めが付けられた階段と展望テラスが設置されて、それを下って行く(11) 

 やがて、再び苔に覆われ、木々にサルオガセがまとわりつく鬱蒼とした原生林へと入っていく。わずか数百mしか下らないのに、寒帯から亜熱帯まで下った感じである(12)

 アーサー川を跨ぐ吊り橋をいくつか渡って、ちょうど8時間で、今日のゴールとなるクインティン小屋に到着(13)

○世界5番目の落差を誇るサザーンランド滝へ

 降り続く雨に打たれながらようやく小屋に着いたが、ここにはまだ見るべきハイライトが残っている。世界で5番目の落差(580m)を誇る豪快なサザーンランド滝だ。往復1時間半とのことで、希望者だけではあったが、私たちのグループは、比較的元気な6人だけで向かうこととなった。ガイドのジョンが同行してくれた。

 強い雨の中、急ぎ足で進む。35分ほど歩くと、これまで散々見てきた滝ではあるが、それらより高いところから豪快に落ちる滝が見えてくる(14)

 さらに5分ほどで、その真下に到着。落ちる滝の起こす風と水しぶきに打たれて、その迫力を実感する。ジョンに言わせると、昨夜来の雨で水量がかなり多くなっているとのこと。水量が少ないときはこの滝の裏側を通ることができるらしいが。今日は近づくことさえ適わない状態である(15)

 急ぎ足だったせいもあり、往復1時間10分で再び小屋へ戻る。全部着替えて、ずぶ濡れのカッパや衣服やリュックや靴を乾燥室に干し、シャワーを浴びてさっぱりする。

 楽しみな夕食であるが、食事を作るのは専門のコックであるが、料理を運んでくるのは4人のガイドの仕事である。最後のデザートが出てくる段にになって、突然、厨房の方でもの凄い音がする。びっくりして全員そちらを向くと、いろいろ趣向を凝らした変装姿の4人のガイドたちが手にデザートを持って出てくる。洒落た演出に、全員大喜び、大喝采である(16)。

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