1日目からつづく
<2日目>
2日目
地点
 2:45
 3:25
 4:25
 5:15
 6:15
 7:40
 8:40
11:40
12:45
新見峠
前目国内岳
目国内岳
パンケメクンナイ湿原
岩内岳
幌別岳
雷電山
朝日温泉
雷電海岸
[10:00]所要時間
13:00 ホテル雷電(入浴)
15:08 バス乗り継ぎ
  (雷電温泉〜岩内
  〜倶知安〜スキー場)
18:29 車回収)
19:00 新見峠
  (テント装備回収)
22:10 帰宅
                         
 ○ヘッドランプを頼りに、まずは目国内岳へ
 
  3時には出たいので、1:30に起き出して、焼きそば弁当の朝食を摂る。空には月が照り、星が広がっている。月明かりを利用して歩けそうだ。準備ができ次第、出発することにする。なんとか昼ごろにはゴールできるだろう・・・・。

 当初、2日目は、テント泊装備を背負って歩くつもりでいた。しかし、雨が降るのであれば、少しでも早く下りたいので、やはりデポすることにした。テントを解体して、必要のないものと一緒にリュックに詰めてトイレの上の棚板の上に置かせてもらう。今日は日曜日で、駐車場も賑わうので、盗む人はいないだろうと確信して・・・。

 準備完了したのは良いが、期待した月明かりの月が雲の中に隠れてしまった。2:45、寒さと朝露対策で上下カッパを着てスタート・・・漆黒の闇の中をヘッドランプに照らし出された目の前の登山道を黙々と登っていく。

 月は隠れたままだが、星はあちこちに見える。前目国内岳が近づいてくると、両側に見える岩内や蘭越の街の灯が美しい。このような夜間登山もたまには良いものだ・・・。前目国岳頂上からは目国内岳のシルエットが見える。

 山頂手前から岩場が続く目国内岳に着く頃には、明るくなるだろうと期待していたが、思ったより早く着いてしまった。昼でも身震いのするような岩場jなのに、ヘッドランプの明かりだけでよじ登るのは気持ちの良いものではない。岩内岳への分岐から上は、危なかったら無理しないで・・・と思っていたが、ペンキに導かれて夢中になってよじ登っていったら、目の前に頂上標識が浮かび上がった・・・(1)

○パンケメクンナイ湿原を抜けて岩内岳へ

 
 昼でも尻がムズムズして落ち着かない高度感のある頂上なので、早々に退散し、岩内岳への縦走路へ入る。東の稜線と低い雲の間から朝焼けの光りが漏れている(2)。整備行き届いた広々とした縦走路を下って行く。その内にヘッドランプが必要なくなる。やがて、目の前にパンケメクンナイ湿原を挟んだ端正な岩内岳が見えるようになる(3)

 湖沼群の点在するパンケメクンナイ湿原を抜ける(4)夏に来ると花のきれいなところだが、すでに秋色を漂わせ、チングルマの綿毛とオヤマノリンドウとウメバチソウの花が目に付くくらいだ。

 湿原の中は、高山植物保護のために刈り払いがされていないので、草に隠れた踏み跡を辿る所が多い。

 岩内岳分岐から岩内岳までは、数日前に刈り払いがされたばかりでとても快適に歩くことができた。

 3回目の頂上から、まず、羊蹄山と昨日歩いた連峰の山並みを眺める。高曇りで雨は暫く降りそうな気配はない(5)

 携帯が通じるので、今日の天気予報を見る・・・なんと、日中は晴れマークが並んでいる・・・悔しい!昨夕の予報は何だったのか・・・翌日の予報ぐらい当ててもらいたいものだ・・・。お陰で眠ることはできず・・・・・。昨朝のニセコアンヌプリだって、予報では雨ではなかった。しかし、展望のまったくない雨中登山だったし、今日だって、早発ちで、展望は街の灯だけの闇夜登山だった・・・。これなら、急ぐ必要はない・・・と思ったら、ドッと疲れが出てきた。


 眼下に広がる岩内の街並みや今注目の泊原発、さらには積丹半島の山並みと海岸線を眺めながらのんびりと休憩(6)

○だだっ広い稜線の先に続く雷電山へ

岩内岳から分岐まで戻り、その先のネマガリダケとハイマツ帯の広がるだだっ広い稜線の中に続く縦走路を辿る。
その先に幌別岳〜雷電山〜前雷電山が見える(7)

 地図には記されていない幌別岳との最低コルまで下ると、以前に通ったときには記憶にない「水場」の標識と刈り払い道がある(8)100mも下らないうちに湧水があった。冷たくて美味しい。たくさん飲んでボトルにも詰める。

 それにしても、1年に何人通るか判らないようなこの長大な縦走路の広々と刈り払い整備に携わる森林管理署の関係者には頭が下がる思いだ。オヤマノリンドウのような丈の高い花々もきちんと残して刈り払いされている心配りにも感心する(9)。

 しかし、雷電海岸から休業中の朝日温泉までの林道が閉鎖されてからは、岩内岳経由でこのルートから雷電山へ登る人が増えているようだ。

幌別岳の東斜面には雪田跡の花畑が広がっている。すでにイワイチョウも黄色くなり始めている(10)

 幌別岳分岐から3分ほどで秋の装いを漂わせる高山植物に覆われた幌別岳頂上に到着。この辺りが、今日のコースのほぼ中間点のはずだ。

 再び笹藪の中に続く道を進む。手前の沼は干上がり気味であるが、その先の二つの沼が満々と水を湛えて、「五つ沼」の標識が立っている(11)

 この沼と幌別岳付近の花畑だけが、この変化のない2時間以上の笹藪の行程の中での、数少ないチャームポイントである。昨日のコースと違って、急なアップダウンがなく淡々と歩けるのが、今日のコースの特色か・・・・?


 やがて、登りに掛かると南側にすっぱり切れ落ちた急崖を見せる雷電山への稜線の道を進む。稜線の南側は尻別川に注ぐ川の源頭部分で、一面お花畑状態が広がっている(12)その手前の左側に、一昨年スキーで登るまでその名前や存在すら知らなかった三国内のピークも見えるのがうれしい。

 その崖の上から東側を眺めると、だだっ広い笹原の向こうに目国内岳〜チセヌプリ〜ニトヌプリ〜アンヌプリ〜羊蹄山の連なりが見える。
雷電山の頂上は展望が利かないので、これが、次々と越えた山が増えてくる眺めは見納めとなる(13)

 その稜線から今度はハイマツの海に入ってまもなく、立派な頂上標識に再会する。一等三角点が設置された、まったく頂上感のない頂上に到着。展望がなかったはずと思ったが、かろうじて目国内岳〜アンヌプリ〜羊蹄山の山頂部だけが見えていた(14)。一面ハイマツの海の中に続く道を下り、登り返した所が前雷電山。その下りからは、眼下に3日目に訪れたコックリ湖と狩場山塊までの海岸線の眺望が広がる(15)

○ゴールまでの標高差1200mもの長い下り

 いよいよゴールを目指しての標高差1200mもの長い下山コースの始まりだ。コースタイムでもおよそ4時間の長丁場である。しかし、数日前に実施したと思われる枝払いがされたようで、道を覆っていたであろうハイマツや灌木の枝が刈り払われている。前雷電からの急な下りにはロープが設えてある。それでも下りだけならうれしいが、中山への登り返しが辛かった。


 中山から雷電峠への下りの先には登山道はないが、687ピークから岩稜へと連なり、雷電岬の刀掛岩までニセコ連峰は続くのがよく判る(16)。その途中で、下から登ってくる若い2人の森林管理署の男性と出会う。ロープの掛け替えのために来たとのことで、白いロープを担いでいた。暫く立ち話をして、「年に何人通るかも知れないこの登山道の整備、本当にお疲れ様です。お陰で快適に歩けます。ありがとうございます」とお礼を言って、再び下りの途に就く。その直ぐ下の天狗岩の下の急な下りに真新しい白いロープが設えられていた(17)

前回登ったときに目にした「雷電峠」の標識は見落としたのか、目に付かなかった。江戸時代末期から明治初期にかけての蝦夷地三嶮道の一つだった峠なので、改めて目にしたかったのだが・・・。

 やがて、樹林帯の快適な道を下っていくと、朝日温泉の露天風呂だったところに到着。すっかりその面影はなく、白濁した温泉が混じった川と化していた。以前は、その露天風呂までの橋が架かり、そこが登山口だったのだが、その橋すら落ちてなくなっている。しかも、増水していて簡単に渡渉できそうもない(18)

 ステッキを頼りに、なんとか渡り終えることができた。その先には、現在休業中の朝日温泉の建物が寂しく建っていた。「飢餓海峡」の本や映画にも登場する歴史ある秘湯だけに残念な姿だ(19)

 そこから、閉鎖されている4kmほどの林道を下って、雷電温泉郷へと出てゴール。規模はまったく違うが、北アルプスを縦走して親不知の国道へ下りた登山者は必ず海岸まで下ってゴールとするらしい。その真似をして海岸までの階段を下りて海抜0mを体感する。目の前の海に没する雷電岬の刀掛岩は間違いなくニセコ連峰の末端だった(20
)

 ちょうど10時間でゴール。バスの時間まで2時間以上あるので、その上のホテル雷電の温泉へ。缶ビールを買って、浴室で、安着祝いの打ち上げをする・・・右足の裏に傷みが出るほどきつかったが、やり遂げた満足感と充実感は大きい。

 15:08のバスに乗り、岩内バスターミナルで16:00の倶知安駅行きに乗り替える。倶知安駅での乗り替えに1時間以上あるので、中華料理店で野菜味噌ラーメンの夕食を摂る。18:10の「くっちゃんナイト号」という無料巡回バスでヒラフスキー場へ。

 無事車回収をしたが、まだテント泊装備の回収が残っているので、新見峠を目指す。トイレの棚の上にきちんとリュックが待っていてくれた。

 当初は、どこかで車中泊して、翌朝帰る予定だったが、眠気と闘いながらも、なんとか22:10に帰宅することができた・・・ビールも飲まないでバタンキュー。昨夜の分も合わせて爆睡・・・。
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