○<2日目>〜ナメワッカピストンは断念し、下山

 いつも以上にほとんど眠れないまま朝を迎える。どうも体調も優れないようだ・・・。外に出てみると、昨日よりもっと濃いガスで視界もほとんどなく、昨日はまったくなかった風も強く、かなり気温も低い最悪の状態である。一気にモチベーショーンが失せる。天気が良ければとまだしも、昨日の調子と今朝の体調では、ご夫妻の足手まといになるのは避けられない状態である。情けないが、「体調が優れないので、私はここで待ちますので、二人で行ってきてください」とギブアップ宣言。

 当初は、ご夫妻は行くつもりでいたようだが、この天候では、踏み跡もない藪漕ぎの日帰りピストンはキツイと判断したようで、断念の決断を下す。多少足を引っ張った感ももあり心苦しかったが、急いで下山の用意をする。

 テントを畳み終わったら、奥さんに「テントはうちで持ちますから」と言われてしまった。多少は体力に自信があった自分としては、沽券にかかわる申し出である。しかし、昨日の調子を見られているだけに、意地を張るわけにはいかず甘えてしまった。

 寒いので上下カッパに身を包み、いよいよ下山である。全く見えない自分には無理と判断したナメワッカ岳にはまったく未練はない。水もほとんど捨てた上に濡れたテントも持っていただいたので、背中は軽いがペースは上がらない。

 1760ピークへ登るころには、少し視界も開けて来たが、登りのハイマツ漕ぎはきつい(1)。十勝側は少しずつガスが晴れてきて薄日も差して視界も広がって来たが、ナメワッカのある日高側は全く見えないままである。来るときには苦労した1751ピークを巻く十勝側の藪のトラバースも薄日のお陰で乾いてきて、あまり滑らずに転ぶことも少なかった。

 そこを通過すると、快適なお花畑の斜面が広がる。2日間で初めての薄日を浴びて、しばし休憩(2)少し花の写真を撮る余裕も出てくる。最後の登りとなる札内JPまでのハイマツ漕ぎをあえぎあえぎ登り詰める。昨日に比べて水と2食分の食糧が軽くなっているのに、同じ4時間を要していた。札内JPはやはり昨日と同じような濃いガスのベールに包まれ、振り返っても往復した稜線もナメワッカもまったく見えないままであった。

 北東カールへ下りていくと、下からカムエクまで縦走するという5人の大学生パーティが登ってきた。中高年が多い山の中でこの様な元気で素直な若者に出合うと非常にうれしくなる。カール底には昨日はひと張りもなかったテントが5張りもあり、とても賑やかな感じである(3)。下まで下りて、昨日間違えた稜線へのルンゼの取り付きを確認する(4)

 靴を履き替え、腹ごしらえをして、長い沢の下りをスタート。ここで、リュックの重さを比べたらHaさんの方が軽いこともあり、濡れた私の登山靴を背負われてしまう。これまで他人をフォローしたことはあっても、フォローされての山は生まれて初めての経験である。うれしいやら情けないやら・・・。
 
 997二股までは、急な滑滝や連続する滝の巻道は緊張して下るが、その先も急なので結構膝や腿に来る。全員、木の枝を拾ってバランスを取る杖代わりにして下る。

 結局、元気な登りは4時間50分だった北東カールから登山口までは、休憩を長く取ったこともあり、5時間10分も要してゴールイン。

 下山して、テントと靴を受け取ろうとしたら、てっきりHaさんのリュックに入っていたと思ったテントが奥さんのリュックから出てきたのには、冷や汗がたらり・・・。それにしても、昨年のペテガリ〜コイカク間や今春のカムイ岳のときも感じたが、3年前のエサオマン〜コイカク間に比べて、加齢に伴う?体力低下が著しい感じがする・・・縦走装備での1日の行動時間は8時間が限界かも知れない・・・・?


花畑に咲いていた花たち

トマトと間違えたキノコ

ウサギギク

エゾオヤマノリンドウ

ナガバキタアザミ

エゾシオガマ

ウメバチソウ

コガネギク (ミヤマアキノキリンソウ)

ヒダカアザミ

このほかに、トカチフウロ、ヨツバシオガマ、シナノキンバイ、ヤマハハコ、アズマギク、サマニヨモギ、エゾノホソバトリカブト、クロウズコの実など・・・

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04,8,14〜17の「札内JP〜カムエク〜コイカク(3泊4日)」へ



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