ナメワッカ分岐ピーク(1810m)A 
 <エサオマントッタベツ川コース>   3名、 07,8,17〜18

00,8,10〜11の「エサオマントッタベツ岳」へ
04,8,14〜17の「札内JP〜カムエク〜コイカク(3泊4日)」へ

ナメワッカ分岐からナメワッカ岳までのピストン狙いだったが、悪天候で断念し、濃いガス中の分岐までの往復に終わる。

登山地   点下山
(8/17)
 6:05
 6:35
 8:55
10:55
11:50
13:50
15:50
17:50
-----------------
車デポ地点
入渓地点
997二股
エサオマン北東カール
  〃
札内JP
1760ピーク
ナメワッカ分岐(泊)
(8/18)
17:25
16:55
14:20
12:15
11:45
10:35
 8:15
 6:25
[11:45]所要時間[11:00]
 結果的に届かなかったナメワッカ岳(1799.1m)は、日高山脈主稜線から新冠川とシュンベツ川の流域の間に延びる長大な支稜線上の山である。同じ稜線上にイドンナップ岳がある。

  この山に登るには、日高側のシュンベツ川や新冠川の上流を遡行するか、主稜線上のナメワッカ分岐からの支稜線の藪漕ぎしかない。いずれにしても、最低でも2泊3日が必要な遙かな山である。自分の技量からして、可能性のあるとすれば後者しかないと考えていた。

  今年の6月に、「まだ登られていないようなので、8月にご一緒しませんか?』と、すでに北海道の1000m以上の全山428座を完登していて、『ガイドブックにない北海道の山々』の著者でもあるHa氏から、お誘いをいただいていた。氏は奥様共々すでに日高側の沢からとナメワッカ分岐からと2度もこの頂上を踏んでいるのだが・・・。ルートは、私が考えていたナメワッカ分岐からのアプローチである。

○、まずは、3回目となるエサオマントッタベツ川を遡行し、北東カールを目指す、

 当初は、前日入山する予定であったが、雨で1日遅らせての決行であった。前夜、Haさん宅で一宿一飯の恩義に与り、ご夫妻と共に、やはり雨の中戸蔦別林道を走り、入山口となるエサオマントッタベツ川沿いの林道へ入る。車は分岐から500mほど入ることができた。

 雨は上がったが、濃いガスに巻かれた霧雨状態である。しかし、予報では回復傾向とのことなので出発する。30分で入渓地点到着。この川を遡行するのは3回目であるが、これまでと違うのは単独でないことと、天候が良くないことである。
 
 いつもは正面に見えるはずの北東カールが見えないのが残念である。前日の雨でやや水量の多い感じではあるが、1時間毎に休憩を取って快調に登っていく(1)3時間弱で997二股へ到着。

 高度を稼ぎながら登っていくと連続する滝が現れる。ここからがこの川の核心部である。その滝を巻いて登り切ると、その上に延長 300m以上も続く急な滑滝が現れる。転倒すると間違いなく滑落する斜度である。慎重に左岸沿いを登る(2)。

  滑滝を越えると、まもなくして北東カールへと入っていく。カールにはテントがひと張りもなく、カール全体が濃いガスで覆われ、時折カール壁がボヤッと見えるだけである(3)ここで、昼食を摂ったり、水を汲んだり、靴を取り替えたりと1時間ほど休憩する。沢靴はデポし、登山靴に履き替えて、私は6.5g、Haさんは10g、奥さんは3.5gの水を背負う。自分は、これまでの経験から5.5gで十分かなという思いはあったが、10gも背負うHaさんに刺激されてついつい多く背負ってしまう。しかし、結果的に辛いルンゼ登りの途中、1g捨ててしまうことになるのだが・・・。

○苦労のルンゼ登りを経て札内JP経由でナメワッカ分岐へ

 このカール壁は2度登り、2度下っているが、一番安全とされている一番東側のルートは、下からはどうもその選択に自信がない。1回目は1本右のルンゼに取り付いて進退窮まって非常に怖い思いをしている。2回目はその時の記憶を頼りに無事に取り付いているのだが・・・。今回、このルートを経験しているのは自分だけである。しかし、カール壁や稜線がガスで見えないこともあり、勘違いして、手前から続く左の小沢に取り付いてしまう。草付き斜面を登って行くが、灌木帯に入って間違いに気づく。2度ほどルートを探したりして、自信を持てないまま正規のルートに出たのは稜線まであと標高差125mほどのところであった。

 予定より30分以上も余計なアルバイトをして、ようやく札内岳からの稜線に乗り、札内JPへ到着。ここも3回目である。本来は360度の大展望が広がり、これから進むべき南側の主稜線の山々の見えるはずなのだが、全くの白いベールに包まれた状態である。ここから先も3年前にカムエクを経由してコイカクまで縦走しているルートである。しかし、視界は数10mの上、細かい霧雨が舞っている中の藪漕ぎである。最初はハイマツの中を下り、やがて、稜線の東側のお花畑の中をトラバースしていく(4)

 しかし、この後に前回の記憶で最も辛かった1751ピークの東側を巻く藪のトラバースが待っている。今回は、霧雨で濡れているので覚悟はしていたが、全員何度滑って転んだか数え切れないほどである。その度に起き上がるのに非常なエネルギーを消費する。

 そこを抜けると、今度は1760ピークへのハイマツ漕ぎの登りが待っていた(5)札内JPからのちょうど中間地点となる1760ピークまで2時間も要している。3年前のコイカクまでの縦走時には、札内JPからナメワッカ分岐まで2時間45分で歩いているのだが、それと同じ自分とは思えないほど辛い。前回よりかなり遅いペースなのに、二人に付いていくだけでアップアップ状態の自分が情けない。

 本来であれば、このピークから見えるはずのナメワッカ分岐から二つのカールを抱いて延びるナメワッカ岳までの稜線が見えるはずなのだが、それが見えないのも残念である。

 1760ピークからはほとんどハイマツ漕ぎだが、ナメワッカ分岐に近づいてくると太陽の位置が分かるくらい上空のガスが薄くなり、目指す分岐ピークがぼんやりと見えてくる(6)前回は単なる通過点であったが、今回は到着が待ち遠しかった1日目のゴールである。スタートしてから12時間弱に及ぶハードな行程にようやく終止符を打つときが来た。

 分岐ピークには、ちょうど2張りが可能な快適なテン場がある。疲れた身体に鞭打ってテントを張り終えると18:30近くになっていた(7)

 ちょうどそのころになって、やや視界が開けて来て、明日ピストン予定のナメワッカ岳と手前の2つのピークがぼんやりと姿を現し、明日の天候回復に期待を持たせてくれる(8)

テントを張り終えてテントに潜り込み、ウィスキーの水割りを飲みながら夕食の支度をする。夕食を終えて、直ぐにシュラフに潜り込む。寝心地は非常にいいのだが、疲れすぎたのかなかなか寝付けない。途中、トイレに外に出たら、周りの山々も十勝側の街の灯も見えていたのだが・・・・・。
 

 翌日へつづく



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