丹鳴岳(になるだけ)(1039.6m)  美笛林道ルート   単独  04,04,10


一昨年の美笛峠〜漁岳までの縦走の際、踏み外していた山で、長い美笛林道を詰め、緩やかな尾根をのんびり登ると目の前に恵庭岳が・・・そして、支笏湖周辺の山々が・・・。

登山
地点
下山
6:05
7:45
8:05
9:00
美笛林道入口
尾根取り付き
稜 線
頂 上
10:10
9:30
9:25
9:15
[2:55]所要時間[0:55]

 支笏湖の西岸の連なる外輪山の一山で、湖畔から見ると、結構すっくと天を突く目立つ山である(1)。この山に興味を抱いたのはこの山名の読み方である。「になる」とは何か書物で目にするまで読めなかった山である。語源は、丹鳴沢=ニナル・シュト・オマ・ナイ(高原の・ふもと・に入る・沢)の源頭にあることによる山名らしい。ニナル(高原)は本来、丹鳴山塊の裾野にある丹鳴沢と美笛川の間にある緩い傾斜地を指していたと思われる。と言う説と、ニナルシュトマヌプリ(薪をとりに行く道のついている山)と言う説がある。

 この山は、よく山スキーで、フレ岳とセットで登られることの多い結構メジャーな山で、情報も多い。一昨年の春に、美笛峠からフレ岳〜小漁岳〜漁岳を縦走したときに踏み外していた山であもあり、今回はこの山単独で目指すことにする。

 ルートは、国道276号線の支笏湖畔と美笛峠の間で千歳川に合流する美笛川沿いの美笛林道から入るルートが一般的らしい。最短距離として、オコタンペ湖から支笏湖に抜ける道道からフレ岳との中間の982ピークに繋がる尾根を利用するルートもあるらしいが、今回は前者の一般的なルートを採ってみた。

 林道入口は、峠越えのためのタイヤチェーン脱着場を兼ねた広い立派なパーキングエリアになっているので直ぐ分かる。 そこに車を置いて出発する。古いスノーモービルのトレースのほかにスキーやツボ足のトレースも多く見られる。今でも夏の間はかなり奥まで利用されている林道らしく、橋も立派なものが多いし、よく利用されていない林道に見られるような道の真ん中に木が生えていたり、崖崩れのままになったりしているところは見当たらない。

 何度か美笛川に架かる橋を渡り右岸左岸と続く林道を進む。30分ほど歩くと、「美笛林道 延長4232m」と書かれた新しい標識が立っている(2)。ここからまだ4km強の林道が続くのであろうと気持ちを改める。

 標高400mのちょっと手前の橋を渡ると、右岸の林道はだんだん川から離れ、高度を上げていく。表面に源頭を巡る稜線のコル部分が見えてくる。標高660mほどでその林道は沢の方へ下がり始める。古いスキーのトレースがたくさん見られるところから、そこが尾根の取り付きらしい。いつも間にか、スノーモービルのトレースは見当たらなくなっている。沢地形の先には目指す丹鳴山が支笏湖畔から眺めるそれとは違ってゆったりとした形で見える(3)。

 ダケカンバの疎林帯の斜面をトラバースしながら稜線を目指す。帰りは滑りを楽しめそうなおいしい斜面である。ちょうど2時間でゆったりとした広い稜線に乗る。右手に頂上が見えている(4)。あとは美笛川の源頭を巻くように連なる緩やかな稜線を忠実に辿るだけである。振り向くと白老岳や徳舜瞥岳とホロホロ岳が、その右手に羊蹄山がその頭を出してくる。

 頂上が近くなると、稜線の幅が広くなり、斜度も緩くなる。ガスに巻かれたときは方向を見失う心配があり、ピンクのテープが目立つようになる。しかし、ルート全体の斜度からして、山スキーの初心者には打ってつけの山である。すっとダケカンバの疎林帯であるが、1000m付近でなぜかトドマツが混じってくる。左手には一昨年の春に辿ったフレ岳〜小漁岳〜漁岳が見える(5)。

 いよいよ、頂上が近くなったときに、目の前に黒い尖った岩頭が現れびっくりするが、それが恵庭岳の頂上であるということに気付くのにちょっと時間が掛かった。

 予定よりかなり早い3時間弱で頂上に到着。広く緩やかな頂上のダケカンバの幹に「円鳴岳」(なぜか丹が円になっている)と書かれた標識が結び付けられている(6)。恵庭岳が目の前に聳え、その右奥に紋別岳が(7)崖状に切れ落ちている眼下には支笏湖が、そして、その先に樽前山と風不死山が見える(7)。さらに西側には白老岳や徳舜瞥岳、ホロホロ岳、オロフレ岳なども青空の下にくっきりと見える(8)。

 結構風が強く、寒いので、15分ほどで下山開始する。雪も少し溶けだして滑りやすい緩斜面を、登りのトレースを手掛かりにどんどん下る。稜線の下の滑りを楽しみにしていた斜面では、調子に乗って尾根を一本通り過ぎてしまい、GPSで確かめてもとに戻る。登りで1時間以上も掛かった林道終点の尾根取り付きまで、わずか15分で下りてしまう。これがスキー登山の強みである。

 急な林道を小回りしながら滑り降りていくと、スキーを担いだ二人連れに出会う。自分が1時間15分の地点で、3時間も掛かったそうだ。よく見ると登山靴を履き、担いでいるスキーはゲレンデ用である。スキー靴はリュックの中だという。羊蹄山や滑りを楽しむことが目的の山なら理解はできるが、この長い林道歩きの山では珍しい出で立ちである。あと3時間は掛かるであろう。無事頂上まで行き着けたのであろうか。

 林道をのんびり下り、55分でゴールイン。まだ10時半である。このまま今日の日程を終えるには早い時刻である。ふと、頂上から恵庭岳の右奥に見えたまだ未踏の紋別岳を思い出し、「まだ林道に雪が付いていたら登ってみよう」と、靴も履き替えないで支笏湖畔を走る。

このあとに登った「紋別岳」へ




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