二観別岳(1005.4m)〜本二観別岳(1009m)(循環縦走)<様似町/えりも町>
仁寒別林道ルート  8名  12,10、28
8名の藪山仲間と共に、沢を遡り、稜線を繋ぎ、笹藪を下っての循環縦走

仁寒別林道終点(泊)
登下山
地 点
 6:15
 6:40
 7:10
 9:20
 9:30
10:50
11:10
12:15
12:45
13:05
林道終点土場
359林道分岐
沢取り付き
二観別岳
  〃  発
本観別岳
  〃  発
林道跡
350分岐
林道終点土場
[6:50]所要時間

14:00 アポイ山荘(入浴)
21:00 帰宅

この二つのピークの名前は地図上では見ることはないが、えりも町と様似町の境界稜線上に聳える二つの1000m超峰である。しかも南の豊似岳へと繋がっている日高山脈の主稜線上の山である。ニカンベツ川の河口付近の国道からも眺めることができる(1)
 
 この山名の出典は、中札内村ピョウタン園地にある「日高山岳センター」に掲示してある土井博詞氏作製「日高山脈山系詳図」からとのこと。語源はニカンベツ川とポンニカンベツ川の水源に当たることからそれぞれに漢字を当てはめたものだろう。ニカンベツは、アイヌ語で、おひょうの木(ハルニレ)がある川の意らしい。

 前日の午後に、仁寒別林道行き止まり地点の土場まで入り、河原で焚き火を囲んで楽しいひとときを過ごし、そこで夜を明かした。今回のメンバーは、札幌勢の「地図がガイドの山歩き」チームのsaijyoさん、チロロ2、チロロ3、marboさん、numaさん、mocoさん、北見の熊ぷ〜さん、そして、私・・8名の藪山仲間である。その中の先述の4名はすでに登頂済みで、わざわざ他の4名のために2度目のトライとなった。

 そこで、今回は登りのコースを変えて、二観別岳南面直登沢にするとのこと。
 

 夜明けと共に、全員藪漕ぎには最強のスパイク長靴の出で立ちで、一夜を明かした土場跡をスタート(2)満天の星空だったにもかかわらず、夜が明けたら雲が広がり、目指す稜線も雲の中で残念。一部崩壊しているために通行止めとなっている林道を進むと、循環縦走の起点となる359地点の林道分岐に到着。ニカンベツ川を挟んだ山肌の紅葉が非常にきれいだった。陽光があればもっと鮮やかさが増すのだが・・・(3)

 分岐から地形図にも載っている右の林道跡を進む。徐々にはっきりしなくなってくるが、30分ほどで林道跡がUターンするように曲がる地点の沢の取り付き地点に到着。

 下の方は大きな岩が積み重なる涸れ沢だが、徐々に傾斜を増して行くに連れて水流が出てくる。下の方は伏流していたようだ。

 非常に急な沢で、岩登りの連続と言った感じだ。四つん這い状態で岩を越えていく。上の右側に滝があるようだ(4)

 確かに上には2mほどの滝はあったが、そこは通らなくても良かった。その上にも、さらに急な沢が続く。やがて、水流もなくなり、笹藪のトンネルへと入っていく。この山の笹は、周りの山のミヤコザサではなく、人の背丈ほどもあるチシマザサである。今回の山旅で初めての藪漕ぎとなる。

 笹藪のトンネルも狭くなるころ、先頭を歩いていたmarboさんが右側に草付き斜面を見つける。そちらへ逃れてさらに上を目指す。しばしの間だが、藪漕ぎから解放されてうれしい(5)

 上に稜線が見える頃、再び強烈な笹藪へ突入。しかし、多雪地帯で経験している太いネマガリダケでないのが幸いである(6)

 やがて、頂上の少し手前の稜線へ上がる。ハイマツとチシマザサで覆われているが、よく見ると、ハイマツの枝に鋸目が入っているのに驚く。


 スタートして約3時間、二観別岳頂上にに到着。三等三角点(点名・奴多布)は直ぐに見つかった(7)。残念ながら展望はなし。ここは晴れていても木が煩くてそれほど展望は良くないとのこと。周りをきれいに刈り払った三角点を前に記念撮影(8)

10分後、次の本二観別岳を目指して稜線歩きのスタート。ときおりはっきりしない鹿道は現れるが、概ねハイマツをかわしながらの笹藪漕ぎである(9)

 ハイマツは稜線の南側に延びているので、ときおり鹿道が現れる北側を歩くことが多い。この稜線にもずっとハイマツの枝に鋸目が見られる。いつの時代か、この稜線に縦走路を作ろうとした人たちがいたとしか考えられない。そのころは登山の対象になっていたのだろうか?

 地図でも読み取れる3つのピークを越えると、一瞬、目の前にぼんやりと目指す本二観別岳が見えて直ぐに消えた(10)

 すでに二観別岳から1時間は経過していた。コルで、「これで登りから解放される」と最後の頑張りを振り絞る。

 このピークは周りに木が生えてなく、登頂感のあるすっきりとした頂上だ(11)2回目になる4名は「本当は360度のみごとな展望が広がるんだけどな〜」と話している。

 幸い自分は、今回の山旅で、この南のオキシマップ山と西の天狗岳からこの界隈の展望を目にしているだけにそれほど悔しさはない。しかし、この界隈の山からの展望をもう2度と目にすることはないだろうと思うと、ちょっと残念。

 風を避けて20分ほど休んで、下山開始。頂上からまっすぐ急な笹藪斜面を下る。かなりの急斜面で足元には大きな岩の段差があり、それを足で探っては、下っていく。しかし、なんど転んだか数知れない。笹藪は強烈だが、急斜面ゆえにこの笹がなければ捕まる物がないだけに助かる部分も多い(12)

 徐々に沢型地形になり、それを下っていくと沢に出た。


 その急な沢を下って行くと(13)、3本の沢の合流地点へ下り立った。そこは地図にも載っている林道終点跡がある。ようやく平らな道を歩くことができる喜びが湧いてくる。あとはゴールを目指してひたすら林道を歩くだけ。疲れているはずなのに、足取りは軽い(14)

 約7時間の藪山山行を終え、車のデポ地点へ戻る。長い林道を走って国道へ出てアポイ山荘へ。風呂で汗を流し、疲れを癒して解散。函館までは400km弱の道のりである。一気に帰るのはキツイ。途中で1泊して帰ろうと思った。しかし、走っているうちに、日曜日なのでETC半額割引なことに気付く。結局、高速に乗ってまっすぐ帰宅することにした。苫小牧から長万部まではもの凄い横風と強い雨でハンドルが取られて怖かったが、21:00過ぎには無事帰宅できた。

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