北海道の山名の由来
 〜「角川地名大辞典・北海道」「北海道の山と谷」「北海道の百名山」「アイヌ語地名リスト」
  「夏山ガイド」「他サイト」ほか、読者からの情報による〜

 自分のこれまで登った山とこれから登ろうと思う山を中心に調べてみました。
不明のものや別の由来等について、分かりましたら教えて下さい。
 
(ア)山の名前そのものがアイヌ語に由来するもの  
(地)地名に由来するもの(語源がアイヌ語のよるものも含む)
(川)同じ名前を持つ川の源流部・上流に由来するもの 
(山)山の形や様子、歴史に由来するもの
(人)人名に由来するもの
(?)不明

 道南道央大雪夕張山系十勝連峰日高増毛・樺戸道北道東

[道南の山] 26
函館山   (地)地名は、箱の形をした館に由来
袴腰岳   (山)座ったときの袴の形?
横津岳   (ア)ユク・アッ・ヌプリ(鹿がたくさんいる山)
台場山   (地)函館戦争時土方歳三率いる隊が山頂に砲台を築いたことによる。
恵山     (ア)エシャニノボリ(岬の上の山)または、エサン(岬)
海向山   (山)海に向かって聳える山
駒ケ岳   (山)馬の頭と馬の背
大千軒岳  (川)「泉源ケ岳」と昔呼ばれていたことによる?
乙部岳   (地)乙部の語源は、オ・トー・ペ(川口に沼のある川)
狩場山   (ア)カリンパ・ウシ・ヌプリ(桜・群生する・山)              
遊楽部岳  (川)ユー・ラップ(温泉が・下る)川の上流に由来
砂蘭部山 (川) 砂蘭部川の源流にあることに由来。「サラ・ウン・ペッ(尾・の・川)の意
           「サル・ウン・ペ(葭原・のある・もの(川)」の意の2説ある。     
白水岳   (川)白水沢の源流?                            
冷水岳   (川)冷水沢の源流?
ヤンカ山  (ア)ヤンカ(海からそそりたつところの意)                 
雄鉾岳   (山)山頂に鋭い岩稜を持つ山容。アイヌ名・カムイ・エ・ロシキ(神々が林立するところ)
小鉾岳   (山)山頂に鋭い岩稜を持つ。雄鉾岳と語源は同じ?
カニカン岳 (ア) この山の付近が寛政年代ゴールドラッシュに沸いた(黄金)を意味するアイヌ語の
          カンカンが訛ったもの(郷土誌による)。しかし、アイヌ語ではカンカンは「腸のように
          曲がりくねった」という意味である〜麓を流れる利別川は今金地区で曲がりくねって
          いることに関係ないのだろうか?(自分の考え)
長万部岳  (川)長万部川の水源に由来。オシャマンペ(川尻のヒラメ・カレイのいるところ)、また
          は(横になった河口)。前者の地名の語源は写万部岳の残雪の形のよるもの?
写万部岳  (ア)シャマンペ(カレイ)の漁期を知らせた残雪の形の見られる山
大平山(おびらやま)  (川)大平川の水源。大平はオピラシュマ(川口の崖岩)、大平川の原名は
                 ピラコアンペッ
黒松内岳  (川)黒松内川の源流に由来。クる・マツ・ナイ(和人女性のいる沢)
メップ岳  (ア)メム(湧泉のある池)の転訛か、メップナイ(寒き沢?)か?
毛無山  (ア)アイヌ語のケナシ「林野、木原の意」に由来し、樹木に覆われた山である。
設計山 (ア)アイヌ語で「 モ・ケ Mo keの音訳」 ”小さい場所を占める山”とうことらしい。
       それに、設計の字を当てたのは、この山が北海道における近代的な地籍調査のスタート
       地点でもあり、その名残が地名として残った山でもある。
太櫓岳 (川)太櫓川「アイヌ語ではビトロで、ビツヲロの略語にて、小石のある」の源流の山
砂蘭部岳 (川)砂蘭部川の源流にあることに由来するのであろうが、永田方正の『北海道蝦夷語
       地名解』によると、「サラ・ウン・ペッ(尾・の・川)と記されているが、山田秀三によると、
       「サル・ウン・ペ(葭原・のある・もの(川)」
二股岳 (川)山名の由来は大野川の支流である下二股沢に由来するものであろう。
泣面山 (山)地元の人は「泣ゲ面山」と呼んで、漁に出てもどこの海上からも目印にできて、
        「泣ゲ面山サ雲がカガレバ雨になる」と行っていることに由来?
貧乏山 (山)昔、厳しい気象により荒れ地となっていたためにこのように呼ばれたことに因るらしい。
ルコツ岳  (ア)「ルコッチ。足跡。大熊の山へ上がりし足跡あり(ル=道、コツ=窪んでいる)の説と
         「ru-kot[沢・道]、Kochiなら[その沢道]の説がある。
トワルタップコップ (ア) トワルは「水がぬるい」と言うような意。トワルタップコップは「トワルベツの
              上流のデコボコ山」の意
キムンタップコップ (ア)キムンはkim(生活圏としての)山(内地で言う「里山」か?)、unそこにある、
            でキムンタップコップで「山のほうにあるデコボコ山」の意。

[道央の山]
(ニセコ周辺・積丹半島の山)18
昆布岳   (ア)トコンポヌプリ(小さなコブ山)とコンポヌプリ(コブの山)の説
羊蹄山   (地)日本書記に記されている地名・後方羊蹄(しりべし)に由来。アイヌ名は
          マッカリヌプリ
尻別岳   (川)尻別川の上流に由来。尻別の語源は、シリ・ペッ(上流が至って高い川、山に
          沿って下る、山の川)。後志や後方羊蹄の語源も同じらしい。
ニセコアンヌプリ (ア)ニセイ・コアン・ヌプリ(峡谷に寄りかかる山)
イワオヌプリ (ア)イワウ・ヌプリ(硫黄の山)
チセヌプリ (ア)チセ・ヌプリ(家の形の山)
ニトヌプリ (ア)ニドム ・ヌプリ(森のある山)。ほかに、故秩父宮一行がある日吹雪の山頂に
         立ったとき二羽の兎が足元で吹雪を避けたことによるというという説もあるが、 
         前者は「アイヌ語小辞典」にあるということから、前者の方が正しいのでは?
シャクナゲ岳 (山)現在はないが、昔はシャクナゲの木があったことに由来?
白樺山   (山)ダケカンバで覆われている山?
目国内岳  (川)パンケ・目国内川の水源に由来。メクンナイの意味は不明。
岩内岳   (地)岩内の語源は、イワヲナイ(硫黄沢)、イヤウナイ(熊肉を乾かす沢)、イェ
          オナイ(軽石の多い沢)の諸説あり。
雷電山   (地)雷電の語源は、ラエンルム(低い出崎)、ライテム(焼いてうなる〜落雷し山
           が焼け崩れる地響き)、ライニ(枯木)の諸説あり。
本倶登山 (川)アイヌ語でポンは「小さい」という意味で、クトサンは@ク・サン(岩棚を下る=
          円筒kutの処を流れ出している) A ク・サニ(泥土の濁り川)等の説があり、
          後者の説は倶知安町の町名発祥の一つと言われている。
阿女鱒岳 (川)アメマス沢川の源頭にあることに因る。
積丹岳   (地)積丹の語源は、シャックコタン(夏の集落)。アイヌ名は、ポロエプイ(大きな
          凸山)
余別岳   (川)余別川による?川のイオペツは(魚の多い川)
両古美山 (地)この山で町村境界が接する3町村名の頭文字をとった山名。
        すなはち、古宇郡神恵内村と古平町の両方から古を、美国町の美をとって両方の古
        と美山となった。
当丸山 (川)当丸はアイヌ語で@トー・オマ・ル=沼にある川  Aトンマル=沼より下る川等の説

(札幌・小樽近郊の山)19
藻岩山   (ア)モイワ(小さな山)。元来は円山のことをそう呼んでいて、この山はアイヌ名
         でエンカルシベと呼ばれていた。インカル ・ウシ ・ペ(見る、眺める・いつも
         する・もの〜いつもそこに上がって、敵を見張ったり、物見をしたり、行き先 
         の見当を付けたりするところ)
円山     (山)お椀を伏せたような丸い山。もともとは、アイヌ名でモイワと呼ばれいた。
八剣山   (山)昔は五剣山とも呼ばれていた。
手稲山   (ア)タンネ・ウエン・シリ(長い断崖)
春香山   (山)昔は遥山と呼ばれていたことが語源。昭和初期に付けられた美名?
砥石山   (山)水成岩の砥石が採れることによる。
銭函天狗岳 (山・地)銭函にある岩壁を巡らせた山。銭函の由来は、ニシン漁で莫大な利
             益が上がったので、和人が付けたらしい。
神威岳   (ア)アイヌ名で「プーネシリ」「エペシ」とあることから、神威は陸地測量部によ
         るらしい。
定山渓天狗岳(山・地)定山渓にある岩壁を巡らせた山。アイヌ名「キトウシヌプリ」(ギョウジ
         ャニンニクの多くある山)
余市岳   (川)余市川の上流に由来。余市の語源は、ユオチ(温泉がたくさん在るところ)、
         イオチ(蛇のたくさんいるところ)
空沼岳   (川)ラルマナイ川の支流、ソーラルマナイ(滝が潜る川)の源流部に由来。
          ソラルマナイが縮まってソラルマとなりソラヌマに変化した?
          しかし昔の資料では「からぬまだけ」の意見も多い。
札幌岳   (川)豊平川の旧名サッポロぺツの上流に由来。
無意根山  (ア)ムイネシリ(箕の形の山)
喜茂別岳 (川)キムン・オロ・ペツ(山奥・にある・川)による
美比内岳 (川)ペーペナイ川(沼の多い川の意)が転化
百松沢山 (人)この付近に「百松という人が最初に入植した」ことによるらしい
白井岳 (川)白井川の水源にあることに因り、白井川の川名の由来は付近の鉱山からの白濁水
        が入ることに因る。
狭薄山 (ア)アイヌ語のサ・ウシ・ヌプリ(前・につく・山)に因る。
朝里岳 (地)朝里は@アツ・サラ(オヒョウ楡の・湿原) Aアツ・ウシ・ナイ(オヒョウ楡が・群生する・
        沢)等の説がある。

岳別
(支笏・洞爺周辺の山)16
漁岳(いざりだけ) (川)千歳川の支流の漁(いさり)川による。川の名は、イチャニ(鮭や鱒が
               産卵に掘る穴) 
樽前山   (川)樽前川の背後にある山に由来。アイヌ名「ウフィヌプリ」(燃える山)。樽前の
          語源は、タオロ・マイ(川岸の高いことろ)
風不死岳  (ア)フップ・ウシ、フプシヌプリ(トドマツの多い山)
恵庭岳   (ア)エエンイワ(鋭い高い山、とがった山)
紋別岳   (川?)紋別の語源は、モンベツ、モベツ、モペッともに(ゆっくり流れる静かな川)
イチャンコッペ岳(川)イチャンは(鮭の産卵場)であるが関係は不明、コッペも不明
ホロホロ山 (?) フクロウの鳴き声に因るとの説がある
徳舜瞥山  (川)トクシシュウンペツ川(アメマスのいる川)による。
オロフレ山 (川)ウオロ・フレ・ペツ(水中の赤い川)の上流
室蘭岳   (地)室蘭の後ろに聳えている山。室蘭の語源は、モ・ルエラニ(小さな下りの道)。
              別名・鷲別岳〜国土地理院の地形図では鷲別岳となっている。鷲別は
              チュ・アシ・ペツ8波が立つ川)かハシ・ペツ(灌木の川)に由来
カムイヌプリ (ア)カムイ・ヌプリ(神の山)
有珠山   (山)臼みたい山(菅井真澄の記録)、アイヌ名はアシリヌプリ(新しい山)
白老岳 (地)白老はアイヌ語でシラウ・オイ(アブ・が多いところ)、シラル・オイ(潮・乗るところ=
         満潮になると潮があがる)の説がある。
丹鳴山 (川)丹鳴沢=ニナル・シュト・オマ・ナイ(高原の・ふもと・に入る・沢)の源頭にあることに
        よる山名らしい。
早月山 (川)この山が源流に当たる壮瞥川のソウベツがソウゲツになり、それに漢字をはめて、
        はやつきやまと読むようになった? 
来馬岳 (川)来馬川の源頭にあることに因る。アイヌ名ライパヌプリ(死んでいる川口)=古川の川
        口の意。

[大雪の山]
(表大雪)21
旭岳    (川)旭川(チュペツ を意訳)の東または源にあることに由来?。地図上のアイヌ名
          ・ヌクタクカムウシュペは大雪山の総称となっているが、昔のアイヌは、総称で呼
         んだのではなく、この旭岳をこう読んだのではないかという説もある。
永山岳   (地)麓の地名に由来。永山の語源は、屯田本部長・永山武四郎に由来
愛別岳   (地)麓の地名に由来。愛別の語源は、アイペツ(矢の川〜急流、矢の原木の     
           多い川)
比布岳   (地)麓の地名に由来。比布の語源は、ピピ・ペツ(石のゴロゴロしている・川)、
         あるいはピ・オ・プ(石の・多い・所)の諸説あり。
安呂間岳  (地)麓の地名に由来。安呂間の語源は、アンタロマップ(流れの淵)
間宮岳   (人)間宮林蔵の人名に由来
北鎮岳   (山)麓の旭川に第7師団が置かれたため北海の鎮台としての山。
黒岳     (山)頂上付近の黒っぽい山肌に由来。松浦武四郎の命名?
桂月岳   (人)大町桂月の人名に由来
北海岳   (地)松浦武四郎の命名?
赤岳     (山)頂上付近の赤っぽい山肌に由来
白雲岳   (山)松浦武四郎の命名?
緑岳     (山)山肌に由来。松浦武四郎に由来する松浦岳の名もある。
小泉岳   (人)小泉秀雄に由来
忠別岳   (川)忠別川の上流に由来。チュプペツ(波立つ川)
五色岳   (山)高山植物の花々で彩られることに由来。五色が原も同じ
化雲岳   (川)クワウンナイ川(杖のところの川=険阻なれば杖を使う川の意?) 
トムラウシ山(ア・川)トンラ・ウシ(花の多いところ)と、(水垢の多いところ〜上流に温泉があり、
            川岸の石がぬるぬるしている)も2説あり。
石垣山   (山)石垣を巡らしたような山容
嵐山     (山)旭川の入植者が京都を見下ろす嵐山に因んで付けたという。
 
(東大雪)14
ウペペサンケ山(ア)ウペペサンケ・ヌプリ(雪解け水を一気に押し出してくる山)
ニペソツ山  (川)十勝川の支流ニペソツ川の源に由来。ニペソツは(シナノキが群生するとこ
          ろ)
石狩岳    (川)石狩川の源流。イシカリ(塞がる・詰まる〜屈曲して流れるため川がふさが
          っているように見える)、イシュカラペツ(美しく作った川)など諸説あり。
音更岳    (川)音更川の源流。オトケプ(毛髪の生える)
ユニ石狩岳  (川)ユニイシカリ川の源流
西クマネシリ岳 (ア)クマネシリ(物干し棚のような山) クマネシリ岳の8kmにもおよぶ平らな
            東尾根のようす?
岩石山    (山)巨岩を積み上げたような山
南ペトウトル山 (ア)南側の(ペト・ウトウル=川・の間)(二つの川に挟まれた山)
           シタマシヌプリの別名があり、シタマシヌプリは(シタマシヌプリ=シタメク
             シヌプリ=山犬・吠える・多いところ・山)の意。
西ヌプカウシリ (ア)西側のヌプカ・ウ・シリ(原野にそびえる山?)
東ヌプカウシリ (ア)東側のヌプカ・ウ・シリ(原野にそびえる山?)
三国山 (地)昔の石狩国、十勝国、北見国の境にあるのが由来らしい。
ナイタイ山 (川)アイヌ語で「ナイ・エタィエ・ペツ(沢の・頭がずっと奥に行っている・川)」に
          由来し、“奥の深い川”の意味のナイタイ川の上流にある山
ピリベツ岳 (川)ピリベツ川の源頭に位置することに因る。
        ピリベツはアイヌ語で@ ピリ・ペツ=渦巻き・川 
         A ピリカ・アン・ベ=美しく・ある・水 
喜登牛山 (地)キトウシ(アイヌ語で「ギョウジャニンクの多いところ」)に由来
ニペの耳 (山)双耳峰で、向かい側のニペソツ山から見ると、猫の耳のように見えることによる

(北大雪)7
平山     (山)平らな山
ニセイカウシュッペ山(ア)(断崖絶壁にある山)
天狗岳    (山)岩場のある山
武華岳    (川)無加川の源流部に由来。ムカ(水川を越す〜無加川の上流に温泉があるの
           で、川の氷結がおそく、氷が流れて川口が塞がったとき初めて川を渡ることが
           できたことに由来)
武利山    (川)武利川の源流部に由来。武利の語源はムリイ(いらくさの群生)
支湧別岳 (川)支湧別川に因るものであろう。支湧別はアイヌ語でシ・ユウベツ=湧別川・の本流
         を意味し、ユウベツは@ユウ・ペツ=温泉・川Aイペ・オツ=食べ物が・多い・処
         Bユベ・オツ=チョウザメが・多い・処 等の説がある。
雄柏山(ゆうはくざん) (川)オシラネップ川の「オシラ」に「雄柏(おしら)」の当て字をしたのが山名
                の由来
             

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